「大人のダークファンタジー」パンズ・ラビリンス リタさんの映画レビュー(感想・評価)
大人のダークファンタジー
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作品の時代背景がスペイン内戦中ということもあって、全体的に不穏な空気がただよっている。
登場するキャラクターはどれもグロテスクで、少女の無垢な雰囲気とのコントラストが癖になる。
オフェリアが導かれた王国は、現実逃避的な妄想なのか、それとも本当に私たちの知らない地下深くに存在するのか。
どちらともとれるだろうし、結末についても、オフェリアの夢落ちと考える人もいるだろう。
現実世界に希望を見いだせないオフェリアにとっては、夢の世界で生き続けるほうが幸せなのかも。
作品の疑問点は、
①ペイルマンと出会った部屋で、なぜ妖精は本当の鍵穴とは違うほうを指さしたのか。
これは妖精のいたずらとも考えられるが、それにしては意味深な気も……。
②なぜ彼女はブドウを食べてしまったのか。
あれだけパンに忠告されていながらなぜ?もしかすると内戦中で新鮮なフルーツを食べる機会が減っていたのかも。
③メルセデスが言っていた「パンに気をつけろと母が言っていた」とはどういう意味か。
メルセデス(もしくはその母)はパンに会ったことがあるのでは?最後のシーンで、オフェリアの部屋の壁に描かれたチョークの扉を見て真っ先に王国の入り口である遺跡に向かったのも納得。
弟がいるという共通点もある。
メルセデスは自身が王国に行くために最後の試練で弟を差し出そうとし、それによって王国へ行くことができなかったのでは?
あまり軽い気持ちで見ると、結構ぞっとさせられる。(特にペイルマンとか)
大人のダークファンタジー。子どもにはちょっとはやいかな。
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