劇場公開日 1991年12月23日

「【”世の中で一番美しいのは恋なのに、何で恋する人間はこんなに無様なんだろう。僕は恋する伯父さんを笑わない事に決めた。”寅さんが満男と泉を大切に想う気持ちが響き、若き二人の成長物語でもある作品。】」男はつらいよ 寅次郎の告白 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”世の中で一番美しいのは恋なのに、何で恋する人間はこんなに無様なんだろう。僕は恋する伯父さんを笑わない事に決めた。”寅さんが満男と泉を大切に想う気持ちが響き、若き二人の成長物語でもある作品。】

2024年7月17日
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■満男が恋する美少女・泉は、東京での就職がうまくいかず、母の再婚問題もあって黙って家出してしまう。
 彼女が鳥取砂丘で書いた寂しげな気持ちを綴ったハガキを手にした満男は慌てて鳥取に向かい、泉や寅次郎と合流する。
 そして、3人は、かつて寅次郎が恋した女性・聖子(吉田日出子)が女将を務める料亭兼旅館を訪れる。

◆感想

・今作では、久しぶりに寅さんの過去から今に続く恋話が描かれる。且つて、寅さんを恋しながら別の板前だった男と結婚した聖ちゃんを演じた吉田日出子さんのおっとりした鳥取弁が心地よいし、魅力的である。

・酔っ払った聖ちゃんに”寅さんと結婚すれば良かった・・。”と告げられ、いつものようにオタオタする寅さんと、二人の事が気になり泉と二階にいた満男が、話をコッソリ聞こうとして、二階から落ちるシーンは可笑しい。

■今作では、もはや満男と泉は恋仲であるように描かれる。又、泉は恋する母(夏木マリ)を最初は汚らわしく思うも、旅をして、家に帰った際に母に対し”ママ、幸せになって良いよ。私もう大丈夫だから。”と告げ、満男も今まで恋をしては振られる寅さんをさくらと同じように見ていたが、寅さんの生き方を肯定的に見る様になるのである。

<今作を観ていると、一家に一人、寅さんみたいな伯父さんがいると、ちょっと面相臭いけれど、人情溢れる古き良き日本が続くのではないかな、と改めて思った作品である。
 寅さんも年を重ね、思考に深みが出てきているし、そんな寅さんに影響され人間として成長する満男と泉の姿が素敵な作品である。>

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