劇場公開日 2007年10月6日

「グロテスク美学に一目置くファンタジー」パンズ・ラビリンス Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5グロテスク美学に一目置くファンタジー

2020年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1940年フランコ政権下のスペインの片田舎を舞台にしたダーク・ファンタジーの異色作。スペイン内戦のリアリズム表現と少女が空想する幻想世界の特殊撮影が同時進行の物語として描写されていて、大変含蓄のある内容を持っている。だが、主人公の養父で大尉の残忍性過剰表現、少女の弟への自己犠牲愛、牧神から与えられる三つの試練の存在理由など、描写不足が残る脚本が残念でならない。物語の核心に到達していかないのがもどかしい。ラスト、少女の純粋無垢な映像美にスペイン映画の美点を再確認するものの、観る者に与える感動は、もっと深くすることが出来たのではと思わせてしまう。素晴らしいものと欠点が同居した映画。グロテスク美学のさらなるカタルシスを望む。

Gustav
マサシさんのコメント
2022年5月28日

コメント大変にありがとうございます。

もう一度見て見ました。僕の解釈は兎も角、エンドロールに流れるバイオリンとピアノの二重奏曲は短調の簡単なメロディの繰り返しでしたが、涙が込み上げてくる心に残る曲でした。そして、
やっぱり、この映画の現実は、オフェーリアの死だけだと僕は感じました。ゲルニカ爆撃の中で、亡くなって行った名もなき一人の少女の死。そんな事連想しました。

マサシ
マサシさんのコメント
2022年5月27日

共感いたします。でも、僕はこの話を一元的に見たいと思っています。。つまり、全てが死にゆく少女オフェーリアの夢として描いている。と言うことです。だから、夢の様に話が進行します。矛盾だらけです。
ひょっとすると、この憎き大尉は本当の父親なのかも知れません。父と思いたくない少女の夢。オフェーリアとオフィーリアの違いなければ、確信が持てます。ミレーの絵の死にゆく美少女オフィーリアの姿が脳裏から離れませんでした。

マサシ