駅/STATIONのレビュー・感想・評価
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男と女、出会って、別れて…
倉本聰が高倉健の為に脚本を書き下ろした人間ドラマ。 一人の男と彼に携わった女たちとの宿命的な出会いと別れ。 3部構成。 1968年。オリンピックの狙撃選手に選ばれた刑事の英次は、冬の函館駅のホームで妻・直子と幼い息子に別れを告げる。ある日の検問で、先輩刑事が連続警官射殺犯に殺され…。 1976年。オリンピックを断念する事になった英次。赤いスカートの女性ばかりを狙った事件が発生、犯人とされる男の妹・すず子をマークする…。 1979年。刑事の仕事に嫌気が差した英次。年の瀬の夜、ふらりと立ち寄った居酒屋を女一人で営む桐子と出会い、互いに惹かれ合う。が、桐子の前の男は…。 刑事サスペンスとしてはちと弱い。 立て籠り犯に呼びかける年老いた母親とか、チープでさすがに古臭さを感じる。 何かの因果のようなクライマックスの展開はなかなかだが。 やはり、男と女の物語として見るのが正しい。 妻・直子やすず子は間接的ではあるが、英次の彼女たちへの想いや眼差しは悲哀を感じさせるに充分。 直接的な関係を持つ事になるのが、桐子。 倍賞千恵子のいい女っぷりも必見だが、昔見た時も、あるシーンが印象に残った。 大晦日の夜、紅白を見ながら、肩を寄せ合う二人。そこにかかる、八代亜紀の「舟唄」。 男と女のロマン、冬、酒、演歌…。 綺麗事や昨今のおままごと的なものじゃない、男と女の関係を、情感たっぷり、しみじみと謳う。 そして、それが画になる、高倉健の佇まい!
やっぱり格好いい
日本アカデミー賞授賞式が近づいてきて、健さんの作品が観たくなり、鑑賞。
やるべき事への忠実さ故に、側にいる女性を傷付けてしまう、刑事をしている男性。
眼差しや表情、手や仕草が本当に格好よくて、見惚れてしまいました。
流れてくる昭和歌謡曲もよかったですね。
降旗康男監督、木村大作カメラマン、倉本聰さん脚本とスタッフが豪華。もちろんキャストも。
ノスタルジーに浸れて、満足の一本でした。
万人に見てもらう抑制の効いたドラマ
監督降旗康男、脚本倉本聰、主演高倉健とあってホームドラマの定番。抑制が効いているため劇的な感じが伝わってこない。射撃の名手ではあるが、一発で殺してしまうところや、一杯飲み屋の女性と出来てしまうところなど、結構あっさりしていて何か伝わってこない。
万人には十分感じてもらうものはあるかとは思うが。
交差点。
いしだあゆみ、古手川祐子、倍賞千恵子、鳥丸せつこ。綺麗ドコロは画面に映えるなー。 それぞれが事情を抱えていて、それでも前を向いて生きていて。 健さんも含め、寂しさや孤独を胸に抱きながら、その刹那、触れ合う様を描いている。 哀しき日々に時折顔を覗かせる太陽。北海道の厳しい寒さとリンクしていて、飽きませんでした。 劇中挿入されていた、Mr.Boo!が観たくなりました。
『駅/STATION』
桐子役の倍賞千恵子。 居酒屋のカウンターの中で熱燗をつけるシーンは国宝。 今後どの女優が熱燗をつける演技をしてもあれ以上の演技は出来ない。 倍賞千恵子が封印させた、俺はそう思った。
舟歌などの歌謡曲が懐かしい
物語の中で幾度となくその年(1980年)の印象深い歌謡曲が流れる。都会では物質的な豊かさを享受する生活が絶頂を迎えている。そのような時代でも、北の田舎町で、人生に傷を負った人々がひっそりと暮らしている。高倉健演じる主人公の刑事も、離婚、オリンピック出場の取り消しなどを経験し、人生の目的や生きがいを見失っている。この男が、いくつかの事件を通して、人生の機微に触れ自分を見つめなおす。 印象的なのは、高倉と居酒屋の女将倍賞千恵子がベッドに横たわるシーン。「幸せの黄色いハンカチ」の妻(あ、これも相手役は高倉か)、寅さんの妹のさくらと、貞淑な役のイメージが強い倍賞。髪を乱したまま横たわる彼女の色っぽさ。この人が女優であったことを、改めて思い知る。健さんのような男でも、一夜をともにしてしまうことの説得力が彼女にあった。 二人が観に行く映画も良かった。Mr.Boo!シリーズの中でも、いちばんおかしいアクションシーン。辛いこと、悲しいこと、不条理なことがある一方で、このようなみんなが屈託なく笑える娯楽もあった時代。 八代亜紀、ジュディ・オングなどがブラウン管に映る。豊かな時代がきても、人生に迷う人々はいなくならない。でも、その憂さを晴らすものもそこかしこに存在した時代。映画も唄もそのことを示している。
北国と雪と演歌と健さん
総合:85点 ストーリー: 85 キャスト: 85 演出: 85 ビジュアル: 75 音楽: 75 北国と雪と演歌と健さんという、ベタベタなお約束の取り合わせな昭和映画。物語はとびとびになっているんだけれど、彼の醸し出す孤独な男の哀愁と、彼の周りで起きる事件といろんな事情を持って生きる人々の人生のやるせなさと切なさが、このベタベタな設定に予想以上に見事なまでに合致していた。これならばこのベタなお約束の取り合わせはたいした物だと思った。昭和な雰囲気全開だけど、それがしっとりと静かに染み入ってくる。 初めて観たと思っていたが、観ているうちにマラソン選手の遺書だの武田鉄也と健さんが一緒に寝ている場面が記憶を甦らせてくれて、実は大昔に見たことがあることがわかった。 記憶にないくらいだからそのときは何とも思わなかったのだろうが、大人になるとこういうものの良さがわかってくるということだろう。
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