宇宙大戦争

劇場公開日:

解説

東宝得意の特撮もので、地球の侵略を狙う宇宙人と地球防衛軍との戦闘を描いたトリック映画。丘見丈二郎の原作を、「檻の中の野郎たち」の関沢新一が脚色し、「上役・下役・ご同役」のコンビ本多猪四郎が監督し、小泉一が撮影した。特技監督・円谷英二。

1959年製作/93分/日本
原題:Battle in Outer Space
配給:東宝

ストーリー

東海道線上り特急が鉄橋もろとも空中につり上げられ、破壊されるという怪事件が起った。これをはじめとして、世界各国ではこの種の事件が次々と発生した。東京の宇宙科学センターに集った世界の科学者たちによって、地球外の生物が発射する「冷却線」による物体の冷却と無重力化がその原因と判明した。これに対抗できるのは、まだ発明間もない「熱線砲」だけである。安達博士、勝宮、岩村両少壮科学者等は、早速宇宙センターで「熱線砲」の実験を公開した。ところが、その席上アーメッドという某国教授が、急に「熱線砲」を奪おうとした。勝宮の機転でそれが失敗すると、異様な円盤が現れて教授の肉体を瞬事に融かして去った。後には一片の金属板が残された。脳にこの金属板を移植され、教授は宇宙人の指令を受けて動いていたのである。魔手は次に岩村にのび、彼も金属板を移植されてしまった。一方、月の裏側に基地を作って、地球攻撃を計っているのが明らかになった。宇宙人ナタールに対して地球防衛軍は反攻体制を作った。原子力ロケット・スピップ二機が「熱線砲」を積んで出発した。安達博士や、勝宮、岩村、勝宮の恋人の科学センターに勤める白石江津子等がそれに乗りこんでいた。宇宙人の怪電波を受けた岩村の手による妨害をしりぞけ、スピップ一号と二号は、月についた。一行は火口壁を利用した宇宙人基地に潜入し、苦心のすえその中心部を破壊した。「熱線砲」は「冷却線」に勝ったのである。だが帰途につこうとするとスピップ一号は岩村の手で壊されていた。とび立つ二号機にも宇宙人の攻撃が迫った。その時、宇宙人基地破壊によって正気にかえった岩村が「熱線砲」で宇宙人を粉砕し、自からも死んだ。かくして、地球防衛戦は、地球側の勝利にきしたのである。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
特技監督
円谷英二
脚色
関沢新一
原作
丘美丈二郎
製作
田中友幸
撮影
小泉一
美術
安倍輝明
音楽
伊福部昭
録音
三上長七郎
整音
宮崎正信
照明
石川緑郎
編集
平一二
製作担当者
坂本泰明
助監督
梶田興治
光学撮影
荒木秀三郎
特技撮影
有川貞昌
特技美術
渡辺明
作画合成
向山宏
特技照明
岸田九一郎
特殊機械
中代文雄
火薬
山本久蔵
渡辺忠昭
光学作画
飯塚定雄
茂田江津子
特技編集
石井清子
特技スチル
田中一清
特技助監督
浅井正勝
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映画レビュー

4.5本作は世界中の初期のSF映像作品に多大な影響を与えているのは間違いありません 重要性は地球防衛軍よりも高いのではないでしょうか

2019年12月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

いやあ、もう小松崎茂のイメージに酔いました
酔いしれました

この小松崎茂のSFメカと伊福部昭の景気の良いマーチ!
もうこれにつきます
誰しもが持っている少年の心が疼きます
目を輝かせて手に汗握って食い入るように観てしまいます

これを極上の味わいであると陶然と出来なければ本作を観る意義も意味ないでましょう

科学考証は部分的には取り入れられていますが全般的に目が行き届いてはいません
あくまで宇宙の大戦争のイメージが最優先されています
ストーリーも同様でとてもSFと言えたものではありません

それでも1959年の作品です
人類初の人工衛星は2年前、有人宇宙飛行は2年後の時点でこの映像を送り出したのですから、この宇宙の大戦争の映像は間違いなく当時の世界最先端だったはずです
世界中のスタジオがこれ以上のものを撮れなかったのはハッキリしています

殊に宇宙センターからの2機の宇宙哨戒艇の発進シーンは見事につきます
エレベーターで発射台を昇り宇宙艇に乗り組むシーンは、現実の有人飛行以前であるのにこのクオリティーで、部分的には目も覚めるほどの出来映えと考証をみせているのです

白い船内服、船内宇宙帽のカッコ良さには痺れます
これも見事な考証です

宇宙哨戒艇の噴射ノズルや月面車両も、良くみると、後半にはその表面にウェザリングまで施されているのです
これは特にアンダーソン作品に強く意識されて継承されていく要素です
そう言えば謎の円盤UFOのムーンベースの月面での宇宙服は本作のものに似ているようにも感じます

アメリカでは2年前に禁断の惑星というSF映画の不朽の名作を送り出してレベルの高さを示しています
本作の冒頭のクレジットの字幕が黒い宇宙を背景にして黄色の文字であるのは、その禁断の惑星へのオマージュであると思われます

しかし本格的なスペースオペラの宇宙戦闘を映像化するのは10年年後の宇宙大作戦まで待たねばならず、本当の宇宙での空中戦は20年後のスターウォーズまで待たなければならなかったのです

イギリスのアンダーソン作品はまだこれからのレベルでサンダーバードは6年も後になるのです
宇宙での戦闘シーンとなると謎の円盤UFOで11年後になってしまいます

本作は世界中の初期のSF映像作品に多大な影響を与えているのは間違いありません

宇宙センターのコンピューターの制御盤が壁面を埋めて無数の電球を明滅させるビジュアルはタイムトンネルなどのアーウィン・アレンの特撮もののルーツと感じます
タイムトンネル自体、本作の熱線砲のテストトンネルのビジュアルそのままです

宇宙センターの地下シェルターから宇宙戦闘機や熱線砲を地上に押し出してくるイメージはアンダーソン作品の海底大戦争スティングレイのマリンビル基地の元ネタになったように思えます
そしてそれはさらに後にエヴァンゲリオンの第3東京市に継承されていくわけです

宇宙哨戒艇の出撃式のシーンは宇宙戦艦ヤマトの乗組員が行進して乗り込む元ネタになっているようにも見えます、

女性が司令部や宇宙船の通信やレーダー手として活躍する場を与えられるのも本作が世界初だと思います
宇宙大作戦のウフーラ中尉や謎の円盤UFO のエリス中尉、宇宙戦艦ヤマトの森雪、エヴァンゲリオンの伊吹マヤも本作が無ければ存在し得たか分かりません
もっと言えばウルトラマンのフジ・アキコ隊員も本作が由来だと思います

冒頭の車輪型の宇宙ステーションは、当時良く未来の想像図に登場していたものですが、そもそもその想像図自体が殆ど全て小松崎茂が描いていたものです

それを映画として登場させ、遠心力による人工重力を得ているところまで見せているのは、2001の宇宙の旅に9年も先行していたのです

その2001年宇宙の旅にアート的な美術の影響を与えたチェコスロバキアの1963年のSF映画イカリエ-XB1と比較しても、本作の特撮はそれよりも数段以上優れていると断言できます

世界レベルで劣っていたのは、アート的な美術感覚、本格的なSFとしての重厚なストーリー、全編に神経を行き届かせた科学考証であり、これらは結局のところ現代に至るまで解決されていない日本SFの弱点です

ともあれ、1959年この時点で日本が送り出した本作のイメージは世界最先端であったのは間違いないのです

重要性は地球防衛軍よりも高いのではないでしょうか

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あき240

1.0賞味期限切れ

2019年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 0件)
odeonza

3.5ナタール人襲来!驚異と興奮の一大攻防戦!!

2019年1月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

楽しい

興奮

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
しゅうへい

3.5荒唐無稽なイマジネーションと夢とワクワク!

2017年6月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

久々に無性に見たくなった一連の東宝特撮SF。
「地球防衛軍」「宇宙大戦争」「海底軍艦」の3本を見ようとレンタル店数件回り、残念ながら「地球防衛軍」だけ見つからず。代わりに別の作品は幾つか発見。
追い追いレビューしていくとして、まず本作は…

「地球防衛軍」と並ぶ、東宝特撮本格SFの名作。1959年の作品。
何と言ってもこの作品、「シン・ゴジラ」のヤシオリ作戦でマーチ曲が使われて話題に。

話は単純明快な異星人地球侵略モノ。
国際宇宙ステーションが襲撃され、地球上では建造物が上空に引き上げられる怪事件が発生、国際会議の場には何者かに操られたスパイが。
遊星人ナタールの地球侵略の始まりに過ぎなかった…。

月の裏側に秘密基地を作り、地球侵略を企むナタール。
月に赴き、一戦交えた後、遂にナタールの地球侵略が開始。
人類は地球を守る為、迎え撃つ…!

一番の見所は言うまでもなく、円谷特撮演出。
中盤の月世界での闘いは比較的おとなしめだが、後半は円谷特撮演出の見せ場の連続。
宇宙空間での地球の戦闘ロケットとナタールの円盤の闘いはなかなかスピーディー。
重力を操るナタールの攻撃シーンは今ならCGで簡単かもしれないが、よくよく考えればミニチュア・操演・合成で見事に見せきったと感心する。
そして、円谷特撮演出に欠かせない伊福部音楽が高揚感抜群。
(それにしても…、数ある伊福部マーチの中でも“宇宙大戦争マーチ”は“怪獣大戦争マーチ”“地球防衛軍マーチ”と比べるとそれほど有名な方ではなかったが、「シン・ゴジラ」以降バラエティーでも使われたりしてこんなに人気曲になるとは…!)

人間ドラマ部分は池部良演じる主人公と安西郷子演じるヒロインの取って付けたような恋愛面はクッサイが、全体的には本多監督らしい生真面目な作風。
この手のSF作品の場合、製作国が地球を救ってバンザイ!となるが、ちゃんと世界の国々が一致団結して立ち向かっているし、一度ナタールに操られ我に返った土屋嘉男の犠牲的精神は平淡なドラマ部分で感動ポイント。

勿論、ツッコミ所は挙げ出したらキリが無い。
「ID4」級の侵略の脅威とスケールではあるのに、約60年も前の特撮作品だからかショボく感じる人も居るだろうし、ラストもあっさり。
でも、
1959年製作で劇中の時代設定は1965年。
ほんの数年先を舞台にして、今、こんなSF作品が作れるだろうか。
頭でっかちなSFになりがち。
荒唐無稽と言ってしまえばそれまで。
しかし、その荒唐無稽にイマジネーションと夢とワクワクがあった!

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近大
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