劇場公開日 2020年4月3日

「カオスの密度が濃すぎる!凄すぎる!!「“さん”を付けろよこのデコスケ野郎!」」AKIRA 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0カオスの密度が濃すぎる!凄すぎる!!「“さん”を付けろよこのデコスケ野郎!」

2024年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

これほどまでの名作を創りあげられた大友克洋作品なのに、原作は1Pたりとも読んでいないのですね。『気分はもう戦争』は友人の勧めで読んで、大変面白かった記憶があるのですが。
大友さんでないと描けない絵柄は大変印象的、かつ魅力的です。
アニメではのっけから、カオスすぎるにも程がある世界観描写と、芸能山城組によるオリエンタルチックで不穏な雰囲気の劇伴にノックアウトされました。劇場の音響の整った環境で聴くことができたなら、まさしく鳥肌物だったろうになぁ。
なのに、大変間抜けなことに昨年のIMAX上映を見逃していたんですよ。残念無念。
o(*≧д≦)o″クヤシー!
非常に滑らかに感じた作画は、調べてみると“2コマ打ち”という破格の作画枚数による緻密な手法が用いられていた賜物のようですね。赤色の使い方がとても印象的でした。
加えてプレスコ方式で絵作りするとか。どんだけ手間かけてるねん、って話です。
レビューを書くにあたって、ネットの各資料をカンニングしたんですが、原作コミックはもっと世界観の広がり&掘り下げがあったようですね。
イケイケのバブル当時でも、さすがに十億円単位で続編をいくつも作るってことは、そう簡単にはできなかったのかな?あんだけ狂ってたバブル時代だったからこそ、3部作構成くらいでやってほしかった気がします。大変惜しいけれど、今さら言ってもしょうがないじゃない。
実写化の話もあれこれと出ていたようですが、時代が追い付いた今こそ実現させてほしいものです。
(コミックの実写化に関しては「とりあえず作ってほしい派」なんですよ。成功か失敗かは、後で決めりゃいいから。私なら失敗しても原作レイプとか辛辣こと言わないし・笑)

ちなみに、この劇の主人公って一体誰?と思って調べてみると、面白いことが書かれていました。まさかの『鉄人28号』リスペクトからの金田正太郎そのまんまの、金田がそのポジションらしくて。
なのにこの主人公、普通のパンピー少年なんですね。あくまでも、ただの健康優良不良少年。
そこ目線のお話だから、それが物語にリアリティを持たせる裏打ちになってると思ったの。
突拍子もない荒唐無稽なお話になりそうなところを、ギリギリ“あってもおかしくはない”近未来SFで踏み止まれたと思ったの。
想像の余地のない現実のお話と、あくまでも絵空事のホラ話。ここの塩梅が絶妙のバランス感覚だったと思うの。
いかにも世紀末に現れそうな怪しい教団も出ていたし。劇中ではあっけない最後だったけれど。
こういうところを何部作かで丁寧に描いてほしかった気が。今さら言ってもしょうがないじゃない。
面白かったのは、教団のパンフレットが1部500円の良心的価格だったこと。しつこい勧誘さえなければ、絶対に買いに行くのに。「ムー」みたいな感じの小冊子なのかな?

興味深いのは、同じく退廃したカオスな街を舞台にした『ブレードランナー』との関係性。
どちらが先か調べてみると、劇場公開はブレラン(1982年)の方が先だったようですね。但し『AKIRA』の原作コミックも同年からの連載(1982年)。 構想から察するに、どちらもほとんど同時期になるようですね。
全く同時に天才ふたりが同じ世界観で物語を作ったのは、非常に面白いです。神からの啓示でもあったのかな?

ところで男子の永遠の憧れのアイテムのひとつ、金田のバイクって電動?それともエンジン駆動?劇を観ていると、明らかに排気音が聞こえてきたのに「やっとモーターのコイルがあったまってきたところだぜ」との台詞もあるし。もしかして燃費と環境に優しいハイブリッド?

ただね、非常に惜しいことに一個だけ難を挙げるとするなら、ナンバーズの少年少女の声が、ちょっと棒気味だったことくらいかな。まぁ、減点材料になるほどでもないんですが。なんであの起用になったんだろう?
声優さんを調べようとしたのですけれど、三人ともWikipediaにもデータがないんですよ。この作品っきりの素人さん?

もう一点、不思議に思ったことがあって。タカシとニアミスしただけの鉄雄が、何故タカシ以上に強大な力を手に入れたのかが?でした。もともと鉄雄に、能力者の素養があったのかな?
わからないことの全ては、そりゃぁ…遺伝子のせいだなぁ。

あのエンディングは、原作通りなのかな?それとも劇場版用の締め方なのかな?劇場版『銀河鉄道999』みたいな。
原作の連載期間が1990年終了なのに対して、アニメは1988年の作品だしなぁ。原作未読って、こういうところで困ります。

情報量の多すぎるこの作品、語り出すとキリがないので、このあたりでお開きにしておきますね。
逃げるんじゃないやい!マジで超長文になりそうだから、文字数制限的に遠慮してるだけだわい!

野球十兵衛、
野球十兵衛、さんのコメント
2024年2月7日

CBさん、コメントありがとうございます。
そうなのですね。原作では、あれでもまだまだ折り返し中だったのですね。
なのに、あの完成度にびっくりです。大友さんご自身が監督・脚本を務められたのですね。
なら納得です。
主人公が一体誰だったか、かなり悩んでネットの力借りたです。
鉄雄とも言えそうな感じでしたし。

野球十兵衛、
野球十兵衛、さんのコメント
2024年2月7日

どすこいたろうさん、コメントありがとうございます。
原作を読んでいないので、その再現度がよくわからないのですが、この作品単体でも、大きな魅力を感じた次第です。
Wikipedia情報によると、原作はもっと広がりのあるお話のようですね。
近所のネカフェに置かれているかな?是非とも読んでみたいです。
Amazonで調べてみると、そこそこのお値段でしたので、購入は難しそうですね(^_^;

野球十兵衛、
野球十兵衛、さんのコメント
2024年2月7日

亞lexさん、コメントありがとうございます。
いえいえ、何をおっしゃいますやら。
いつも勢いに任せて駄文を連ねているだけですってば(笑)
でも、そのように言っていただけで嬉しいですよ。
      ⤴️
誉められて調子に乗るタイプ。
『童夢』は、タイトルだけしか知らないのですね。『老人Z』も大変面白そうです。
大友作品にかなり興味を持ったので、こちらも機会を見つけて読んでみたいです。

野球十兵衛、
CBさんのコメント
2024年2月6日

> この映画の主人公って、一体誰?
そうそう。俺もそう思います。
ただ、原作最終6巻のタイトルはちゃんと「PART6.金田」なんですよね。最後まで生身ひとつの。

CB
CBさんのコメント
2024年2月6日

> 映画のエンディングは原作どおりなのかな?
映画エンディングは原作の真ん中(3巻末)。なので映画独自でしたね。
とはいえ、原作の大友さん(克洋)が監督もして脚本にも入っているので、「こういう終わり方もあるんじゃない?」って感じでしょうか。
テイストは似てるけど、原作(6巻末)の方が「より派手でより深淵かな」と俺は感じました。

CB
吹雪まんじゅうさんのコメント
2024年2月5日

コメントありがとうございます!

アニメと漫画、違うところがありすぎて賛否が分かれます…漫画にしか無いシーンがすごく良かったりして困ります。
もし機会があれば、漫画も是非…!

吹雪まんじゅう
亞LEXさんのコメント
2024年2月5日

フォローありがとうございます。野球十兵衛さんのレビュー面白く拝見してます。
私は大友信者ですので、漫画も読んでますが、ナウシカと同様、映画は漫画一巻分ぐらいのもので、終わり方はアニメオリジナルです。
童夢も面白いですよ。

亞LEX