愛は惜しみなく(1967)
劇場公開日:1967年12月9日
解説
川内康範の原作を、「喜劇 大風呂敷」の才賀明と丹野雄二が共同で脚色し、「花と果実」の森永健次郎が監督した歌謡メロドラマ。撮影は「恋のハイウェイ」の藤岡粂信。
1967年製作/84分/日本
原題または英題:Singing for Love
配給:日活
劇場公開日:1967年12月9日
ストーリー
父圧三と共に人形劇団を率いて九州の子供たちに人気のあるミサは、兎の人形の靴を拾って貰ったことから、合宿中の東都大学ボクシング部の年男と知りあった。年男はその小さな靴をマスコットにして、練習試合の相手を次々とKOしていった。そんな二人を新聞記者の小原が追い回していた。小原はミサに惚れていたのだった。年男は夏の合宿を終えると、間もなく東京に帰っていった。ある日、ミサは父の旧友伊津子の勧めで上京することになった。上京して間もなく年男と再会したミサは、いつか年男を愛するようになっていた。年男がプロ入りしたのはそれから間もなくのことだった。一方、ミサもひょんなことから歌手になる道が開け、庄三の反対を押し切ってレッスンを受け始めた。二人の誓いはお互いに一流になることだった。年男はKOボクサーとして次第に人気が高まり、チャンピオンへの挑戦権獲得試合を迎えるまでになった。ミサも新人歌手として、次第に売れっ子になっていたが、ある日、年男は上京して二人の身辺をうろついていた小原に会い、ミサの出生の秘密を知った。ミサは私生児で、伊津子の姉が男に騙されて自殺した時に残した子供だったのだ。ゴシップ屋となった小原に、そのミサの秘密が人気のキズになると脅された年男は、言われるままに八百長試合をやってしまった。それが原因で年男はリングを去った。すべてを知って年男を探し回るミサを、小原はつけまわしていたが、その時現われた年男と格闘になり、小原は倒されてしまった。小原が持ったスコップを奪った年男は、それで殴り殺してしまったのだった。警官に引かれていく年男を、ミサは悲しく見送っているばかりだった。雪の降る夜、歌手だった母の残した曲を哀切をこめて唄うミサの歌声が、クリスマス・イブの街に流れていた。