雨あがる

劇場公開日:2000年1月22日

解説

人を押しのけてまで出世することが出来ない心優しい武士と、そんな夫を理解し支える妻の心暖まる絆を描いた時代劇。監督は、98年に亡くなった黒澤明監督の助監督として活躍し、本作でデビューを飾った小泉堯史。脚本は、山本周五郎による短編を基にした「まあだだよ」の黒澤明の遺稿。 撮影には「まあだだよ」の上田正治があたり、また撮影協力として「まあだだよ」の斎藤孝雄が参加している。主演は、「まあだだよ」の寺尾聰と「生きたい」の宮崎美子。99年の第56回ヴェネチア国際映画祭緑の獅子賞を受賞。

2000年製作/91分/日本
配給:東宝=アスミック・エース エンタテインメント
劇場公開日:2000年1月22日

あらすじ

亨保時代。武芸の達人でありながら、人の好さが災いして仕官がかなわない武士・三沢伊兵衛とその妻・たよ。旅の途中のふたりは、長い大雨で河を渡ることが出来ず、ある宿場町に足止めされていた。ふたりが投宿する安宿には、同じように雨が上がるのを鬱々として待つ貧しい人々がいた。そんな彼らの心を和ませようと、伊兵衛は禁じられている賭試合で儲けた金で、酒や食べ物を彼らに振る舞う。翌日、長かった雨もようやくあがり、気分転換に表へ出かけた伊兵衛は若侍同士の果たし合いに遭遇する。危険を顧みず仲裁に入る伊兵衛。そんな彼の行いに感心した藩の城主・永井和泉守重明は、伊兵衛に剣術指南番の話を持ちかけた。ところが、頭の固い城の家老たちは猛反対。ひとまず御前試合で判断を下すことになるが、そこで伊兵衛は、自ら相手をすると申し出た重明を池に落とすという大失態をしてしまう。それから数日後、伊兵衛の元にやってきた家老は、賭試合を理由に彼の仕官の話を断った。だが、たよは夫が何のために賭試合をしたかも分からずに判断を下した彼らを木偶の坊と非難し、仕官の話を辞退するのだった。そして、再び旅に出る伊兵衛とたよ。ところがその後方には、ふたりを追って馬を駆る重明の姿があった…。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
小泉堯史
監督補
野上照代
脚色
黒澤明
原作
山本周五郎
プロデューサー
原正人
黒澤久雄
撮影
上田正治
撮影協力
斎藤孝雄
美術
村木与四郎
音楽
佐藤勝
音楽プロデューサー
斎藤昌利
録音
紅谷愃一
照明
佐野武治
編集
阿賀英登
衣裳
黒澤和子
福田明
長野陽子
大塚満
アソシエイト・プロデューサー
桜井勉
吉田佳代
プロデューサー・アシスタント
荒木美也子
製作担当
熊田雅彦
鶴賀谷公彦
助監督
鈴木康敬
スチール
佐藤芳夫
題字
黒澤明
製作委員会
朝野勇次郎
長瀬文男
小野清司
西條温
高居隆章
里見治
宮川鍍一
桃原用昇
椎名保
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第24回 日本アカデミー賞(2001年)

受賞

作品賞  
脚本賞 黒澤明
主演男優賞 寺尾聰
助演女優賞 原田美枝子
音楽賞 佐藤勝

ノミネート

監督賞 小泉堯史
主演女優賞 宮崎美子
助演男優賞 三船史郎
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映画レビュー

3.0  仲代達也、壇ふみ、など出番が一瞬でも存在感のある俳優が出ている。...

2025年9月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 仲代達也、壇ふみ、など出番が一瞬でも存在感のある俳優が出ている。若い頃の山口馬木也も時代劇に馴染んでいる。
 個人的には、殿様の「勝者の優しい言葉は敗者にとって惨め」というような言葉が印象に残った。まったく悪気のない勝者で、どれだけ人柄がよくても、その優しい言葉や対応が伝わりにくい場面は起こり得る。全然関係ないが、大相撲で、敗者に手を差しのべる関取は優しいなと思っていたが、敗者からするとどう映っているのかなと思った。

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たたみ

4.0 原作者は嫌な世の中を嘆いたのか、そこに生きる美しくも稀有な人の姿を映し出したのか

2025年8月9日
スマートフォンから投稿

武士の時代の田舎道
初老の夫婦が居る

旅では無い

主君を持たない男は
仕官を求め歩く。

人の良さそうな男
腕は立つが欲は無い
それを受け入れるか否か
世の中には保身に走る輩と
他者の真髄を認める者が居る

夫婦に安住の地は有るのか
物語は人の思いを描き進む。

雨で生まれるもの

終わって、それはそれで良い
夫婦の気持ちは平穏な中に有る
そういう清々しさの残る映画。

この作品を故黒澤明が観たら
きっと孫を見つめる眼差しで
「なかなか良いじゃない」
と、云うと思う。

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星組

5.0 本物の侍を感じた‼

2025年7月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寺尾聰さんの居合い捌きがめちゃくちゃカッコよくて好きな作品になりました。しっかり相手を思い合ってから切り合う姿勢と刀の腕が本物で感動しました✨

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継国縁壱

3.5 いい人…

2025年6月1日
iPhoneアプリから投稿

将軍と侍タイムスリッパー観て「時代劇ええなぁ」って思った人多いはず。僕もその一人(笑)
ある映画評論家は「時代劇には今の映像に重くのしかかるコンプラ的なものが無く制作しやすい」ってゆーのもあるやろけど、それだけじゃ無く日本の所作や思いやり、そんなんが映像に乗せやすいからかなぁ。
寺尾聰さん大好きもあって…
今だに突然「リフレクション」が聴きたくなります◎‼️

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えがたろう