劇場公開日 1953年3月26日

  • 予告編を見る

「京マチ子の妖艶さがベネチア映画祭の男性審査員をも惑わしたか…」雨月物語 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0京マチ子の妖艶さがベネチア映画祭の男性審査員をも惑わしたか…

2023年8月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ここのところ、
少しまとめて溝口映画に接していたので、
録画していたこの作品も再鑑賞した。

最近の溝口映画鑑賞では、
長回し等の作風を意識していたが、
この作品では、その技法に関して、
あまり意識させられることは無かった。

テーマ的には、行き過ぎた金銭欲や出世欲を
戒める道徳論的な構成があからさま過ぎて、
作品の奥深さを感じることはなかったが、
この映画はむしろ映像美に浸るべき作品
なのかも知れないと思った。
壮大さはあったものの若干セット感のあった
「残菊物語」や「西鶴一代女」よりは、
リアリティ溢れる撮影・美術・演出による
映像美に進化した印象だった。

森雅之と京マチ子の組み合わせとしては、
黒澤の「羅生門」が思い出されるが、
相手の男性こそ
森と三船の違いはあるが、
彼らを惑わす女性は
京マチ子で共通しており、両作品に
金獅子賞と金獅子賞無しの年の銀獅子賞
をもたらしたのは、
ベネチア映画祭の男性審査員を惑わした
彼女の妖艶さではなかったか、
と想像もした。

KENZO一級建築士事務所