男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花のレビュー・感想・評価
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沖縄のUnderground societyは大変に厳しい。
この映画公開の数年後に小岩に住む事になる。住みだしてから更に数年後、リリィと博が出会う小岩駅周辺は外国人だらけになる。外国人と言っても、パキスタンとかロシアとか。今考えると、束の間の平和だったのだろうか?違うね多分。
やっている事は蔑称でない『ボヘミアン』ダネッ。
【”貴方と夫婦だったら・・。””俺と所帯を持つか・・。”真夏の沖縄をメイン舞台にした夢の様な寅さんシリーズ屈指の恋物語。25作目にして再びシリーズのピークを迎えた点が、素晴らしいと思う作品でもある。】
◆感想<この名作に今更なので、簡単に。>
・今作は寅さんシリーズの中でも、寅さんのマドンナとの相思相愛振りが際立つ作品である。
・リリーは沖縄の病院から、とらやへ速達で便りを出す。彼女が頼れるところはとらやしかない事が分かるし、寅さんも大嫌いな飛行機に乗って駆け付ける。勿論、博とさくらを始めとしたとらやの人達の説得と、美しいスチュワーデスのお陰なのだが。
そして、顔色悪く病院のベッドで寝ているリリーの所に寅さんがやって来ると、シーンのトーンはパッと明るくなり、リリーも少しづつ回復していく。
このシーンは、今作の前半の名シーンだと思う。
・更に、中盤は、夜、寅さんとリリーは部屋は違えど沖縄情緒溢れ、且つ親切な家に間借りし、新婚生活の様な暮らしをする。そして、リリーが言った一言。”貴方と夫婦だったら・・。”中盤の名シーンである。
・更に更に、後半はとらやに三日三晩食事もろくにせず戻って来た寅さんの所にリリーがやって来て、沖縄で喧嘩別れした事を忘れたかのようにとらやの人達と楽しそうに会話する中で、寅さんが言った一言。”俺と所帯を持つか・・。”息を呑むとらやの人達。
・更に更に更に、再後半、旅に出た寅さんがバス停でバスを待つ時に、通り過ぎたマイクロバスから降りて来たリリー。そして、二人は満面の笑みで粋な会話を交わし、仲良くリリーの仲間達が乗るマイクロバスに仲良く乗り込むのである。
<今作は、シリーズ最多の三作目の出演の浅丘ルリ子さん演じるマドンナ・リリーの登場する時間がとても長く、観ている側は寅さんとリリーの相思相愛の関係性を、焦れったい思いを抱きながら鑑賞できる、シリーズ屈指の一つに数えられる逸品である。
何よりも、製作陣の頑張り及び渥美清さんと浅丘ルリ子さんの息の合った名演により、25作目にして再びシリーズのピークを迎えたという点が、素晴らしいと思う作品なのである。>
シリーズ第25作‼️
全50作からなる「男はつらいよ」シリーズの中でも個人的に五本指に入る、大好きな作品‼️今回は我らがリリーこと浅丘ルリ子さんが3度目の登場‼️リリーが沖縄で倒れたという知らせを受けた寅さんが、沖縄へ向かう。順調に回復したリリーは寅さんと二人、夫婦気取りの生活を始める・・・‼️まずはシリーズ恒例の寅さんの夢のシーンは「鼠小僧次郎吉」‼️いや違う、「鼠小僧寅吉」‼️まるで無声映画の時代劇のような趣で、屋根の上で口上を垂れる寅吉が愉快痛快‼️とらやの皆さんが慰安で公園に行こうとした矢先、寅さんが帰ってきて大騒動‼️そして飛行機に乗るか乗らないかでまたまた大騒動‼️寅さんのオナラの理論が面白い‼️そして沖縄の病院で寅さんとリリーの再会‼️寅さんに甘えるリリーが可愛い‼️リリーに二枚目扱いされて照れる寅さんも可愛い‼️リリーの退院後、寅さんとリリー、ついに沖縄で同棲開始‼️仕事をすると言うリリーに、やめろと言う寅さん、「あんたと私が夫婦だったら」というリリーの女性としての寅さんへの想い‼️そして舞台は柴又へ‼️行き倒れで帰ってきた寅さんがうな重をパクつく姿が笑える‼️そして寅さんとリリーの再再会‼️「リリー、俺と所帯持つか・・・」「私たち、夢見てたのよ、きっと。ほら、あんまり暑いからさ」‼️まさしく "真夏の夜の夢"‼️寅さんの恋愛や結婚についての本音がよく表れていると思う‼️何てたって相手役はリリーさんだから‼️そしてそして寅さんとリリーのラブ・ストーリーとしても、寅さんとリリーの友情物語としても最高のラスト‼️ホント爽快‼️ホント素晴らしい‼️
「兄さんこそ何してんのさ、こんなところで」「オレはおめえ...リリーの夢を見てたのよ」‼️
開放的な沖縄で英気を養う寅さんとリリーの三度目の正直なるかの、男と女のお話
“寅さんシリーズ”を作り続ける山田洋次の監督術は少しも衰えることが無い。それが幸いしてか、相変わらず寅さんの身の振りようも、いつもと同じで、変わらない寅さんをどう見せるかに工夫と苦労が窺える。それでもマドンナに最も相性の良い浅丘ルリ子を迎えた今作は、舞台を沖縄にして開放的で楽しい喜劇映画に仕上げている。キャバレー歌手リリーと寅さんが、今度こそは本当に所帯を持つのではと思わせつつ、結局は自由人としての寅さんに戻る第25作品目。特筆すべきは、沖縄の暑さを大袈裟に表現して爆笑を誘うのと、飛行機嫌いの寅さんのドタバタ劇。勿体ないのは、江藤潤ら沖縄の人々の話がルーティン通りに終わっていること。ここがもっと練られていれば傑作になったと思う。後半の渥美清と浅丘ルリ子のやり取りは流石に安定感がある。
1980年 8月12日 銀座文化1
寅さん「リリー、オレと所帯を持つか?」 (短くない沈黙) (さくらとヒロシとおいちゃんとおばちゃんが寅さんを見る) リリー「バカね、寅さん。そんな冗談言って(笑)」
BSテレビ東京で映画「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」を見た。
劇場公開日 1980年8月2日
渥美清52才
倍賞千恵子39才
浅丘ルリ子40才
江藤潤29才
浅丘ルリ子は「男はつらいよ」に3回目の出演。
この作品は男はつらいよ全48作品の中で1位2位を争う人気作品らしい。
江藤潤という人は当時多くの映画やTVで見た記憶がある。
人気の俳優だったような気がする。
興行先の沖縄で病に倒れたリリー(浅丘ルリ子)から寅屋に便りが届く。
寅さんは苦手な飛行機に乗り沖縄に向かう。
静養しながら沖縄で暮らすリリーと寅さんだが、
数日後けんか別れしてしまう。
東京で再会する2人。
寅さん「リリー、オレと所帯を持つか?」
(短くない沈黙)
(さくらとヒロシとおいちゃんとおばちゃんが寅さんを見る)
リリー「バカね、寅さん。そんな冗談言って(笑)」
(寅さんが本気で言ったということはリリー、さくら、ヒロシはわかっていた)
ちょっとだけ泣ける場面だった。
上映時間は104分。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
噛めば噛む程に美味しいスルメのような映画です
大好きな作品です
何度も観ているといろいろと気付きがありました
寅さんの生年は1940年とも、1936年とも、1931年の昭和9年とか諸説色々です
リリーさんの生年はどうにも分かりません
仮に浅丘ルリ子と同い年とすると、1940年昭和15年です
仮に寅さんを1931年生まれとするとリリーさんとの年表はそれぞれこうなります
1973年 忘れな草の出逢い 42歳、33歳
1975年 相合い傘の別れ 44歳、35歳
1980年 本作、ハイビスカスの花の再会 49歳、40歳
1995年 紅の花での同棲 64歳、55歳
晩婚化の進んだ21世紀の現代なら本作のカップルが結婚したって、さほど珍しくも無いですね
リリーさんが相合い傘で再登場したのは何故でしょか?
多分忘れな草では、彼女を描ききれて無かったからだと思います
では、何故また本作ハイビスカスの花でリリーさんを取り上げたのでしょうか?
それはシリーズも10年を過ぎて、山田監督が句読点を一旦打とうとしたのかも知れないと思うようになりました
彼女だけが寅さんと釣り合うマドンナであって寅次郎と結婚してしまえばシリーズ終了となってしまう
本作は、それが本当にそうなのか、間際まで近づいてみて、それを実際に確認してみようという映画なのだったと思います
結果は観てのとおりです
リリー、俺と所帯もつか?
俺、今なんか言ったかな?
もしここでリリーが
ありがとう寅さん!と抱きついて
さくらが、おめでとう、お兄ちゃん!と祝福すればこの瞬間、シリーズは本作をもって終了になってしまうことがやはりハッキリしました
これではもう次にリリーさんを出したときは、シリーズ最終回になってしまうんだ
そういう予告になってしまいました
これが本作の目的だったのだと思います
つまりシリーズのこの先も長い継続させる為にも
その終わり方を予め決めておく
それが本作の目的だったのです
赤いハイビスカスの花言葉は「常に新しい美」「勇敢」だそうです
幾つになっても恋愛は美しい
寅さんがもうすこし勇敢にリリーさんの愛情に立ち向かっていたら・・・という意味だったと思います
リリーさんだってそうです
二人とも傷つくことが怖いのです
勇敢でなかったのです
タイトルバックの滝は北軽井沢の白糸の滝です
村の子供達はみな真夏の服装
寅さんが暑そうで滝の冷たい水に足を漬けてます
季節は夏です
そしてラストシーンのバス停
そこに草津ナウリゾートホテルのバスが差し掛かります
リリーさんとバンドメンバーを軽井沢駅で拾って草津に向かうようです
寅さん暑そうで団扇を持ってますから、このシーンも真夏です
ここでも気付きがありました
白糸の滝は軽井沢から草津にいくバスの通り道に有ります
つまりタイトルバックとラストシーンは実はひと続きでつながっていたのです
沖縄行きの航空券には6月18日と発券日のスタンプが押されてました
また終盤の御前様のお経はお盆の法事ですから、沖縄のお話は全部その間のことです
つまりタイトルバックとラストシーンは、その物語が終わったお盆の頃の事です
寅さんとリリーさん、柴又駅で別れて半月ほどでバッタリ再会していたという時系列のようです
監督はやっぱり運命的な二人なのだということを始めと終わりに説明していたのです
そしてその近くの村を舞台としている映画が、木下惠介監督のカルメン故郷に帰るです
リリーが柴又という故郷に帰るという内容にかけていたのだと思います
もう一つ気付きがありました
では舞台はなぜ沖縄だったのでしょうか?
まだ寅さんが行っていない県はまだまだ沢山ありましたから意図があったはずです
それは本作でリリーさんを取り上げると決まったら、前作からどうつなげるかを考え抜いた結果だと思います
前作の公開年は1975年
その年は何があったのか?
沖縄海洋博開催
山陽新幹線の博多開業
ベトナム戦争のサイゴン陥落による終結
こんな年だったのです
だから沖縄が舞台に選ばれたのだと思います
海洋博のあとの水族館の近くにリリーさんと一緒に住むのはこうした理由だと思います
沖縄に着いてバスが米軍基地の前に差し掛かると戦闘機や輸送機の爆音が響きます
リリーさんが高志と仕事を探すのは、キャンプハンセンの門前飲み屋街です
もちろん沖縄の基地問題のことです
そして寅さんはあまりの炎天にこんなことを口走ってしまいます
あーまいった、この沖縄ってのはとっても人間の住めるとこじゃねえよなあ
これは本土の人間の無意識な沖縄への差別意識を取り上げていると思います
ただの娯楽作品だけに終わらせていなかったのです
ひとつ屋根の下、もどかしいふたり
"男はつらいよ" シリーズ第25作。
Huluで鑑賞。
リリーが三たび登場。沖縄で病に倒れた彼女からの報せを受け、病床へ駆けつけんと寅さんは人生初の飛行機に乗る決断を下すものの、生来高いところが苦手だからイヤだイヤだと大騒ぎ。最後は美人のスチュワーデスに鼻の下を伸ばしてホイホイ着いて行き、ようやく空の人となったのでした。
寅さんの手厚い看病のお陰かリリーは無事退院。ふたりで同棲生活を送ることになりました。そのままゴールインかと思われたのも束の間、とあることから喧嘩になって別れてしまいました。原因は多分にリリーの嫉妬が入っているので、つくづく寅さんに惚れているんだなと思いました。
お互いにしこりが残っていたのか、柴又で再会。その時寅さん、こう漏らす。「俺と所帯を持つか?」。慌てて誤魔化す寅さん、乗っかってふざけるリリー。両想いなのは明らか。似た者同士でお似合いなのですが、似た者同士だからこそ素直になれないところまで同じ。恋愛の機微、ここにあり。
リリーがマドンナだと、確実に名作になるの法則!
[以降の鑑賞記録]
2020/05/04:Blu-ray(4Kデジタル修復版)
2022/04/23:Blu-ray(4Kデジタル修復版)
※修正(2024/04/19)
暑いから夢を見ていただけ?
リリーは沖縄で病気になっていたのだ。しかし、トラ屋の面々は列車と船の話ばかりして、誰も飛行機で移動することが思いつかない。そして寅さんは飛行機が苦手。御前様の説得によって決意するも、いざ羽田に着くとそこでも駄々をこねる寅。最終的には美人スチュワーデスのおかげ。
看病も無事終わり退院して、仲良く過ごす二人。リリーへの愛情もままならず、水族館へ遊びに行く日々が続いた。高志(江藤)がリリーに惚れてしまい、寅との結婚を止めるように忠告を与えてしまう。働かないと金がない。「男の世話になんかなりたくない。だけど夫婦だったら別よ」と言われても「所帯なんか持つガラかよ」と茶化してしまう寅。ちゃぶ台返しまでするリリーであったが、どこまで本気だったのだろう。帰ってきたら行き倒れというオマケつきだったが、家族に言われようやくあれが愛の告白だったと気づく始末。
そして再会。もしや結婚の可能性が!と思いきや、沖縄の思い出話で盛り上がるばかり。唄を歌った直後、「俺と所帯持つか?」と言った寅さん。家族が一瞬凍りつくかのような反応をしたけど、冗談にさせられた・・・本気と冗談。二人のタイミングがなかなか合わない。やっぱり夢だったのだろうか・・・しかし泣ける。
照れ隠し、本音が言えない、攻撃的な会話の裏側だとか謎かけのような恋愛テクニックに二人とも空回りする様子に手に汗握る・・・なんて、行間を読むような脚本が上手すぎるんでしょうけど、家族たちのハラハラ度合いも伝わってくる。沖縄に着いたところからジェット機の音がうるさくてしょうがないのも、米軍基地への怒りがこもってたような気もします。
二人が一緒になるのは夢かもしれないけど、あの一緒に暮らした日々は夢ではない
シリーズ25作目。
いよいよ折り返し!
さて本作は、『夕焼け小焼け』『知床慕情』と並び、シリーズ一、二の名篇と名高い。
山田監督自身シリーズの中でも最もお気に入りで、渥美清亡き後、特別篇として公開したほど。
いつものOPの夢は割愛させて頂いて(ちなみに、ねずみ小僧・寅次郎)、早速本筋へ。
仕事の営業回り中、博は思わぬ人物と再会。
リリー。
過去2度、寅さんと愛を語り合った永遠のマドンナが三度登場。
変わらずの各地のキャバレーで歌う旅暮らしで、寅さんを懐かしむ。
それから暫くして帰ってきた寅さん。ちょうどとらや一同出掛ける寸前で、余所余所しい気遣いにおかんむり。
喧嘩ムードになる中、そこへ速達が。
差出人は、リリー。手紙の内容が…
仕事中、血を吐いて倒れ、入院しているというリリー。うんざりな自分の人生、でも最後にせめて一目、寅さんに会いたい…まるで死を仄めかしているかのよう。
かつて惚れ合った女がこんなにも落ち込んでいる。
漢・寅次郎はすぐにでも駆け付けてやろうとするが…、リリーが今居る所というのが、何と沖縄!
どうやって行く? どうやって行ったら一番早く着く?
そうだ! 飛行機だ!
ところが…
これも有名な爆笑珍エピソード、寅さん飛行機怖い。
何とか空港まで行くが、子供のように柱にしがみ付く。ジェット噴射で飛ぶと聞いても、「芋食って屁こいて、それで空飛べるか!?」と訳の分からない事を言い出す始末。
と、そこへ美人スチュワーデスが通り掛かり、ふらふらと後をついていく。まるで嵐を呼ぶあの5歳児!
初飛行機に乗り、やっと沖縄に着くが、降りる時はフラフラ&車椅子…。
色々あって、やっと辿り着いたリリーの元へ。
普段男勝りのリリーだが、この時ばかりは守ってあげたくなるような女になる。涙を流し、寅さんに抱き付く。
病状回復しなかったリリーだが、寅さんが来てからみるみる元気になっていく。
ある日寅さんが見舞いに来ると、おめかししているリリー。「どうしたんだ?」「これから二枚目が来るの」「誰が?」「もう目の前に来てる」…二人のやり取りも健在。
その仲睦まじさに、周りは焼きもち焼くくらい。
そして晴れて、退院!
暫く安静する事に。
海岸の小さな貸家で暮らす。寅さんとリリー、二人で。
ここからが、本作の本当の本題。
療養しながら、家事をするリリー。一応以前所帯持った事あるので、ある程度の事は出来る。
夕方、寅さんが稼ぎから帰ってくる。
風呂に入り、一杯飲み、向かい合って夕飯。
昼のクソ暑さとは売って変わって、涼しい海風。波音。
ハイビスカスの香り。
隣家から聞こえてくるおばさんの沖縄民謡。
いいなぁ…。この沖縄のムードが堪らなくいい。
そんな中で営む寅さんとリリーは、夫婦そのもの。
違和感も不自然もない。
やはり二人はお似合い。
が…
マドンナと親密になってくると距離を置き始める寅さん。水族館の若い女の子と仲良しに。
体調回復してきたリリーは、また仕事する事に。
反対する寅さん。「俺が食わせてやる」
「男に食わせて貰うなんて真っ平」と、やはりリリーはリリー。が、重ねて言う。「でも、夫婦だったら別よ」
この言葉はひょっとして…。
寅さんも意味は分かっているのだろう。だから、「何馬鹿言ってんだ」と笑って受け流すしかなかった。
その時、リリーの目に光るものが…。
そんなリリーを気遣うのが、隣家の青年・高志。
寅さんはリリーと高志の仲を疑う。
「てめえら、デキてやがんな!」
この寅さんの言葉はおかしい。寅さんとリリーは夫婦ではないのだから。
大喧嘩。
夫婦のような二人の暮らしはほんのひと時。翌朝リリーは居なくなっており、寅さんもリリーを追うかのように東京へ。
ここがまた笑える。
船や電車を乗り継ぎ、3日3晩飲まず食わずでやっと帰ってきた柴又。
行き倒れ状態で、柴又中大騒ぎ。さらに、栄養ある物とおばちゃんが買ってきたうな重にむしゃぶり付く!
病に伏したリリーを元気付けに行ったのに、自分が行き倒れ状態で帰ってくるなんて、オイオイ…!
寅さんの体調が回復してから何があったか事情を聞くさくらたち。
寅さんの不甲斐なさに呆れ、責められる。
今度会ったら、俺と所帯持とう…と言うべきよ、と。
今度会った時。そんな時、とらやを訪ねてくるのが、運命のマドンナ、リリー!
喧嘩した事など忘れたかのように楽しい思い出話に花が咲くが…、
寅さんが不意に切り出す。
「リリー、俺と所帯持つか?」
リリーの答えは…。
このすぐ後のさくらとリリーの会話になるが、「お兄ちゃん、ちょっと本気だったのよ」と言うさくらに対し、リリーは「分かってる」。
しかしリリーも、あの時の寅さんのように冗談と受け止めて笑い流すしかなかった。
惚れ合っている。一緒になるなら、この人/この女しか居ないとお互い分かっている。
だけど結局、一緒になれない。
そこが渡世人の男と女のつらい所…。
お互い言う。
あの沖縄での夫婦のような営み。暑さで夢を見ていただけさ、と…。
ラストシーンがまた粋!
バス停でバスを待っている寅さんに、旅バスから女が降りてきて話し掛ける。
寅さんはその女の顔を見て、
「何処かでお会いしましたっけ?」
「以前、お兄さんにお世話になった女です」
「はて、こんな美人をお世話した覚えありません」
「この白状者!」
再会して、惚れ合って、喧嘩別れして、そしてまた再会して…。
エンディングの後、二人はまた繰り返すだろう。
そして二人は最後にもう一度、巡り合うのである。渥美清の遺作となったシリーズ最終48作目、『寅次郎紅の花』にて。
素晴らしかった
傑作の誉れ高い作品で期待して見たのだが、期待を超えてくる素晴らしさで、リリーが3作目で一番魅力的だった。メイクもすっきりしていた。会話のテンポ感が素晴らしい。リリーから行くと寅がすっかりおかしくなって若い水族館の女の子に目が行くのも、見事に童貞らしい。ちょっとしたボタンの掛け違いが切ない。
哀愁。第25作。 今作はかなり真面目。寅の、そしてリリーの恋がいよ...
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