駅/STATIONのレビュー・感想・評価
全35件中、21~35件目を表示
大ヒット曲舟歌の映画化と言って良いと思います
1981年公開で物語は1968年と1976年と1979年の三つの時間軸で展開されます
舟歌は1979年の大ヒットで実際に劇中にあるように紅白歌合戦の紅組のオオトリで歌われています
本作はこの歌を映画化したものと言って良いと思います
孤独な中年の男女が辺鄙な町の小さな居酒屋で出会う
確かにそうなのですが、そんな薄ぺらい物語ではなく、そこに至るまでに大変に重厚にその男の過去と背景を丁寧に描いていきます
ですから、私達は彼の人生の重さと深さを自分のように感じることができるのです
だからこそ、そのシーンのつかの間の心が休まる一時を共感できるのです
そしてそのシーンの溶けるような甘さと美しさを心から感じる事ができるのです
舟歌は二度かかります
歌そのままの世界と、その先の世界を映像化して見せてくれます
一番目は照れ臭く、二度目は胸がつぶれそうになって聴くことになります
高倉健50歳、いしだあゆみ33歳、倍賞千恵子40歳
高倉健は北海道の荒涼とした雪景色が本当に良く似合います
いしだあゆみの美しさ、はかなげさは男の記憶にいつまでも焼き付くものでものすごい説得力があります
この配役が駄目なら全てぶち壊しになるところ大成功の配役でした
倍賞千恵子もまた高倉健との相性が素晴らしく
文句のつけようがありません
そのやつれ具合が絶妙です
また宇崎竜童が素晴らしい脇役ぶりをしています
日本アカデミー賞助演男優賞をとるのは当然だと思います
男も女ももはや若くない
先もみえている
お互いに重い過去をいろいろしょいこんでいる
その風情が見事にでています
主要な出来事は駅で展開されます
駅は別れと出会いの場です
それぞれの運命という列車にのり、下りてくるところです
でもその切符を買うのは本人の意志なのです
主人公三上は札幌行きの切符を買ったのです
そうして今度は東京行きの切符を買うのかも知れません
そのような予感を持つ終わり方でした
雄冬は離島ではありませんでした
増毛から南に海岸線沿いに20キロ程、劇中でも台詞にあるように当時は道が悪く陸の孤島で連絡船で行くところだったのですね
いまは増毛駅も北砂川駅も線路自体が廃線され駅もなくなっているようです
久しぶりに冬の北海道を訪れてみたくなりました
女たち、事件と絡みながら一人の警官の生き様を描く。倉本聰脚本で何か...
大人(50代)向け
主人公は警察の狙撃手。
人の死を間近で見続ける狙撃手の感情、葛藤が描かれている。
人がどっさり死ぬ割りに淡々と話はすすむ。
職業柄かしらないが、人の死に対して異次元の
感覚で動いており、共感するのが難しかった。
登場人物の年齢くらいにならないとわからない内容なのかも。
男と女、出会って、別れて…
倉本聰が高倉健の為に脚本を書き下ろした人間ドラマ。
一人の男と彼に携わった女たちとの宿命的な出会いと別れ。
3部構成。
1968年。オリンピックの狙撃選手に選ばれた刑事の英次は、冬の函館駅のホームで妻・直子と幼い息子に別れを告げる。ある日の検問で、先輩刑事が連続警官射殺犯に殺され…。
1976年。オリンピックを断念する事になった英次。赤いスカートの女性ばかりを狙った事件が発生、犯人とされる男の妹・すず子をマークする…。
1979年。刑事の仕事に嫌気が差した英次。年の瀬の夜、ふらりと立ち寄った居酒屋を女一人で営む桐子と出会い、互いに惹かれ合う。が、桐子の前の男は…。
刑事サスペンスとしてはちと弱い。
立て籠り犯に呼びかける年老いた母親とか、チープでさすがに古臭さを感じる。
何かの因果のようなクライマックスの展開はなかなかだが。
やはり、男と女の物語として見るのが正しい。
妻・直子やすず子は間接的ではあるが、英次の彼女たちへの想いや眼差しは悲哀を感じさせるに充分。
直接的な関係を持つ事になるのが、桐子。
倍賞千恵子のいい女っぷりも必見だが、昔見た時も、あるシーンが印象に残った。
大晦日の夜、紅白を見ながら、肩を寄せ合う二人。そこにかかる、八代亜紀の「舟唄」。
男と女のロマン、冬、酒、演歌…。
綺麗事や昨今のおままごと的なものじゃない、男と女の関係を、情感たっぷり、しみじみと謳う。
そして、それが画になる、高倉健の佇まい!
やっぱり格好いい
日本アカデミー賞授賞式が近づいてきて、健さんの作品が観たくなり、鑑賞。
やるべき事への忠実さ故に、側にいる女性を傷付けてしまう、刑事をしている男性。
眼差しや表情、手や仕草が本当に格好よくて、見惚れてしまいました。
流れてくる昭和歌謡曲もよかったですね。
降旗康男監督、木村大作カメラマン、倉本聰さん脚本とスタッフが豪華。もちろんキャストも。
ノスタルジーに浸れて、満足の一本でした。
万人に見てもらう抑制の効いたドラマ
監督降旗康男、脚本倉本聰、主演高倉健とあってホームドラマの定番。抑制が効いているため劇的な感じが伝わってこない。射撃の名手ではあるが、一発で殺してしまうところや、一杯飲み屋の女性と出来てしまうところなど、結構あっさりしていて何か伝わってこない。
万人には十分感じてもらうものはあるかとは思うが。
交差点。
舟歌などの歌謡曲が懐かしい
物語の中で幾度となくその年(1980年)の印象深い歌謡曲が流れる。都会では物質的な豊かさを享受する生活が絶頂を迎えている。そのような時代でも、北の田舎町で、人生に傷を負った人々がひっそりと暮らしている。高倉健演じる主人公の刑事も、離婚、オリンピック出場の取り消しなどを経験し、人生の目的や生きがいを見失っている。この男が、いくつかの事件を通して、人生の機微に触れ自分を見つめなおす。
印象的なのは、高倉と居酒屋の女将倍賞千恵子がベッドに横たわるシーン。「幸せの黄色いハンカチ」の妻(あ、これも相手役は高倉か)、寅さんの妹のさくらと、貞淑な役のイメージが強い倍賞。髪を乱したまま横たわる彼女の色っぽさ。この人が女優であったことを、改めて思い知る。健さんのような男でも、一夜をともにしてしまうことの説得力が彼女にあった。
二人が観に行く映画も良かった。Mr.Boo!シリーズの中でも、いちばんおかしいアクションシーン。辛いこと、悲しいこと、不条理なことがある一方で、このようなみんなが屈託なく笑える娯楽もあった時代。
八代亜紀、ジュディ・オングなどがブラウン管に映る。豊かな時代がきても、人生に迷う人々はいなくならない。でも、その憂さを晴らすものもそこかしこに存在した時代。映画も唄もそのことを示している。
北国と雪と演歌と健さん
総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 75
音楽: 75
北国と雪と演歌と健さんという、ベタベタなお約束の取り合わせな昭和映画。物語はとびとびになっているんだけれど、彼の醸し出す孤独な男の哀愁と、彼の周りで起きる事件といろんな事情を持って生きる人々の人生のやるせなさと切なさが、このベタベタな設定に予想以上に見事なまでに合致していた。これならばこのベタなお約束の取り合わせはたいした物だと思った。昭和な雰囲気全開だけど、それがしっとりと静かに染み入ってくる。
初めて観たと思っていたが、観ているうちにマラソン選手の遺書だの武田鉄也と健さんが一緒に寝ている場面が記憶を甦らせてくれて、実は大昔に見たことがあることがわかった。 記憶にないくらいだからそのときは何とも思わなかったのだろうが、大人になるとこういうものの良さがわかってくるということだろう。
全35件中、21~35件目を表示