宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACEのレビュー・感想・評価
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着眼点は良かったと思います・・・内容が伴っていれば名作だったかも⁉
『和製スター・ウォーズ』として名高い?本作。U-NEXTで見付けたので鑑賞してみました。なんというか・・・子供の頃に観ていた戦隊物の再放送を思い出しました。
スペースオペラ+里見八剣伝っていう着眼点は良かったと思うんですけど、着いてこなかったのは予算か脚本か。ってか根本的にターゲットは小学生低学年までとかだったりするのでしょうか?それだったら大人がどうこう言うのも野暮ですね。
銀色の顔の人達はメイク頑張ってたと思います。特撮も頑張ってました。脚本はもうちょっと何とかならなかったものか?最後に悪の親玉倒した後で星を破壊するって、あれは報連相がしっかり出来てれば星破壊しなくてすんだよね⁉
これを映画館で観てたらかなりシュールだったろうなぁ。でも、ハリウッドに挑んだ気概は買う❗最近ハリウッドに真っ向勝負しようって映画あまりないですしね。
とりあえず真田広之が若すぎて最初真田広之と認識できませんでした。誰にでも若い時代ってあったんですねぇ。
ジルーシア人の誇り
色々な宇宙人が仲間になって目的に向かっていくという宇宙里見八剣伝的な流れはチェンジマンやガーディアンオブギャラクシーに通ずる楽しさがあるのだが、本作は宇宙暴走族からロボットまで誰でもウェルカムでより珍奇な魅力が大爆発している。
安全を保証された地球より自分たちで国を作る決意をする誇り高きジルーシアの民。
そうかと思えばそんなジルーシア人から裏切り者が出たりリアベの実に選ばれたはずのチンピラが協力せずに騙し討ちをしてきたり。人は思うようには動いてくれない。
だからこそ、失脚こそしたがかつての敵であるガバナス人の王子がエメラリーダに呼応して共に新しい世界を目指そうとする姿は美しく感動的だった。
終盤の動力炉を破壊するシーンはどうしてもスターウォーズを想起させるが、デススター潜入作戦を描いたシリーズ3作目ジェダイの帰還は本作の後に公開されたのであって、そのあたりただのパクリ映画と侮れない部分がある。
和製スペース・オペラ
特撮もよくできていたし娯楽性も十分なのだがなまじ映画の経緯を知ってしまうと興業優先の雑っぽさが気になりましたので未見の方は以下はお読みならない方がよろしいかと・・。
スターウォーズ人気にあやかって和製スペース・オペラをスターウォーズ日本公開前に滑り込ませろという東映社長の号令で企画進行中のジョーズの便乗映画(デビル・マンタ)を方針変更、監督に「ガンマ第3号 宇宙大作戦」でSFに実績のある深作欣二さんを抜擢して急遽製作したいわくつきの映画。たしかにスターウォーズも中世騎士物語風SFだから時代劇風SFなら東映にも芽のある話と思ったのだろう。里見八犬伝もどきの8人の勇者が危機を救うというプロットを借用したのだがどうみても玉はクルミだし、どうして性根の腐ったチンピラが選ばれたのかも腑に落ちない、原作の仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の趣きなど微塵もなく滝沢馬琴もあの世で怒っているだろう。
いやがる深作をアメリカに連れてゆきスターウォーズを見せたと言う、R2D2もどきのロボットまでパクる確信犯、どう収めたかは不明だが案の定、全米公開前にフォックスから版権侵害と言われたらしい。もっともルーカスは黒澤監督の「隠し砦の三悪人」に触発されたと言っているからどっちもどっちもの気はするが・・・。
スターウォーズは善と悪、誰にでも潜む心の闇を高尚に描いているがこちらは余りにも俗っぽい、卑しいキャラクター設定や民話もどきのエピソードが鼻について興を削ぐのが残念だった。おそらくスターウォーズと言うよりは「隠し砦の三悪人」の方に寄せたのかもしれない。外人は善い役で日本人を狡猾に描いているのもたぶん外国受けを狙ったのだろう、商業映画とはいえ国辱もの、最後は挽回したが日本の映画人の矜持が削がれてゆくようで東映首脳陣の節操のなさが腹立たしい。
生き残りのジルーシア人や勇士たちが地球に戻らず新天地を探す旅を選ぶのはシリーズ化への布石なのか深作監督の東映への本音なのか・・。
和製SW、というより893映画版SW
スターウォーズシリーズをマラソン観賞した勢いで本作も視聴。
本家SWエピソード4の日本公開前に突貫で製作しぶつけて来た…という背景や、八人の英雄が集まるプロットは里見八犬伝が元ネタである事などは視聴後に各レビューサイトで知りました。特撮ヒーロー関連の図鑑では「和製スターウォーズ」と繰り返し形容されていますが、日本色というか、東映色が全方面にすごい濃い映画ですね。
暴走族の「ナウな」不良少年達、金の為にヒトを売り渡す関西どチンピラ、軍のやり方に辟易した渋かっこいい退役軍人と子供サイズのロボット、侵略国家ガバナスを追われた流浪の王子。彼らがリアベの実に導かれてガバナスから地球を救う英雄に…という流れ。
「地球がガッツリ出てきて悪の帝国に狙われる」「主人公が目的もない自堕落な70年代日本的シティボーイ」などがスターウォーズと明確に分かたれたポイントですが、最大の特色が「全体を取り巻く仁俠映画の香り」。
チンピラが救いを求める宇宙人を騙して殺そうとしたり売り飛ばそうとしたり(そのあと宇宙救う側についてお咎め無しなのはマジで酷い)、地球侵略の猶予を稼ぐ為の駆け引きや、帝国を追われた王子が帝王と対峙するときの語り口なども、ルーク・スカイウォーカー的な爽やかな正義感というよりは義侠心迸る血生臭いムード。それがゴーグルファイブかダイナマンあたりの敵にいそうなガバナスの甲冑と相まって(石ノ森ヒーローは本来は大好きなのですが、本作に限って言えばコテコテ過ぎるかなと…)不思議な食い合わせになってる絵面です。
ただそれは、もしかしてこの映画をスターウォーズなる黒船に激突させるべく、全速力でこしらえたスタッフの気持ちもそんな感じだったのではないでしょうか。
実際ライバルをスターウォーズ第一作・エピソード4に絞って見れば、肉薄する特撮カットもあります(逆に言うと後年のエピソード5、6には太刀打ちすべくもないですが…)。クライマックスでかかるオーケストラ曲も雰囲気充分で、主人公トリオの駆るリアベ号は普通にカッコイイ。ご丁寧に、最後敵要塞の動力炉に突撃するところまでなぞるのには笑っちゃいましたが。
まぁ、世間の評価通り珍味中の珍味。正直東映の映画だから庇ってもらえてる部分も絶対あると思う。コレが海外あるいは無名会社の映画で制作背景も知れ渡ってなかったら、ニコニコあたりで玩具にされてたかも…
昭和特撮や当時の豪華俳優陣が大好物な方にはオススメ、逆にそういうのが刺さらない方には無価値。そういう意味では正統派にジャンル映画と言えましょう。心意気を買って星3です。
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