「円谷(一)ウルトラマン」ウルトラマン(1967) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
円谷(一)ウルトラマン
いよいよ! 『シン・ウルトラマン』公開まで目前!
未だ徹底した秘密のベールに包まれた作品が、“シュワッチ!”と登場する!
公開初日に観に行けないのは残念だが、鑑賞日まで気分を盛り上げる為に、まずTVシリーズを再見(現在は『セブン』を再見中)。最後のテコ入れとして、初代マンの劇場版を鑑賞。
本作は昔、VHSで持っていて見た記憶がある。
そのVHSはもう無く、近くのレンタル店にも置いておらず、そんな時見つけたU-NEXT配信!
本当はすぐにでも見たかったけど、このカウントダウン時まで待っていた!
『ウルトラマン』初の劇場版。1967年の作品。
劇場版…と言っても、新撮ではない。TVシリーズを再編集したもの。
が、当時はまだTVではモノクロが多く、劇場大スクリーンでカラーでウルトラマンと怪獣のバトルを見れた事に、多くの子供たちは大喜びしたとか。
チョイスエピソードは絶妙。初代マン貢献者の一人、円谷英二氏の息子、円谷一。TVシリーズから彼が演出したエピソード3篇(内、一つは前後編)を合わせた、これぞウルトラマン!…とでも言うべき王道娯楽篇!
第1話『ウルトラ作戦第一号』。
これを見ずして『ウルトラマン』は始まらない!
ウルトラマンが地球にやって来た理由、ハヤタとウルトラマンの出会い、科学特捜隊による“ウルトラ作戦第一号”、そしてベムラーとの決戦…。『ウルトラマン』の始まりであり、入門エピソード。
…だけど、本作の編集にはびっくら驚いた!
TVシリーズでは“ウルトラ作戦第一号”中、ハヤタの乗る潜水艇がベムラーに捕まり、あわや!…って時、初めて変身。
が、本作ではウルトラマンには変身せず、科特隊がベムラーを倒した事になっている。
ここはウルトラマン紹介も兼ねて、TVシリーズ通りで良かったのでは…?
と言う事で、ウルトラマン登場は次の“事件”で。
第8話『怪獣無法地帯』。
本作は科特隊が一つの事件を解決し、すぐまた新たな事件と遭遇するという展開(編集)になっている。
次なる事件は、多々良島。消息を絶った調査隊の救出。
その多々良島で目撃したのは…!
スフラン! ピグモン! マグラー! チャンドラー! そしてレッドキング!
怪獣がわんさか登場! 劇場で観るに相応しい娯楽巨篇!
何と言っても、レッドキングの暴れっぷり!
チャンドラーの片腕をもぎ取り、マグラーを威圧だけで戦意喪失させ(単にマグラーがビビりなだけ…?)、ピグモンに岩を投げ付ける!(全く体格差違うのに果敢に立ち向かっていくピグモンもスゲェ…)
その後ウルトラシリーズを代表する人気怪獣になったのも頷ける。
だけど、ウルトラマンにはあっさり敗退。カラータイマーすら点滅せず。暴れ過ぎて疲れちゃったのかな…?
本作でここで初登場のウルトラマン。なのに、全く説明ナレーションもナシ。幾らTVで皆知ってるとは言え、説明くらいあっても良かったのでは…?
第26・27話『怪獣殿下』。
TVシリーズで最も好きなエピソードの一つ。何故なら、私のウルトラ怪獣イチオシ、ゴモラ登場!
日本兜のような角、筋肉質な身体、そこから発せられる怪力。特に尻尾のムチ打ち攻撃は、ウルトラマンをKOさせたほど。
THE怪獣!…を思わせるフォルム、パワー、暴れっぷりはやはりカッコいい。
TVシリーズ唯一の前後編。ウルトラマンをKOさせた初戦、大阪都市破壊、大阪城襲撃、科特隊や自衛隊との攻防、そしてウルトラマンとの最終戦…一本の怪獣映画のような見応え。
それらに焦点を絞った為、メイン的位置付けの少年のエピソードは大幅にカット。タイトルの“怪獣殿下”は怪獣好きのこの少年の事だが、ゴモラも表していると思う。
怪獣王はゴジラ。怪獣界に現れた新たな強い奴、スゲー奴。“王”ではなく、新参者な“殿下”。それが、ゴモラ!
そんなゴモラも遂にウルトラマンに倒される。尻尾を失ったとは言え、初戦ではあんなにウルトラマンを圧倒したのに、最後は逆に手も足も出ないほどコテンパンに。(スタッフによると、最初はゴモラが圧倒的に強かったので、最後はウルトラマンを圧倒的に強くしないととの事)
昔から、ゴモラが可哀想だった。そもそもゴモラは、故郷の島で平和に暮らしていた所を、人間のエゴによって日本に運ばれ、徹底的に痛め付けられ、最後は退治され絶命。怪獣の不憫さをストレートに表している。
色々な魅力や理由も含めて、やはり私はどうしてもゴモラに惹かれる。
何だかほとんど怪獣紹介みたいになっちゃったけど、
ウルトラマンや科特隊の活躍もたっぷり。
ちと編集には難ありだが(最後もゴモラを倒して何のエピソードやナレーションも無く、“終”)、これだけでも『ウルトラマン』を充分楽しめる。
シュワッチ!