劇場公開日 2008年8月9日

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「多彩なミュージカルシーンが盛り込まれた、ストレートに楽しい快作」アクロス・ザ・ユニバース セッションさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0多彩なミュージカルシーンが盛り込まれた、ストレートに楽しい快作

2020年6月8日
iPhoneアプリから投稿

全編がビートルズの名曲群に彩られた構成(なんと合計33曲!)は、昨年公開された『イエスタデイ』の先駆けとも言えますが、こちらはよりミュージカル調の映画に仕上げられています。

ビートルズ発祥の地リバプールからアメリカに渡った青年ジュードと、戦争によって大切な存在を失った女性ルーシーの恋が主軸となるストーリーはいたってシンプルですが、音楽が主人公たちの心情にシンクロすることで映画への没入感を高めてくれるため、彼らが迎えるエンディングにはどうしたって感動させられてしまいます。

ルーシーを演じるのは、後にテレビドラマ『ウエストワールド』で主役を務めるエヴァン・レイチェル・ウッド。監督曰く、彼女が初めて「大人の女性」として演じた役だそうですが、天真爛漫な魅力全開で映画に花を添えています。

今作で特に素晴らしかったのは、ミュージカルシーンの引き出しの多さ!色彩を反転させたようなサイケデリックな画作りや、ダンサー達の一糸乱れぬ動きと舞台装置が一体となって生み出される美しいシーン、「ストロベリー・フィールド」を戦場に見立て、ポップでありながらベトナム戦争の苛烈な様子を確かに伝える比喩描写などなど。どの場面を撮るにも一工夫を盛り込むことで、作品に厚みが生まれています。

メイキングを見てみると、ジュリー・テイモア監督が自由で豊かなアイデアを次々と思いつき、役者陣の即興も取り入れながら画作りに落とし込んでいく様子が描かれています。
今作を鑑賞する際は、是非メイキングとセットでご覧ください!!

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