「戦国に生きる庶民の難しさ」雨月物語 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
戦国に生きる庶民の難しさ
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総合:80点 ( ストーリー:90点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )
原作は読んでいないが、よく出来た話だった。戦国の時代に生きた名も無き庶民の悲劇がしんみりと染み入る。
貧しい村に生きるものが、より良い生活を求めてその職人技を生かして商売をして何が悪いのか。現代的視点からするとそうなる。だが戦国時代は商売なんてそう簡単にはいかない命懸けのことなのだという現実を見せ付けられた。また、才能も実力も無いのに武士に憧れる男もいた。
そしてたったそれだけのことでこれだけの悲劇が起き、戦国時代の厳しさと世の無情を見せ付けられた。現代ならば自分の力を試しより良い生活を夢見て失敗しても、これほどのことにはならない。昔の時代の厳しさと、それと比較して現代社会の有難さを痛感した。そのような話の中にとってつけられたような朽木の家の話もあったが、これもまた哀れな話で、姫にも乳母にも男にもそれぞれの立場があり気持ちがわかっていたたまれなかった。
古い作品なので白黒の映像は良くないし、戦いの場面を中心に演出も迫力に欠ける部分がある。それでも面白い作品だった。『山椒大夫』もそうだが、溝口健二監督は世の無情や哀れを描かせたら上手なようだ。
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