「高度成長期前の家族の風情」秋日和 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
高度成長期前の家族の風情
令和の今でこそ女性の社会進出が言われ、企業の「男女の雇用機会の均等」「子育て支援」が云々(うんぬん)される時節柄ですけれども。
当時のニッポンは、まだまだ、本作のタイトルであった「秋日和」(秋のよく晴れて穏やかな天候:Google検索によるAI要約)のような、長閑(のどか)な風情だったのかも知れません。
会社にしろ、「企業戦士」とか「24時間戦えますか」などという雰囲気では、とてもとてもなかったようです。
お勤めや自営(今風にいえば「フリーランス」?)として社会との接触を持っていた女性はまだまだ限られていた時代、むろん、スマホのマッチングアプリなど、あろうはずもない時代には、女性の縁談といえば、周囲のお膳立てが不可欠だった時代を物語る作品と、令和の今の世に至っては評すべきだと、評論子は思います。
本作でいえは、夫を亡くした母親と、夫の遺児の娘の女ふたり。
その二人の母子の、お互いの幸せを想い合う、その心根が胸に温かい一本とも評すべきでしょう。本作は。
そこには、高度経済成長期前の日本の家族の「原風景」が描かれているともいえるのかも知れません。
本作は、評論子が入っている映画サークルの映画を語る会で、お題作品として取り上げられたことから、鑑賞することとしたものです。
本作を初めとした、いわゆる「小津映画」を鑑賞するのは、昔むかしに観た記憶のある『東京物語』以来でしょうか。
これから、一連の小津映画を鑑賞するという、新たな「楽しみ」できた作品に、評論子にはなりました。
(さっそく『秋刀魚の味』も観たので、そのレビューはまた後日に)
以上の交々(こもごも)をひっくるめて、佳作の評価としておきたいと思います。
評価子的には。
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