「絶望的なのに美しい...」キャンディ みかっぴさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望的なのに美しい...
なんとも不思議な映画です。若くて美しい二人がドラッグに溺れていき、転落していく悲惨なお話。
(尤もダンは、キャンディと出会う前からドラッグに浸かっていたらしい)
しかしながら、物語の暗さとかより、ただただダンとキャンディが美しかった…身体もヤクなしではいられず生活もどんどん堕ちて行き果てには他人のカードを盗んだり。途中薬を断つ努力もするけれど、結局は現実から逃げるためにやめられない。
こうなったのは、一体誰のせいなのか…
若者に薬を教えたであろうキャスパー(ジェフリー・ラッシュ)のせいなのか?
考えるのだけれど、きっと答えは見つからないでしょう。
この作品は、
1.天国、2.地上、3.地獄
と3つの章に別れていてまさにその通りにお話は進んで行きます。
ヒース・レジャーとアビー・コーニッシュの演技力は「すごい!」「素晴らしい」とかそんな月並みな表現では言い表せない感じだった。
脇役のジェフリー・ラッシュとキャンディの父親を演じた俳優さんもいいですね。
特にジェフリー・ラッシュが言うセリフ
「(薬を)やめられる時はやめられない、やめたいと思った時はやめられない」
とても真に迫っていて、納得させられました…まさに本当のことですから。
それとアビー・コーニッシュが実に美しいのです。
横顔が特に非の打ち所がないです。
おそらく、この作品のときが美しさの絶頂期だったと勝手ながら感じました、何度も言ってるけど本当に美しすぎます、アビーちゃん。
そう、一番始めに私が「不思議な映画」と言ったのは、絶望的で悲惨な重い内容なのに作品全体に透明感が漂っているからです。
プールのシーンとキャンディがあまりに美しいからなのでしょうか。
後半のワンシーンで壁いちめんにキャンディが書いた(描いた?)詩が凄く響いて彼女の心の叫びが聞こえてきました。その詩を読むキャンディの声も切なくて…これ、もう一度聴きたい!って思ってたらエンドロールでもう一度流れた時はなんだかジーンときました。
男は…と言うか人間は、優しいだけではダメなんだなーって実感しました。
そうそう気づけば監督さんも俳優陣もみんなオーストラリア人なんですよね。
キャンディというタイトル、ここでは女の子の名前ですが、薬の(ドラッグ)暗喩なのかとも思いました。
原作は、詩人の方が書いたお話らしいですね。
ということは、この映画のダンなのでしょうか。