劇場公開日 1961年9月16日

「非常に力のある作品、そして斬新な表現」永遠の人 pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0非常に力のある作品、そして斬新な表現

2025年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

京都文化博物館フィルムシアター「生誕100年 高峰秀子 銀幕に生きる」で鑑賞。

なかなかすごい映画だった。
木下恵介監督の作品は、『二十四の瞳』と『カルメン故郷に帰る』くらいしか観ていなかったから、こんなヘビーな映画も撮っていたのだなとちょっと意外だった。
巧みな脚本に、それから非常に力を持った作品であることに感心したけれど、物語の内容が不和や憎悪にあふれているのでちょっとキツかった。

それはそれとして、やはりこれだけのクオリティーの映画を撮り切るというのは、大したものだと思う。
この、憎悪と諍いに満ちた “人間絵巻” を完成させるにあたって、監督はじめスタッフ、そして出演者たちはとてつもないエネルギーと集中力を要したことだろう。

それから、特筆すべきは、全編にわたって使われているフラメンコギターのBGMである。これも意外であった。
そのスパニッシュな響きが映像に合っているような合っていないような……。とにかく非常に斬新な気がした。

か弱い娘から強い母へ、封建的社会に生きる「女」を堂々たる芝居で演じ切った高峰秀子はやはり素晴らしい女優である。そして、名脇役、加藤嘉もやはり素晴らしい。

peke