落葉とくちづけ
劇場公開日:1969年3月29日
解説
「花の宴」の斎藤耕一と「わが闘争」の広瀬襄が共同で脚本を執筆し、「小さなスナック」を監督した斎藤耕一がメガホンをとった青春もの。撮影は「また逢う日まで 恋人の泉」の小辻昭三が担当した。
1969年製作/87分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1969年3月29日
ストーリー
城南学園演劇部の大女優的存在の田代信子は、水谷たちのグループから、シンデレラのように仰がれていた。やがて、卒業公演を終えた信子と水谷たち五人は永遠の友情を誓って学窓を去っていった。それから一年、信子はコマーシャル・タレントとして頭角をあらわし、見合いの話が絶えなかった。そんな時、いつも妨害に現われたのは、水谷グループの面々だった。というのは、いつまでも信子を“永遠の乙女”としておきたかったからだった。水谷らはヒゲのグループと異名をとって、安キャバレーで唄っていたもののいっこう人気が出なかった。そんな折、信子の前に奇妙な男が現われた。その男の名はジュン。ペンキ屋の小僧として働くかたわら、漫画家を志望して勉強にうち込む好青年だった。彼は、東北の青年と少女の悲恋を描いた純愛マンガ“ノッポのノンコ”を週刊誌に売り込んだが、あっさり断られてしまった。だが、ジュンは作品の主人公で夢にまで追いつづけたノンコを探し当てて満足だった。その相手こそ、信子だったのだ。信子は、ジュンに、もし僕を知らないのなら、記憶を喪失しているのだ、と言われて毎夜悩んだ。そして、水谷らは恋仇の出現とばかりに、いろめきだった。やがて、クリスマスの晩がやってきた。その日、水谷のグループ・サウンズは、自慢の髭をそり落したことがもとで、人気絶頂のグループ・サウンズと間違えられ大劇場の公演にひっばりだされて行った。そして、クリスマスの夜更け、信子はジュンの恋人になりきって、東北の街に脱出した。雪国の夜は寒かった。野も山も銀一色の世界だった。二人は身体を寄せ合って暖をとったが、押し寄せる冷気には勝てなかった。翌朝、捜索隊に発見された時、二人は死の一歩手前だった。やがて、信子は、ジュンが記憶喪失症の男であることを知らされた。だが、信子は過去の美しい想い出だけを追想し続けるジュンをせめる気にはなれなかった。