劇場公開日 1989年11月3日

「俳優とドラマの中の人物とのミスマッチ?」あ・うん KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0俳優とドラマの中の人物とのミスマッチ?

2025年4月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

以前、やはりTVで観た記憶があるが、
詳細については忘却の彼方だったことや、
不倫まではいかないとしても、
誰にでもあるであろう伴侶以外の異性への
想いを描いた作品ということで、
自らの胸に手を当てて再鑑賞してみた。

己の果たせなかった異性への想いを、
同じ経験をさせたくないとして、
その娘の想いを遂げさせようとする
ラストシーンでのテーマへの集約性の狙いは
分からなくもないが、その前提になるのは
あくまでも“忍ぶ”想いだ。
しかるに、本来はそんなキャラクターに
ピッタリのはずの俳優をキャスティング
しながら、
やたら陽気に振る舞ったり、
照れ隠しのためとしたいのか、
“忍ぶ”想いとは懸け離れてしまった男女二人
の描写は残念と言うしかないし、
温泉での夫婦が間違えられるエピソードや、
想う人妻を泣かせたくないから
親友の浮気相手を囲うとした点も、
この作品のテーマの補強のつもり
なのだろうが、
高倉と富司二人のキャラクターからは
懸け離れ浮いてしまったギャグのようにしか
感じられなかった。
しかも、本来は、想いを寄せる人に会わない
とする決心のために
親友を怒らさせたはずなのに、
三木のり平扮するスリに言われて、
簡単に翻意して彼女に会いに行く設定など、
一貫性を感じられない展開に
安易さを感じる。
果たして向田邦子の原作は
どうなっているのだろうか。

せっかく高倉健と富司純子という、
“忍ぶ”に相応しい俳優を配しながら、
彼らの俳優気質から遠く離れて見えるのは、
そもそものミスキャストなのか、
配役に応じた改変が不充分な脚本
の問題なのか分からないが、
残念に思わされた作品だった。

KENZO一級建築士事務所
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