愛妻物語のレビュー・感想・評価
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羨ましかった
・乙羽信子が美人で優しくて羨ましかった。夫の幸せが私の幸せっていう考えの女性が奥さん・・・羨ましい。
・暮らしのジェネレーションギャップに度々驚いた。窓の外に飯盒を置いてご飯を炊いているようだったし、こたつの板がこたつの土台より大きくてアンバランスに見えたし、気持ちが高揚して奥さんと相撲?とろうとしたり、携帯がないから上司がいちいち家に来ていたりとか。
・ある程度シナリオで仕事をしてきた自負がある中で、これじゃあ全然ダメだよって言われるのはきついなぁ・・・と思った。それを励ましてくれる奥さんがいることが心底羨ましかった。
・戦時中とは思えないほど何だかのんびりした空気感を感じた。招集や竹やり訓練とは無関係の世界に思えた。午前中にシェイクスピアなどの戯曲を読んで、午後は鴨川で子供たちと川遊びが楽しそうで羨ましかった。
・せっかく仕事が上向いた刹那、ラスト、結核で奥さんが亡くなった。それもあって、開放的な気持ちになったのが、鴨川のシーンと相撲?を取ろうと言った所だったので印象として寂しい映画だった。
乙羽信子さんが素晴らしい
前に新藤兼人監督ご自身の自伝エッセイを読んでいたので、とても感情移入できました。
溝口監督に「これはシナリオではない」と採用を兼ねての試験にノーと言われた時は、とても落胆しましたが、そこからが踏ん張り所!!孝子さんが映画会社に直談判
し、励まされ、東京に帰らず京都でなんとか1からの勉強、勉強。そして内助の功。戦時中で映画会社も不景気だし、祇園囃子は聞こえても、空襲警報は鳴るし、、、
隣に住む染め職人(殿山泰司さん)がこれまたええ事言わはりますんやなぁ!!
京都の鴨川の変わらない景色も、とても良かったです!
きっと奈良にも形見を持って行かれたでしょうね〜
感慨深い
新藤兼人の監督デビュー作で、しかも彼の半自伝的映画。自分のことを語るのだから何とかなるだろうという思いでメガホンをとったらしい。冒頭では脚本家としてのモノローグで始まる。
坂口監督(滝沢修)は溝口健二。最初は採用試験のようなものだと、増田(清水将夫)に言われ必死でシナリオを書き上げるものの、「これはシナリオじゃなくてストーリーだよ」と酷評を下され、作家への道を閉ざされたかのように絶望する。しかし、妻となった孝子(乙羽)が会社に直接行って、「無給でもいいから1年間勉強させてくれ」と懇願したおかげでかろうじて作家生命を維持できた。なにしろ「東京へ帰れ」と言われたところで、東京の会社はリストラの危機にあったため自ら辞めてきたのだ・・・
孝子は内職をしながら、また、こっそり実家の母親から仕送りをもらい、細々と家計を支えていたのだ。精神的には隣家の夫婦(殿山泰司が旦那)の言葉に励まされてもいた。やがてもう一度チャンスをもらい、坂口監督に認められた沼崎(宇野)だったが、喜びも束の間、妻の孝子が肺結核のため寝込んでしまったのだ・・・
内助の功という言葉で一括りにも出来ようが、生涯をシナリオライターとして暮らす運命を支えていた孝子の気高さ。そして、実生活においても、この映画から新藤兼人と乙羽信子の二人三脚が始まるのかと想像すると感慨深いものがある。
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