「映画文法を網羅した素晴らしい作品の理由。」雨月物語 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
映画文法を網羅した素晴らしい作品の理由。
内容は、江戸時代に記された話を元ネタに踏まえた、男3人女3人の人間模様愛憎劇。海外でも評価が高い理由が頷ける作品です。印象的な台詞は『人も物も所によってこうも値打ちが変わるのか?!』価値観の違いを戦争という時代に照らし合わせて表現した上手い台詞だと感じました。戦国時代の背景が第二次世界大戦後の日本を感じさせる様で印象に残りました。『死ななかった。死にきれなかった。。』この台詞も葛藤に苦しむ女性の性と願望が交差して非常に情念が伝わって苦しくなりました。印象的な場面は、最後の姫様(京マチ子)に鬼気迫る勢いで源十郎は、帰りを拒絶され『いいえ返しませぬ!』凍てつく様な白い吐息が、現実との乖離を表現していてとても怖かった。ありゃ夢に出るなぁ。印象的な状況は、戦争の後の無法地帯が上手く描かれていた事と、場面展開が緻密に計算され非常に見やすく映画文法に沿った基本をしっかり押さえあるので、台詞回し無しでもパントマイムの様に伝わる人間としての万国共通真実の片鱗を感じられる所が非常に秀逸で感動しました。流石日本を代表する三大映画監督だと勉強になりました。
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