劇場公開日 2020年4月3日

「時代は『AKIRA』の世界に近付いた」AKIRA 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時代は『AKIRA』の世界に近付いた

2018年3月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

難しい

大友克洋の代表作で、押井守の『攻殻機動隊』と並ぶ世界に誇るジャパニメーションの傑作。
こちらも見るのは随分と久し振り。
正直、『攻殻機動隊』より見てる回数は少ないが。

一度は文明が荒廃した戦争後の2019年、東京。
超能力少年“アキラ”を巡る軍やゲリラの争いに、暴走族の少年・金田とその仲間である事故がきっかけで超能力に目覚めた少年・鉄雄が巻き込まれていく…。

世界観もビジュアルも、改めて見ても今見ても、鮮烈。
何よりその作画力に圧倒される。
ネオ東京の背景、バイク・アクション、クライマックスのサイキック・バトル…。
緻密な一つ一つが、全て手書き!
本作が“伝説”と言われるのも頷ける。

『攻殻機動隊』の魅力の一つが難解なテーマなら、こちらはたっぷり詰め込んだ面白味や衝撃さだろう。
文明荒廃は『マッドマックス』、復興した近未来都市は『ブレードランナー』。
主人公に据えられた不良少年たちは80年代コミックの定番。
目を引くデザインのバイクに、超能力…。
それらを併せて、唯一無二の世界を創り上げた。
鉄雄が超能力に目覚めていく様はショッキングでもある。
幻覚や悪夢は恐ろしいほど。
神の如き力を手に入れ、暴走する鉄雄。
そんな鉄雄と戦う事になる金田が、軽口叩く二枚目半な性格なのが本作にユーモアを味付け。
生身で鉄雄に立ち向かっていく様は興奮。
そしてこのクライマックスは、アニメ…いや、映画史上に残るほど圧巻!
また、偶然とは思えない2020年の東京オリンピック、目前の時代設定2019年も、ある意味衝撃的。

世界でも人気を誇る作品故、絶えず企画されるハリウッド実写化。
このまま進展しない事を望む。
『攻殻機動隊』のハリウッド実写版を見ても分かる筈。
幾らハリウッドが最高レベルの技術を駆使しても、技術の問題じゃない。
大友克洋、押井守…彼らにしか創り出す事が出来ない才能の違い。

近大
bionさんのコメント
2020年4月9日

僕は攻殻機動隊派です。あの時代にネットの海を予言するなんて。
『攻殻機動隊』の実写版は、監督の首を締めたくなるくらいがっかりでした。でも『アリータ: バトル・エンジェル』みたいに大満足する場合もあるから実写化もいいのかも。

bion