劇場公開日 1955年1月15日

「ヤルセナキオ‼️」浮雲 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヤルセナキオ‼️

2023年9月29日
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興奮

この「浮雲」は成瀬巳喜男監督の最高傑作と言われてますが、成瀬巳喜男監督のフィルモグラフィーの中では極めて異色の作品だと思います‼️成瀬巳喜男監督といえば1951年の「めし」以降、平凡な市井の人々、わびしい夫婦の日常をゆったりとしたタッチで微笑ましく描いた作風をお家芸としていたと思うのですが、この「浮雲」はかなり残酷です‼️容赦ないです‼️どうしようもなく煮え切らないダメ男と、それと知りながら彼を愛し続けていくことで、次第に堕ちていく哀れな女の生態を哀切に冷徹に描いております‼️戦争中の南方で知り合った二人は帰国後もズルズルと関係を続ける。女はアメリカ兵のオンリーとなるし、男は仕事がうまくいかないし、その上温泉宿の女将と同棲したりするし、女も義兄の囲い者になったり、挙句の果ては二人で屋久島に流れていき、病で女は死んでしまう・・・これも人間、これも男と女、これも愛、胸にナイフが突き刺さるような映画ですね‼️スゴいです‼️男の小ずるさを完璧に表現した森雅之さんの至芸、女の哀れさを演じる高峰秀子のつまらなさそうな所在なさそうな表情と演技‼️ウマいです‼️南方に始まり、焼け跡のボロッちーホテルや汚い小屋、長岡温泉、ラストの屋久島と次々と舞台を変え、浮雲のように漂いながら繰り返される二人の会話の悲しさ、切なさ、愚かさ、そのピッタリ合った呼吸が見事ですね‼️しかもコタツに入りながらとか、ローソクの灯の下でだったりとか、そのシチュエーションもミョーに印象に残ってます‼️登場人物全てが不幸のどん底にたたき落とされる悲しい映画なのですが、女たらしのぐうたら男が、女の亡骸を抱き、嗚咽するシーンで締めくくる、成瀬監督の心憎い演出‼️救いがないようなラストですが、逆に観ている者もこのラストで救われたのではないでしょうか⁉️女は命を落とすことで、ようやく男の心を本当に摑むことができたのですから

活動写真愛好家