イースタン・プロミス : 映画評論・批評
2008年6月10日更新
2008年6月14日よりシャンテシネ、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー
クローネンバーグ&ビゴのヤクザな成熟ぶりにとことん酔わされる
設定を変えてのシリーズ化か?と思わせ期待が膨らむクローネンバーグ+ビゴ・モーテンセンの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」に続くギャングスターもの第2弾「イースタン・プロミス」。この2人なら今回もただのギャングものに終わるわけがないと誰もが思う。果たして、複雑な情感とミステリーがつづれ織リされて、2人のヤクザな成熟ぶりに我々はとことん酔わされる。
特に今回はロンドンのロシアンマフィアの生態をギリギリまでリアルに描くことにポイントがあり、ロシアの犯罪におけるタトゥ(繊細にデザインされてみごと!)の意味合いとか、恐怖の処女地にキャメラを入れたかのようなドキドキする臨場性がある。しかし、映画は1年近くかけてロシアに役作りのために何度も足を運び、分厚いノートでロシアンマフィアをフィールド・ワークしたビゴの熱狂に支えられている。ビゴの完璧な肢体とダークな雰囲気、所作のキレには女性ならずとも惚れ惚れと見入ってしまう。
バンサン・カッセル(ボスの息子役)はどう見てもロシア系には見えないが、そこは映画の愛嬌だ。サッカーのアーセナル・ファンは必見!?
(滝本誠)