海燕ジョーの奇跡のレビュー・感想・評価
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奇跡?
海原を木の葉のような小舟で滑走する。よく、文学で使われる表現だけれども本当なんだと息をのむ。
そして原田さんのうさん臭さ。
そして、海原を滑走する小舟のごとく、翻弄される主人公・ジョー。
その三点がとても印象的だった。
筋は正直、?。
追われて身を隠しているけれど、恋人はやってくるし、親分も…。見つかるじゃん。なんか切迫感がなく…。あんな命がけで海を渡った意味って???
映像的に、やってみたかったことの羅列?スラム街でのロケと言い、最後戦車まで出てくるし。
一人の男の転落人生とみれば、それなりなんだけれど、
キャッチコピーや題名と重ね合わせると???が頭を飛び交います。
原作未読。
とてもよかった
劇場公開時、テレビでやたらとCMが流れどんな映画なにかずっと想像していたのだけど、実際見たら思っていたのと違った。時任三郎が沖縄ヤクザで、舞台の沖縄ではどの登場人物も徹底して沖縄の方言でのどかな気持ちになる。藤谷美和子がまだプッツンでなくてかわいい。その後、舞台をフィリピンに移して、スラムの奥までハードに突き進む。ゴミの山から煙が出ていて肺に悪そう。行ってみたい。どんな奇跡が起こるかと思ったら別に奇跡は起こらず、もらい事故的にみんな死ぬ。
ジョーがお父さんに散髪してもらって正体を明かさないところが切ない。
異邦人の苦悩
藤田藤八作品はこれと『八月の濡れた砂』くらいしかまともに見たことがないけど、アメリカンニューシネマ的な反抗心と破滅美を演出するのが上手いな〜という印象。
沖縄という日本的アイデンティティの辺境からもついに追い出されたジョーが自身のもう半分の血のルーツであるフィリピンに向かうのは必然だ。フィリピンでの生活に徐々に慣れていくジョーだったが、最終的には死という破綻をきたす。
フィリピン軍の戦車に突っ込んで死ぬラストシーンはさながら『バニシング・ポイント』を彷彿とさせた。
どこへ行っても異邦人であるという「混血」の疎外感と絶望が、藤田藤八らしい衝動的なタッチで力強く描かれていた。
深作欣二『やくざの墓場 くちなしの花』もそうだが、昭和の日本映画で正面切って在日の人々の苦悩を描いた作品というのはそれだけで稀有だし価値がある。
藤谷さん
この人ちゃんと演技できるんですね。
フィリピンでえらい危険な交渉があったそうですが、
雰囲気が凄すぎて時任三郎の存在感が軽く見えますね。成立させた製作陣の方々はすごい。
あと、原田芳雄ええなあ。自然すぎて怖い。
脚本は可もなく不可もなくでしょうか。
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