「山田太一と大林宣彦の融合」異人たちとの夏 心の声さんの映画レビュー(感想・評価)
山田太一と大林宣彦の融合
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2024の再映画化にからんで知った。
山田太一さんのドラマを最近よく見ていたので、小説のほうはどんなものかと読んでみた。
私はつげ義春的な、主人公が作家(作者の投影)ものが好きだ。山田太一さん自身とも思われるような主人公とその目線がドキュメンタリー的な面白みを掻き立てられる。彼女が正体を明かすシーンがクリシェというか、それまでの具体的でリアルな描写から急にありきたりな表現となって残念だったので、そこを映画版でどう表現されているかに注目した。
映画版は大林監督の実験的な変てこな演出が控えめでまっとうな演出だった。
問題のシーンはうまく映像化されていて、女性が原作よりも美しいイメージで撮られていて、そこはすごく大林さんらしいブラッシュアップ良かった。
結論としては、原作の山田さん自身の経験や目線がにじみ出た様なキャラクターや印象的なセリフと、大林さんのちょっと違和感のある変なカメラワーク(缶ビールや、すきやきの中身に寄っていくなど )や初期の実験フィルム的な手作り感のあるSF演出を楽しみながら全体としては大衆向け娯楽作品としてバランスも取れていて非常に完成度の高い(特殊メイクも良い出来)一本であると感じた。
久しぶりにエンディングが「終」の文字でスパッと終わるタイプなもの逆に新鮮であった。エンドロールが無いのでアマプラのおすすめで余韻が邪魔されることもなかった。
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