OL忠臣蔵のレビュー・感想・評価
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アドバイザーは山一證券♪
97年の作品
U-NEXTで鑑賞
初鑑賞
わりとその存在は前世紀から知っていてタイトルに惹かれたがなかなか観る機会がなかった
久米田の漫画にも忠臣蔵を語る上で冷蔵庫の野菜中心蔵と共に例として挙げられたがこの作品を観た人は少ないだろう
監督と脚本は『夜逃げ屋本舗』シリーズ『いらっしゃいませ、患者様。』の原隆仁
脚本は他に『大奥 永遠 右衛門佐・綱吉篇』の神山由美子と『伊賀カバ丸』『夜逃げ屋本舗』シリーズの長崎行男と『ぷりてぃウーマン』『夜逃げ屋本舗』シリーズの真崎慎
過激なリストラ案を押しつける乗っ取り屋から会社を守るため女性社員たちが立ち上がる企業を舞台とした痛快コメディー
わりとよくまとまっていて案外面白かった
M&A
サルでもわかる労基法
はっきりいって忠臣蔵とは全くといっていいほど関係ない
忠臣蔵のどこもパロってない
なぜこんなタイトルをつけたのかよくわからない
だけど作品の出来は娯楽作品として悪くない
全国のTSUTAYAやゲオに置いていてもいいと思う
片岡千恵蔵が主演した忠臣蔵の隣に置いておけば間違えて借りる客も少なからずいるかもしれない
今から四半世紀前の作品だがそれほど古さは感じなかった
パソコンの厚みくらいか
坂井真紀演じる主人公佐倉ふぶきの仲間たちOLのメンバーにも若干感じるものがあるが
クレーム処理で東京から気仙沼に浜松に北海道とお客さまの自宅に訪れるって凄いな
僕は一度だけ某企業に電話でクレームをつけたことがあるが教科書通りの対応でインスタント味噌汁の詰め合わせが届いただけだった
味噌のメーカーでインスタントの味噌汁の中にベルトコンベアの白くて小さい切れ端のようなものが入っていたのだ
この対応が普通なのに全国飛び回るって馬鹿みたい
社長室で社長交代に激しく抵抗する塩嶋前社長演じる長門裕之のコミカルな演技が良い
クレーム処理部門の課長の女性社員たちに対する暴言が酷い
「女はすぐ泣くし馬鹿だしすぐ辞める」
職場では女性社員が沢山働いているのに
今ならあり得ないと思う人もいるだろうけど現実は甘くないし少なからず今でも存在する
生まれつきの性分で法律がいくら厳しくなっても人間の本質はそう易々と変われるものではない
この頃から既に坂井真紀の演技力高い
グッとくる
悪役だが南果歩がカッコいい
エンドクレジットも続きがあり
日本映画らしい良心的なサービス
山崎一の裸逆立ちが観ることができなかったのは複雑な思いだ
男色ではないが約束を守らないのは狡い
パンツくらいは履いてやれよと思ったのは確か
日本の通販会社オレンジハウスで商品企画部に所属するデザイナーだったがクレーム処理担当のカスタマーサービス課に左遷される佐倉ふぶきに坂井真紀
オレンジハウス秘書課の紅葉山綺麗に細川直美
インサイダー情報で自社株を大量購入し株の暴落で大損するオレンジハウス総務部のメガネ花祭鯛子に中島ひろ子
オレンジハウス配送センターの契約社員として働く元ヤンキーのシングルマザー香車銀子に吉野公佳
オレンジハウスでカタログ編集を担当しているが同僚のフィアンセ会田が学歴詐称で解雇される小暮日向に奥山佳恵
会社の備品のトイレットペーパーをパクって自分のロッカーに集めていたオレンジハウスのカスタマーサービス課に所属している井戸端美和に井出薫
提携先破綻による株価暴落の責任を取らされオレンジハウスの社長を解任される塩嶋秀次郎に長門裕之
塩嶋の社長解任後専務から社長に昇格する栗林重吉に小坂一也
提携反対派のオレンジハウス常務の家永良明に江藤潤
女性を蔑視するカスタマーサービス課課長の多古裕次郎に山崎一
リストラ問題で悩み体調を崩し入院し会社を辞めさせられる商品企画部課長の大石亮子に中村久美
佐伯常務に大林丈史
メインバンク秀和銀行支店長の石田哲雄に大河内浩
宗方総務部長に伊藤洋三郎
オレンジハウスの社員だったが学歴詐称(大学中退を卒業)で解雇される会田宏に見栄晴
オレンジハウスの社員に並樹史朗
自分の会社を計画倒産させオレンジハウスの解体売却を目論むアメリカ大手の通販会社「JJドリーム」代表取締役の朝吹希里子に南果歩
朝吹の仲間で乗っ取り屋のアンディに高杉亘
朝吹の仲間で乗っ取り屋の岩国正宗に斉木しげる
ふぶきがクレーム処理で出会うオレンジハウスの商品のファン田辺志津代に草村礼子
花祭鯛子の親戚の証券マン白滝正彦に中島陽典
賭場の親分に南州太郎
オレンジハウスの株主の一人で占い師に河原さぶ
そのほかに諏訪太郎や揚田亜紀も出演
今見ても女性観が古くない
四半世紀前の映画なので、女性のしゃべり方だったりノリだったり25歳までに結婚の目標だったり男性上司からのロコツな女性差別だったり、そもそも「OL」という言葉だったり、いろいろと時代を感じる部分はあるけど興味深い。
クレーム処理の部署に飛ばされた主人公が個人客にお詫びをしに日本列島を北へ南へ飛んでいく。映画の中では会社に酷使されて……みたいな文脈なんだけど、いやその程度のことでそんなにバンバン出張できるんだ、人もお金も潤沢な時代だなと感心してしまう。
会社が乗っ取られそうになって立ち上がるOLたちというストーリーだけど、忠臣ってことでは全然なく、それぞれ自分の感情で動き出す。婚約者がリストラされそうだから、憧れの上司が左遷されたから、自身が株で大損させられたから、など。ノリはめちゃくちゃ軽い。何かといえば乾杯するし、失敗しても「まあ、いいか」で済ます。新社長が決まったときも「(次は)誰なったの。ハゲ? メガネ? (画面の写真見せられ)サルかー」とテンポがいい。どこが忠臣蔵やねん。
それでも、会社が配送センターを閉鎖すると聞いた彼女たちの反応が「そんな大事なこと今初めて聞いたんだけど」「配送センターってうちの心臓部じゃない」というもので、花形部署とか憧れの部署はあっても、それとまた別にビジネスの本質を当たり前に理解している設定になっている。結局、この知らせがきっかけで、会社を解体して売り飛ばすという敵方の目論見に彼女たちは気づくことになる。
配送センターといえば、吉野公佳が美しかった。演技はアレだけど、そりゃ作り手は起用したくなるし見せ場をつくりたくなる。
ふぶき(坂井真紀)が「私、あなたがフォークリフトを磨いているところを見てた。私があなたでも辞める日にはそうすると思う」と言って、その言葉で銀子(吉野)が心を動かすのもいい。女性が仕事に対して持つこだわりとか矜持、ないことにされがちなそういうものが描かれている。人物にほれ込むとかなんとか大げさなことじゃなく、ただ共鳴するみたいに連帯するのが女たちらしくて好きだ。
坂井真紀はこの頃すでに演技に抜群の説得力があって(「私の運命」がこの3年前)、演説シーンをこんなに上手にやれる女優さんも珍しいのではと思った。女優の演説シーンで今ぱっと思いついたのは「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」の桜井幸子。引退がいまだに惜しい。
南果歩のヒールもよかった。軽やかなセリフ回し。ふぶきの尊敬する上司を病院で自主退職に追い込んだ後の「お大事に」も自分が負けて去っていくときの「またね」もサックサクに軽くて面白い。負けた後も彼女をみじめにさせない演出も見心地がいい。米国へ帰って上司に「OLって何」と聞かれて「アメリカには決していない人種」とだけ答えるのもよかった。脚本、神山由美子さん。
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