「山田太一さんを偲んで」異人たちとの夏 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
山田太一さんを偲んで
TVドラマ『ふぞろいの林檎たち』で有名な脚本家の山田太一さん
11月29日に老衰のため神奈川県川崎市の施設にて89歳で他界
過去数回鑑賞
原作は『飛ぶ夢をしばらく見ない』の山田太一
監督は『HOUSE』『転校生』『時をかける少女』『理由』『海辺の映画館 キネマの玉手箱』の大林宣彦
脚本は『長崎ぶらぶら節』の市川森一
あらすじ
40歳の売れっ子脚本家・原田英雄が主人公
浅草出身
バツイチ
マンションで一人暮らし
彼が12歳のとき自転車に2人乗りしていた両親がトラックに撥ねられ亡くなった
地元にちょくちょく顔を出していたがある日寄席で父親そっくりの男を見かけた
男に誘われ男の自宅にお邪魔した
そこには母そっくりの女がいた
12歳の頃の英雄の両親そのものだった
それ以来何度も浅草の両親の家を訪問した
また同時期に同じマンションの住人の女・藤野桂と親しくなりやがて肉体関係の仲に発展しガールフレンドになった
それ以来なぜかどんどん老けていく英雄
日に日に衰弱し死にかけていた
都会的
現代的(公開当時またはテレビ初登場の頃は)
ノスタルジー
ファンタジー
そしてホラー
なぜかプッチーニ
日本アカデミー賞最優秀脚本賞
父親役の片岡鶴太郎が日本アカデミー賞最優秀助演男優賞
海外でも高く評価された
この作品の異人とは外国人の古い呼び名ではなく幽霊のこと
両親も藤野桂も幽霊という種明かし
なぜか幸せな気分になれる映画
年齢を重ねてみるとますます好きになる
大林宣彦監督作品で一番好き
邦画ファンで大林宣彦監督といえばまず思いつく作品はこれではないだろうけど
大林宣彦作品で『異人たちの夏』が1番観た回数が多いかな
両親役の片岡鶴太郎と秋吉久美子の雰囲気がとても良いのだ
手拭いで汗を拭いてくれるお母さん
なぜかラジコンカーにハマっているお母さん
笑うお母さん怒るお母さん
腕のいい寿司職人だが飽きっぽく店を転々とするお父さん
花札を教えるお父さん
40の息子とキャッチボールをするお父さん
すき焼き屋での両親との別れは何度観てもジンと来る
たまらない
英雄「いかないでくれ」
うっすらと消えそうになる両親
英雄「ありがとう」
房子「さようなら」
英吉「あばよ」
消えてしまう両親
いま観ても二つ目のクライマックスである正体を現す藤野桂のシーンはそれほどしょぼいと感じない
当時としてはかなり頑張った方
ラストは英雄が間宮と共に英雄の両親の家があった浅草で線香をあげるシーン
すでに更地になっていて再開発でビルが建つという
両親の墓はなぜか愛知県にある
悪霊の桂にもありがとうと感謝する英雄
ホラー混じりもなぜかホッとする名作
おすすめです
一度でも良いから映画館で観たいな
配役
TVドラマのシナリオライターの原田英雄に風間杜夫
英雄の父でいなせな寿司職人の原田英吉に片岡鶴太郎
英雄の母の原田房子に秋吉久美子
英雄が住む同じマンションの3階の住人の藤野桂に名取裕子
英雄の友人でTVドラマのプロデューサーの間宮一郎に永島敏行
英雄の元妻の今村綾子に入江若葉
TVドラマのキャストで主演俳優に竹内力
TVドラマのキャストで医師役に峰岸徹
地下鉄公団職員に栩野幸知
浅草の客引き1に草薙良一
浅草の客引き2に小形雄二
奇術師に北見マキ
落語家に桂米丸
落語家に柳家さん吉
タクシー運転手にベンガル
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに高橋幸宏
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに松田洋治
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに時本和也
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに高城淳一
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに石丸謙二郎
台本の漢字が読めない若手俳優の川田淳子に川田あつ子
川田のマネージャーに明日香尚
打ち合わせをするTV局の男に加島潤
歯科医に笹野高史
八つ目うなぎ屋の親爺に本多猪四郎
今半の仲居に角替和枝
今半の下足番に原一平
英雄のマンションの管理人に奥村公延
英雄の息子の原田重樹に林泰文