劇場公開日 2007年10月20日

「オモロウて、やがて哀しき…。」クワイエットルームにようこそ mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0オモロウて、やがて哀しき…。

2007年10月18日

笑える

悲しい

楽しい

才人、松尾スズキ監督作品。曲者キャスト達が贈る、“悩める若い女性のための人生讃歌”。最初のうちは、ただただ面白いんですが、これがなかなかどうしてホロリとさせられるんですよ。

 芸達者な面々と、キャラ立ちした監督によるコミカルストーリーだと思って観てたんですよ。現に中盤までは、随所でクスクス笑わせてもらってましたから。でも或るシーン(具体的には、大竹しのぶ演じる西野が、内田有紀演じる明日香の入院までの経緯を暴露するシーン)を境に、ガラリと映画の空気が一変。そこからは、『人間みんな、悩みを抱えて生きている。出来ればそんなモノはどこかへ置いておいて、楽しく生きていたいが、なかなかそうもいかない…』という誰もが持っている切実な思いが、スクリーンに描きだされていて、結構ズシンと胸に来ました。あっ、でもラストは明るく〆られてるんですけどね。

 主演の内田有紀は好演してますが、それ以上にこの映画は脇が凄い!大竹しのぶは相変わらず“怪演(ホント、恐いくらいハマッてる)”ですし、蒼井優ちゃんの“摂食障害患者”という役柄は、これまでの彼女とは、違った一面を見せてくれます。何より今回妻夫木クンが、クドカンの下っ端役で出演してるんですが、これが特筆すべきダメっぷり(イイ意味でね(^^;)!よくもまあこんな役やったな~って、感心してしまいました。ファンの皆さん必見です!これまで見たことのない妻夫木クンに会えますよ。で、これだけのキャラがそろいますと、一見“変な奴”に見えるクドカンが、一番マトモな人間に見えてきてしまうんですよ。このことだけでも、この映画が如何に濃い面々で演じられているかってのがわかっていただけますよね。そして、それらを1本のエンタテインメントとして撮り上げた、松尾スズキ監督の素晴しき手腕を、改めて痛感させられました。いやあ、ホントこの方“才人”です。マルチな才能ってのは、持って生まれたモンなんですかね~、羨ましい!

mori2