ONCE ダブリンの街角でのレビュー・感想・評価
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これはハッピーエンドなのか???
路上で歌う主人公を毎日見ていた花売りの女がある夜主人公に話しかける所から2人の物語が始まる。女は別居中の夫の事を主人公の元彼女への未練以上に忘れられずにいたのだろうか?幾ら優しく若い魅力的な男が現れても子供の父親が家に帰ってくれるのが一番良いのは間違いない。
主人公の男は女と偶然出会った事で、望みのアルバム作りが期待以上の仕上がりになったり、元彼女に連絡取る『自信』を貰えて全てが順調に進み始める。その感謝の気持ちとして自宅で好きなだけピアノが弾けるよう女へとっておきのプレゼントをしてあげたのだろう。バイクを借りデートをした時、女がチェコ語で返した言葉は『Ilove you』らしいのでどこまで本気だったのか分からないけど母親としての理性で主人公の誘いを断れたのかな?
2人が満足出来る未来があるのなら、恋愛に発展せず敢えて友情止まりで良かったのかなと思う。
うーん・・だからこそ納得出来ない未消化なラストが『余韻』として残るのだろうな・・
冒頭の投げ銭を盗まれるシーン、女が壊れた掃除機をまるでスーツケースのようにゴロゴロ引いて歩くシーンは側から見てとても面白い。それと主人公にお金を持たせ送り出すよく出来た父親にも感動した。
ジョンカーニー監督作品では「はじまりのうた」「シングストリート 未来へのうた」も観たが、この作品が一番面白かったかな。しかし主人公2人の名前が最後まで出なかったのは驚きだ。
二人のセッションが素敵な大人のラブストーリー
ストリートミュージシャンと花売りの女性が出会って交流を深めていく話で、ストーリーは地味な方です。
燃えるような恋ではないし、ラブというよりも音楽を愛する同志が惹かれ合っていく
「たった一度の出逢い」を感じさせる映画でした。
路上での、弾き語りライブから始まるのですが、主人公はギターも歌も上手い。
主人公はアイルランドのロックバンドのフロントマンらしく、どうりで上手いはずだ・・・と思いました。
人目をはばからず、掃除機を引きずりながら街を歩く女性。
男の過去について、根掘り葉掘り突っつくので、他人と自分の壁がないような、ヘンな女だなと思ったのですが、そのうち、二人のギター&ピアノのセッションが始まり、男はギターを弾きながら、自分の想いを語ったりで、ナチュラルな感じで進んで行きます。彼が彼女の家に行った時に、隣人3人がテレビを観に来るところも、ヘンな彼女だからこそ、そんなことができるのかなと思ったりして、彼女のキャラも好きになりました。
ギターの弾き語りで台詞(気持ち)を語るところは、ちょっと、東京03の角ちゃんみたいだった。笑
互いの気を引くために、二人は「無理」なんてしないし、一線を超えることもないけど、バンド結成ために二人は一生懸命。もちろん、最後にゴールインすることもないけれど、その大人の距離感がよかったです。男が贈った「ピアノ」を弾きながら、彼女はこれから先も山あり谷ありの人生を送っていくんだろうなあと思いました。
エンドロールで気が付いたのですが、二人に名前はなく、guyとgirlとありました。
映画を見終わってから、AmazonMusicUnlimitedでサントラを何度も聴いてしまいました。
彼女が歌っていた“The Hill”、調べが少し悲しいですが、一番、心に残りました。
“If You Want Me”もよかったです。
哀愁漂う作品
「はじまりのうた」「シングストリート」が好きで、同じ監督ということで期待を込め過ぎてしまったのかもしれない…
無名の役者さん達、カメラワークもきっと敢えての古めかしく自撮りっぽい感じ。
役者さんのアイルランド訛りっぽいのもそのまま出ていて「味がある」作品だと思う。
元カノに振られてロンドンから父が独り暮らす実家に帰って来た主人公と、妊娠発覚後に結婚するが旦那さんと別居している女の子。
お互い過去に引きづられて生きていたけれど、初めて分かり合える相手を見つける。
でもその2人が結ばれてハッピーエンドではなく、それぞれが過去に向き合い生きて行くことを選んだ。
アイルランドらしい、始終曇り空のどんよりした天気。
それに合わせたよな曲調の音楽。
音楽があまり好みではなかったなぁ〜
はじまりのうたはMaroon5のアダムだもんなぁ〜(^^;;
切ない爽やかな映画
去ってしまった彼女のことが忘れられないで音楽を作り続ける男とひとりのチェコからやってきた女性のお話。
と言ってもいいのかわからないぐらいには音楽が軸となって進む物語。
想いを馳せる相手に一生懸命気持ちを届けようと生きている二人は見ていて綺麗でした。
ほとんどハンディカムで撮影しているからか良い意味で「映画」らしくなくて。
写真や動画とはまた違う思い出の記録媒体である音楽というものは歌い方や歌詞を通して制作者の心情がダイレクトに伝わってきて、素人(映画の中では)が作っている曲は心に沁みるなぁ、そこがうまくこちら側に伝わる撮り方をされていたように思いました。
ドライブ先でのチェコ語の会話は、意味を知った時鳥肌ものでした、、
あとはエンドロールでもふたりに名前がないことが衝撃で。
名前なんてただの記号で相手のことを知る時には何ら関係のないことなんだなと痛感。
少し秋葉原文化に通じるところがある気がします。
元カノが忘れられない未練の気持ちはありつつ、良い感じの女性がいると誘ってしまう男、
男に好意はあるけれど子どもや母親のことを考えると自分なりの正しい行動をとる女。
女性は強くてかっこいいなと惚れ惚れしてしまいました(笑)
ラブストーリーなんだろうけどキスさえしない素敵な映画。
ふたりが幸せな今後を歩むことを祈ってしまう、そんなラストでした。
「はじまりのうた」をまだ観れていないので近いうちに観たいな思います!
Miluju tebe
音楽を通して、心を通わせるけども
結ばれない二人のミュージシャンの
お話。
一線は越えないけども、
牽かれ合う描写が、もどかしい
大人の恋愛作品。
音楽を奏でる楽器に氏名がないように、
演者も楽器の一部のように、
名前が設定せれずに、guy、girlに
なっていました。
見終わった後で気付きました
初めの出会いから、girlは、
グイグイ興味津々って
話してきて、顔見知りになる。
知り合い、友達、恋人の
線引きをがどこなのかを探るのが
本作のもどかしいところ。
節度ある対応を最後は守るんだけど、
名前がなかったり、
関係性の発展が行き止まりの中の
心のゆらぎが
サッパリしているのは、
あくまでも、
作中にたくさんでてくる楽曲を
際立たせるスパイスにするため
なのかな。
バイクデートの海岸で
別居中の夫を愛してるかと
聞かれた時の返しを
チェコ語で伝わらないように
返事するシーンは、
罪な小悪魔な笑顔で、
憎めないけど、
恋人にしたいとして
相手にこれを言われたら
どうしょうもないなー
Miluju tebeは
私はあなたがすきよという意味
だもの。
旅立ち前の
guyと父親とのやり取りは
好きなシーンです。
息子の作品をファンタスティックって
表現するのが、
お洒落。
見たかったダブリン3作品の
最後の鑑賞でした。
個人的には、
「はじまりの歌」 のテイストが
大好きなので
あの感じが、好みかな。
楽曲もストーリーも。
素敵な作品だけど、
他の2作品を知ってしまうと
物足りない…
はじける感じやワクワク感が
少なくて、しっとりしてる。
というか、
テイストが違いますね。
心を通わせても、結ばれない、
結ばれてはいけない。のが
見ていて苦痛じゃなければ
たのしめるかも。
実直な音楽が響くダブリンの街角
いい意味で割れるほどの歌声で始まるこの映画は、ラブストーリーかと思いきや、そうではないようです。ドキュメンタリータッチな映像や音響はどうしてなんだろうと思っていましたが、日本円にしておよそ1800万円で作られた映画ということで納得です。そんな映像を通して映し出されるダブリンの街角はとても風情があって、しかもそこに胸にグッとくる音楽が重ねられています。ストーリーは捻りのない、シンプルなものなので肩の力を抜いて、なんなら雰囲気だけでも十分楽しめる映画です。マルケタ・イルグロヴァは当時19歳とは思えないぐらい大人びていて、グレン・ハンサードと並んでも違和感がありません。お互い名前なんか知らなくても、音楽があれば心は通う。そして、離れた恋人との気持ちをふたたび通わせるのもまた音楽なのですねぇ。
趣があるとはこのこと
まず、この映画をジャンル分けするのは
すごく難しいです。
言うとすれば音楽映画なんですが、
その中にほのかな恋愛の気配も隠しつつ、
それでいて切なさもあり、ん〜・・・
と迷ってしまいます。
あと、恐らく教養の無い人には
ただただ退屈な時間となるでしょう。
逆に日頃から心というものに目を向けたり
世の中のモノやコトを敏感に感じ取れる人には
オススメの映画です。
ジョン・カーニー監督の第1作目で、
映画にしてはかなりの低予算で作られた作品。
にもかかわらず口コミのみで
人気が爆発し上映劇場数が急増したことでも
有名な映画ですね。
やはり低予算なだけあって
カメラの手ブレや音響の悪さは感じますが、
それでもダブリンの空気感が
伝わってくるから不思議ですよね。
風の冷たさだったり、
生活の中の微かな温もりだったり。
そして、主人公2人に役名が付けられていない。
エンドロールでも「男」と「女」なんですよね。
「この物語は特別な誰かのものではなく、
とある街角のとある2人のありがちな物語。」
きっと、そういう意味を込めたんじゃないかなって
私は思います。
また、主題歌となっている「Falling Slowly」
この曲、歌詞が"男"の心情を表してて
本当に素晴らしいんです。
特に好きなフレーズが、
最後の最後終わりかけの
何かセリフのようなとこがありますよね。
「Take it all. I prayed to god too late. Now you're gone」
と言ってます。訳すと、
「全て消し去ってくれ。神に祈ったけど遅すぎたんだ。今ではもう君はいない。」
って感じですかね。(たぶん)
ここがもう、なんとも切ない!
両想いなのに年や夢や色々なものを理由に
違う道を選び離れて行く2人のエンディングに
すごくピッタリな、優しく切ない曲でした。
楽曲から、映画全体の造りまで、
まさに趣があるとはこのことです。
余談ですが、主演のグレン・ハンサードさん、
「はじまりのうた」に楽曲提供しています。
作中ではキーラ・ナイトレイが歌っていますが、
何度かライブなどでは
グレンさんとマルケータさんで歌ったこともあります。
そういう裏話も調べてみると面白いですよ。
沁みた。
低予算感が出ているけど、それが良かった。味となって温かみがあり音楽と重なって心に沁みた。
二人が楽器屋で主人公の曲を奏でるシーン。あそこでこれは良いぞ!と確信した。
半分以上が音楽だったけど、それがまた名曲で全く飽きない。
少しずつ二人の関係性が変わって行くのも分かるからラストが歌詞ともリンクして切なく、エンドロールが終わるまで暫し二人の軌跡を振り返って動けなかった。
題名のonceと言うのは、二人がいるべき場所に戻ると言う意味なんだと理解した。
お金を掛けなくても美しい映画って撮れるんだという感動もあった。
名画
トニー賞を総なめにした舞台版同様、素晴らしいの一言につきる。
Falling slowlyの歌声が秀逸。グレン・ハンサードもマルケタ・イルグロヴァも声がよい。
ハンディカムで撮影したような、ある種ホームビデオの様な取り方なのに、あまり違和感がない。
男と女が互いに惹かれ合っていながら、お互いもとの鞘に戻らなければならないのがリアルだが、かといって悲しい終わりかというとそうでもない。
「今も夫を愛してる?」
「Miluju tebe」のくだりが好き。
普通に、、、
良かった。でも、はじまりのうたをみたあとに監督の繋がりでまた面白い作品なのかと期待しすぎていたので少し残念だった。はじまりのうたの方が私好みの曲ばかりだったので、、、。
でも、最後のエンドロールで主人公の名前をみようと思ったら、guyとgirlという役名で!!!!確かに娘とかの名前はあったけど、二人は自己紹介していない!!!と思ってびっくりしました笑笑笑猿の惑星以来の衝撃でした笑笑笑
あとは、監督がダブリン出身で、二人も物語そのままのチェコとアイルランド出身。こういうリアリティのある作品は、あとで気になって調べるときに嬉しくなっちゃいますよね笑
この作品は何度も鑑賞すると味が出てくると思うので2回目が楽しみです(^^)
音楽は街角で育つ。
名画座にて。
2007年アカデミー歌曲賞を受賞した本作。
劇中で何度も歌われた"Falling Slowly"の旋律は、
確かに素晴らしく、胸に染みいるラブソング…でした。
舞台はアイルランドのダブリン。
ストリートミュージシャンの男と、チェコ移民の女。
私はラブストーリーというより、あるミュージシャンが
デビューを飾るまでの軌跡。みたいな感覚で観てました。
彼が彼女と出逢い、得たものは確かに大きかったでしょう。
元彼女?(ラストもよく分からん)への想いが断ち切れず、
失恋ソングのようなバラード曲が多い彼に、自身も夫と
上手くいかない女が惹かれ、歌詞とピアノ伴奏をつける。
そして生まれるハーモニーが独特の余韻を生みだして。。
いや~とにかくもう、歌がいいんですよね。
物語がどうのこうのとか、演技がどうのというよりも、
(俳優さんじゃないしねぇ^^;)歌を観なさい!みたいな。
ダブリンの街角で掃除機を引き摺って(爆)歩いてみたり、
休憩時間に楽器屋でピアノを演奏しているというような
素朴なリアル感が味わえて、気持ちがほのぼのとします。
ただなんというか、彼らの演技同様に話もボチボチで^^;
どうなるんだろうな~感が延々と続く上に、
ラストに至っては、アラっ!?という感じですので。。
あまり「ラブ」には期待しない方がいーかも。^^;
才能あるミュージシャンが世に出て売れるのは喜ばしい☆
でもそこまでにどんな苦労があったのか、どんな協力者が
いたのかなど、その軌跡を見られるのもまた良いものです。
アイルランドのバンド、ザ・フレイムスのフロントマン、
G・ハンサードが主人公の男を、同バンドの元ベーシスト、
J・カーニーが監督。というアットホームなつくりも納得。
中年なのに^^;少年少女みたいに初々しい二人のやりとりに
ちょっと懐かしい気恥かしさを覚えるような作品でした。。
(お父ちゃんも良かったなぁ。ああいう親でありたいと思う^^;)
音楽がめちゃくちゃいい!
音楽好きにはたまらない作品ではないでしょうか。
パンフレットにも書いてありましたが、
新しい形のミュージカルというか。
セリフを歌って踊って…というわけではないですが、
様々な場面で登場人物が歌を歌っているのですが、
そのときの気持ちと歌の歌詞がリンクしていて、
よく『目で演技をする』と言いますが、まさにこれは
『歌で演技をする』という感じですね。
それにしても、主役の方がめちゃめちゃ歌がうまい!
最初は冴えない人だなーと思っていた(笑)のですが、
だんだんと彼に対する見方が変わっていき、
最後には大好きになってました(笑)
あとで分かったのですが、本業がミュージシャンなんですね!
相手の女性も然り。
なーるほど!と納得してしまいました。
そしてばっちりサントラを購入しましたよ。
ストーリーとしては、単なるラブストーリーかと思いきや、
最後はお別れをしてしまうんですね。
それぞれ、元恋人や夫といった相手がいるのですが、
この二人の間にはまた違った愛情が芽生えるのですねー。
少しはがゆい気もしたけど、そういう人と出会えるのって
素晴しいなと思いました。
エンド・クレジットを見て驚く
この2人、名前無かったんだ!全く気づかず。普遍的なガイ・ミーツ・ガールの物語を狙ったのだろうか。
自らからんで出会い、割り切って姿を消す女の残酷さには男としてゾッとする(でも現実はそんなもんだ。リアル)が、ラストの彼女の窓の外への視線で救われる。デモテープが出来ただけで何がどうなるのか先は分からない。2人は離れたという事実だけ。だから苦い、でも後味の良さは格別だから不思議。
ちょっとしか出ないが、guyの親父や楽器屋の主人といったオッサンに味がある。濃い目ではないがアイリッシュの魅力がぷんぷん。そんな街でミュージカルする着想が面白い。ハンザードの熱唱(首が凄いことになってる)する唄はどれも良いが、特に"If You Want Me”と”Falling Slowly”のシーンは白眉。
元彼女を回想しながら唄うところはミュージック・クリップ風でもう一つ。残念。そんな編集は必要ないのに。
観た後で「ザ・コミットメンツ」のアウトスパンだった事を知り感慨深い。いい味のオッサンになったなあ(私も大して齢はかわらんが)
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