「幸せ」自虐の詩 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せ
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母親に捨てられ、父親は服役、中学の教材費も払えないほど貧しい生まれの幸江が「幸せ」を求める半生を描いています。
自虐的なコメディなので、確かに不幸感は和らぐのですが、和らぎ過ぎて幸江にはあまり同情が湧きません。熊本さんという悟りを開いているかのような素晴らしい友が居て、自分のために指を詰めてカタギになった男も居て、マスターからは熱烈にプロポーズされ、アパートのおばさんは母親のように親切で、幸江の頭の中では「貧乏=不幸」なのかも知れませんが、観ているこちらは結構幸せじゃないかと思ってしまいます。
幸江よりもイサオの過去や内面の変化をもっと具体的に描いて欲しかったです。前半のちゃぶ台も、イサオの真の人物像に繋がる訳でもなく、お金に困っていそうな割にご飯を粗末に扱う2人に違和感がありました。
それでも深い台詞はありました。
「女にはな、産まない、母親にはならないっちゅう決断をせんとならん時もある。それも立派な女の役目や。」
「幸や不幸はもういい。どちらにも等しく価値がある。」
不幸がなければ良い人間も作られないですよね。その証としての熊本さんのキャラが素晴らしかったです。
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