パンズ・ラビリンスのレビュー・感想・評価
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悲しく、切ないダークファンタジー
戦争である現実から抜け出し、幸せを求め妖精のいる世界へと踏み入れてゆく少女の物語。
ストーリーも、人々の描写も、世界観もよくつくられていて最後まで展開が読めませんでした。
残忍なシーンが多々あり、それらが苦手な人は見る事をおすすめしませんが、それ以上に完成度の高い作品だと思います。
大人に向けられたファンタジー作品です。宮崎駿さんを尊敬しているというのが、見受けられますし。
これをどのようにミュージカルにしていくか、楽しみです。
痛い・・・
後味悪い戦争映画/ヒューマンドラマ
予告編で薄暗いファンタジーでいいなぁと思って観たのですが、これはファンタジーを小道具として用いた戦争映画/ヒューマンドラマでした。
ハリポタやロードオブザリングと同じようなファンタジーが観られると思って行くと後悔しかねないので、要注意です。
また残酷な描写が終始目に付き、幼い子と観るのは避けた方が良いかと思います。観終わった後の会話に困る事必至です。
他の方より低いC+というスコアですが、ファンタジーを謳った割にはそんなにファンタジーに重点が置かれていない事と、予想外に残酷な表現がオンパレードである事、現実世界と架空世界の往復に終始した結果、内容やメッセージがぼやけてしまったように感じたのでC+にしました。
ただ、可愛い主人公と奇妙なクリーチャーなどの映像はなかなか良く、探せば観る価値もなくはない映画でした。
宮崎アニメの影響うけまくりのスペイン映画。
内容は、ちょっとグロめのファンタジーを期待していったのですが、とってもとっても悲しいお話でした。ラストは僕的にはあまり救われないラストで、一緒に行った男性(妻の友人のご主人)も困惑していました。(アメリカで初めて映画館で見る映画がこれなんて、ごめんなさい。)
いや、それにしても、各賞総なめとなりそうなこの映画、ギレルモ・デルトロ(俳優のデルトロとは違う)というヘル・ボーイなんかの監督がメガホンを取っています。彼はこの映画を撮るにあたって、かなり「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」などの宮崎アニメの影響を受けたのではないかと思います。随所にそれとわかるシーンが・・・。それにしてもダークなファンタジーが好きな方には絶対におすすめ!!
全てオフィリアの“空想”それとも“現実”
完成度の高さに圧倒されたスペイン映画でした。
DVDが発売になるのを記念して、試写会が開催されたので行ってきました。同時に見た「サルバドールの朝」のほうはフランコ政権の終焉前夜。そして「パンズ・ラビリンス」が背景としていたのはフランコ独裁政権の始まりの時代。
フランコ独裁政権という共通項以外はかけ離れた作品のように思えるけど、どちらもスペインという近代国家の悲劇を感じさせる作品でした。
ダークファンタジーという広告フレーズで、もっとどろどろした不気味な作品かと思いきや、怨霊めいたものもむ出てこず、ちゃんとファンタジーになっていましたね。
ただ、なんと言ってもラストが重く、悲しすぎます。ファンタジーのお約束ごとどうりになっていないことがダークたる由縁でしょうか。
せっかく地上の楽園を求めて、地下の魔法の国から抜け出してきた王女であったのに太陽のまぶしさに眩んで死に絶え、転生しても今度は余りに残酷な現実の世界から、生き延びるために迷宮の世界へ降りいかざるを得なくなるという物語は、これまでの世界を救うというファンタジーからするとなんと悲観的な話なんでしょう。
その現実の厳しさを思い知らしめる人物として、現地指揮官のビダル大尉が登場します。この男の冷徹さは、自分の妻(主人公オフェリアの実母)に生ませるわが子が無事生まれてくるためなら、母体を殺してしまえと担当医に命じるほどの人物。彼からフランコ独裁政権がどれだけ非人道的であったかその一面がうかがえます。
ゲリラを拷問にかけるシーンも凄惨でした。
その非人道的さを告発する作品として、ファンタジーの要素を全て取り去っても成り立つだけのストーリーのある映画です。
あえてファンタジーの味付けをしたことで、悲しみの深さが際立ったのではないでしょうか。
この映画の中で、ラビリンスは全てオフィリアが作った“空想”ともとれます。でもそれでは余りに悲しすぎます。小地蔵は、本当に迷宮が彼女を誘ったと受け止めたいですね。その微妙なさじ加減がこの映画の上手い所です。果たしてオフィリアは空想の世界に救いを求めたのでしょうか?
冷酷なビダル大尉も、軍人という生き方しか知らなかったのではないでしょうか。そして同じく軍人であった父親の形見の時計に縛られ、悲しい人生を送った人と言えそうです。大尉は何を思って死んで行ったのでしょうか?
ファンタジー映画にあるまじき、現実の重さを見せつけられて、それがずっと胸に残りついつい思い返してしまいそうな作品でした。
驚いた
グロキモふぁんたじぃ。
ギレルモ・デル・トロ監督が、1944年のスペイン内戦下を舞台に
現実と迷宮の狭間で3つの試練を乗り越える少女の成長を描く
ダーク・ファンタジー。ファシズムという現実から逃れるため、
架空の世界に入り込む少女を通じて人間性の本質に鋭く切り込む。
↑まさに、このあらすじ通りの展開。かなりダークな物語です。
私達が普通に連想する、可愛い妖精やお花なんて出てきやしない。
血と泥と恐怖に彩られた現実と架空の世界で、ひとりの女の子が
過酷な試練を乗り越えていく話。普通に観ても、かなり怖い。。。
だいたい何故この母は、独裁主義の大尉と再婚してしまったの?
それしか生きる手だてがなかった時代ともいえるけど、にしても
冒頭から不穏な空気がずっと漂い、彼女を追ってくる妖精(昆虫)
のみが、少しばかりの安らぎをもたらす…と思いきや、導かれた
迷宮の牧羊神パンの姿ときたら、とても子供向けには思えない^^;
PG-12かぁ。分かる気がする…。
地上でも、地中でも、恐怖感がたいして変わらないので、
彼女が迷宮に入っていっても、こちらは心配でしようがない。
見つかって殺されてしまうんじゃないか、それが妄想の世界なら
まだいい、でもこの映画では、全てがかなりの悪魔なのだから。。
泥だらけ、傷だらけ、血だらけになってもなおパンの云うとおり、
約束を果たそうとする彼女の行きついた先は…。
このラストをどう捉えるかもさまざまだろうけど、少なくとも
日本やアメリカでは、こういう描き方は絶対しないだろうなー^^;
強烈な独自性に彩られた異色ファンタジーであり、彼の世界観が
いかに凄いかを実感できる作品。ただあまりにも凄惨な光景に
私は何度も目を閉じてしまったのでした。。
(ホラー映画より、おそらくずっと怖い作品。もう観れないかも^^;)
お一人でどうぞ。
ずっと気になっていた映画。
平日昼間ということもあって、10人ぐらいしかいない映画館の後ろの席で、その列の真ん中にぽつん・・・と一人座って観てきました。
面白いです。確かに面白いと思う。
孤独で過酷な状況に置かれた人間が、どうやって想像力でそれを乗り越えようとするか・・・という人間の想像力に注目した物語でもあるし、あるいは私達の「現実」に対する別の解釈とも取れるし。
登場人物のキャラクターにも深みがあったし、時計なんかの小道具も伏線にも富んでいるだけじゃなくて、すごく象徴的。もちろん幻想世界はもっと象徴的。
解釈の仕方も、見所も沢山ある映画だと思う。
だけど。
なかなか友達には勧めにくい。。。
なんでって、、、すごく気持ち悪いから。
正直一人で観にいってよかった。
血、痛々しい傷口、壊死、暴力、ぐちゃぐちゃ、虫、何でもグロテスクなもの、異形の生き物・・・なんかが苦手な人にはきついシーンの連続!私もこらえきれず2度ほど目をつむりました。。
それでも、幻想世界に出てくる一番グロテスクで怖い生き物はすごかった!!あんなの初めて見た。
グロテスクなものが夢に出てきても大丈夫!って人は是非観にいってみてください。
大人のファンタジー
今年一番の作品☆
いやぁ、グロいグロいww
みなさん、見に行こうか迷っているのなら迷わず見てください。決して損は致しません。
言うなれば女の子が現実に現実逃避する話なんですけど、いやぁ悲しい悲しい。今年一番胸が詰まるハッピーエンドです。
この映画の特出しているところは美術(CG含む。CafeFXという会社)と脚本です。撮影もね。美術は誰のセンスか知らないけれど、「あぁ、私の頭の中のファンタジーを形にしてくれたのね。」というまさにイメージ通りの美しさ。それでいてクリーチャーや妖精はグロいグロい(笑) 相反するものだけど、混ざり合ってちょうどいい。実際地下の王国があったらこんな感じなんだろうな。 脚本も最高。スペイン内戦と過酷な現実のもとで、少女の不思議な体験がうまく調合されている。なおかつ伏線もきれいに張られているし。たとえば、現実世界で食事抜きの夜の次の日に「目の前にご馳走があるけど食うなよ。」という指令を出す地下の王国の使者、パン。お前、ドSだろう。
本当に面白い映画。見てください。
メルセデス(ベンツじゃないよ)はいい女。
幻想と現実
1944年,スペイン内戦終結後の動乱を背景に,
迷宮で出会った牧羊神パンから試練を受ける少女オフェリアの物語。
先の見えない不安と,
血なまぐさいを現実を反映したダークな世界観。
オープニングから覚悟せよと告げられます。
愛と勇気の冒険を期待した気持ちを捨てて,
居住まいを正したあとは,
創造性に富んだ美しい映像,
それを主張しすぎずに彩る音楽,
画面から目を離せない緊張感ある演出に,
最後まで引き込まれて鑑賞。
好奇心いっぱい無垢な少女オフェリアを演じた
イバナ・バケロの繊細な表現が素晴らしい。
義父のビダル大尉も,見事な存在感。
彼が画面にいるだけで空気が張りつめる。
重いメッセージと,
押し寄せる切ない余韻を全身で受け止められる
奥深いファンタジードラマでした。
スティーヴン・キングが激賞した驚異のファンタジー
スティーヴン・キングが『オズの魔法使』以来の傑作ファンタジーと激賞した映画がある。魔法使いが出てくる『ハリー・ポッター』のように単純でないし、『ロード・オブ・ザ・リング』のように、ド派手な戦闘シーンがあるわけではない。しかし、その残酷なまでに美しいフェアリーテールに、酔った!
ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』だ。
スペイン内戦を背景にした、空想好きの少女をめぐる物語だ。そのオフェーリア(『ハムレット』の恋人と同じ名前だ)という少女(イバナ・バケロ)が、羊頭の牧神パンに誘われ、迷宮のような幻想世界へ誘われる。また、彼女の瞳を通して語られる一方の現実世界では、フランコ軍(独伊に支援を受けたファシズム陣営)の将校である冷酷無比な義理の父が、山中のレジスタンス狩りをおっ始めている。現実世界のほうがグロテスクに感じられる、デル・トロ監督のさじ加減がいい。ハンパなダーク・ファンタジーではないのだ。
おどろおどろしいクリーチャーを見てもまったく動じない、イバナ・バケロちゃんの無垢で澄んだ黒い瞳がとても印象的だ。
思えば、同じようにスペイン内戦が背景に描かれた、ビクトル・エリセ監督の傑作『ミツバチのささやき』の少女アナ・トレントは、怪物フランケンシュタインによって幻想世界に誘われた。イバナちゃんは、アナちゃん以来の映画史に残る名ヒロインとなった。
とっても印象的
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