劇場公開日 1951年1月13日

「京マチ子の役者根性」偽れる盛装 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0京マチ子の役者根性

2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

京都を舞台に、「男は金づる」と渡り歩く芸者、その妹は地道な暮らし、二人の対照的な姉妹を通じて、女の運命を見事に描いた吉村公三郎監督作。

「京都は幸い戦災はまぬがれたけれど、それが京都にとって幸せだったかは分からない。古い歴史の跡は残されたけれど、そのかわりに封建的な世界も残された」という名セリフが心に残る。

京都の人気芸者の君蝶(京マチ子)は「金の切れ目は縁の切れ目」と割り切って、金持ち男を次から次へとモノにして、金を手にする強い女。
しかし、彼女の妹の妙子(藤田泰子)は地味に事務員として勤務しており、相思相愛の彼氏(小林桂樹…若い!)がいるが、その彼氏の家も芸者のウチだが母親が「(君蝶のいる家とは)格式が違う」と言って、結婚に反対する。
君蝶は上手いこと男渡りをしているように見えたのだが、あまりにドライ過ぎたこともあり、別れた男から恨みをかって………といった物語になっていく。

本作では、京マチ子が重たそうな和服を着て、全速力で京都の町を走るシーンに「役者根性」を見た。
また、京マチ子は「お金がらみ」でも、いい味を出している。

この映画、1951年のキネマ旬報ベストテンで第3位だが、1位が小津監督の『麦秋』、2位が成瀬監督の『めし』だから仕方ない。

なかなかの佳作。

<映倫No.151>

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たいちぃ