僕のピアノコンチェルトのレビュー・感想・評価
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天才児の自由奔放な戯れを描く大人のためのファンタジー
ドイツ語圏のスイスを舞台にした作品。大変ユニークな物語で、様々な話の展開を詰め込んだ多面的ストーリーに終始引き摺り廻されてしまった。
IQが計測不能の異常な天才児を主人公にした音楽映画と予想して観たら裏切られる。音楽映画のエッセンスは、高名な女性ピアニストのシークエンスと、ラストのシューマンのピアノコンチェルト演奏会場面だけで、途中アンドラーシュ・シフのゴールドベルク変奏曲のCDを聴いて感化されるところは深く描かれてはいない。ブルーノ・ガンツ演じる祖父と主人公の関係が中核の物語。このガンツの演技と存在感がこの映画を”まとも”にしている。前半は神童ゆえの凡人には理解しがたい苦悩を描き、後半は株で大儲けする企業サスペンスものと、私の常識の斜め上を行くぶっ飛び方が面白い。ベビーシッターの少女との淡い初恋も、12歳の身で高級レストランでプロポーズする大胆さが突出している。
サクセスストーリーのファンタジー。どんな天才も二十歳を過ぎれば注目されることがなくなり、世間の関心も薄らぐ。だから十代までのお話で、生き急ぐ悲哀をユーモアの遊びでどれだけ面白がれるか。深刻さは余り感じとることが出来なかった。
ブルーノ・ガンツ
父親は補聴器メーカーに発明品を売り込んで将来のCEOとして有望だ。家も裕福、天才ヴィトスは天才であるがゆえに何になりたいか悩み続ける。12歳のとき、高校卒業試験を受けるようにも説得されるが、お祖父さん(ガンツ)の「決心がつかないときには大切な物を捨てろ」とアドバイスを受ける。彼の大切な人力飛行機の翼を捨て2階から落下したときから、普通の少年に戻ったのだ・・・
しかしヴィトスは天才。才能を隠し、普通の少年のフリをしていたのだ。やがて補聴器会社も株の暴落、経営の危機に陥ったが、それを契機にヴィトスはお祖父さんと組んで株の投資で大儲け。さっぱりわけがわからないストーリーに陥った。CDショップでかつてのベビーシッターのイザベルと再会。幼心に「結婚相手が決まった」という台詞が現実に??
天才たるがゆえの苦悩や天才を育てなければならない両親の葛藤、ヴィトスの立場になってみれば納得はいくけど、単なる成功物語としか思えない。会社がアメリカ企業に買収されそうになったから、逆に投資会社を作って買収してしまうという話を12歳の少年が演じるんだからばかばかしいとしか言えない。
結局、音楽の素晴らしさを描くより、天才ぶり(特に数学や株式で)を描いたにすぎない。音楽映画を期待してるとガッカリしてしまうけど、ゲオルギュー君が本当に弾いてるピアノは素晴らしいものだし、ブルーノ・ガンツの名演にはやられてしまう・・・そして、神童と呼ばれる子を持つ親にとっては必見なのかもしれない。
天才少年と呼ばれて…
天才だからこそ強いられる英才教育…
もちろんその子供は嫌気がさすもの!
でも この映画はピアノが分からなくても楽しめる!
なぜなら技能の問題ではなく気持ちの問題だから。
ブルーノ・ガンツ演じるおじいちゃんがとてもいいキャラクター!
このじいちゃんは母親とは対照的にヴィトスにやりたいことをやらせる。
今の時代の教育ママに観てほしい映画!
天才少年の冒険に乾杯!!!
人は誰でも必ず何かしら、他者とは違う才能・タレント性を持ち合わせてこの世に誕生しているとは言うけれど・・・
この物語は、皮肉にも、天才少年として生れ落ちたが故の、苦悩と葛藤を描いた作品だった。
人とは違った特別な才能に恵まれていない私自身には、全くもって羨ましい!!!と言う以外に言葉がみつからないような人生を送る少年の苦悩の日々の物語を観て、やはり、誰の人生でも人知れず当事者のみが抱える悩みはあるものなのか?とバカな話であるが、月並みな感想、結局そう言う事だったの?と少しばかり落胆したのと同時に、ホッとしたりもしている自分がそこにはいた。全くのパラドックスだ。
補聴器を初めとする様々な製品の発明開発に取り組む父親を持つ、天才少年ヴィトス。
赤ん坊の時から、その優れたピアノ演奏の才能が見出された事と、同時にIQが非常に高く同年代の子供とは全く比較にならない程に勉学優秀であるために、学校でも友達と話が出来ず、自宅近隣でも友達の一人も出来ないという孤高の天才少年の孤独と、親の期待を一身に背負う事のプレッシャーと共に成長を余議なくさせられる大人人間坊やヴィトス。
その彼の緊張の日々を唯一回避出来る瞬間、それは祖父の家で過ごすほんの僅かな時間のみというわけだが、この祖父との心の触れ合いを中心軸に描かれていくヴィトスの家族の物語を観ているのは、とても愉快で、しかもいくら天才でも子供は子供で、悪戯好きの、冒険野郎だと言う事実に思わずニッコリとさせられる。でもこの家族はどうやらヴィトスだけが冒険野郎では決してなさそうで、人間やっぱり血は争えないと言うか、どこか家族とは、親兄弟は似た者同志でいる事に改めて気付いてクスっと笑いが出てしまう。
これという特別な才能に恵まれている訳では無い凡人の私にもやはり親子は、いずこも同じと笑えるシーンにも溢れているのである
そこに何か、人が生きる救いのようなものを感じるのだ。
自己の人生に何が起きようとも、決して怒らずに、そして腐らずに、辛抱強くなることが人生の極意である事をブルーノ・ガンツ演じるこのヴィトスのお爺ちゃんが教えてくれる。
(ちなみにブルーノ・ガンツは「愛を読むひと」や「コッポラの故蝶の夢」など秀作に出演しているので、観ていない人には、これらの作品もお薦めです)
また、迷い悩む時は、その大切なものを一旦手放してみる事も必要な時が有ると言うアドバイスが深いです。私の人生でも役立つ教訓です。
しかし才能を伸ばせる環境を持つ事も才能の一つなのだろうか・・・と思う反面、幾らどんなに人から羨まれる才能でも何の苦労も無いままにその才能を開花させられる事は無いのだという事もしみじみと心に響く。この映画のラストでヴィトス少年が自力で、自分の夢と希望と才能を開花させ、家族の期待にも見事に応える事が出来た神童ヴィトスにならって、私も今日出来る事を明日の希望へと繋げていきたいものだ!夢を決して諦めずに!
最高に楽しかった!!
母と見て、最高に楽しめた映画でした。少年の表情は可愛すぎてずっと見ていたくなるし、そのストーリーは秀逸、最高のエンターテイメントで、なおかつハートウォーミング、子育てに悩んだら一度、ママに見て欲しー!
掘り出し物!!
たまたまビデオ屋のレンタルが半額だったので、何の気なしに借りたDVDでした。母と一緒に見ましたが、終わってみれば2人とも主人公とそのおじいちゃんにベタ惚れといった感じでした。
映画自体は静かに進んでいくので、どんどん引き込まれていきます。2ヶ語くらいの言葉が話されているので、どこの国の映画なのか分かりませんでしたが、スイスの映画ということで、母と「あんまり見たことないけど、スイス映画って案外いいのかもね」と言うほどでした。
ぜひぜひ見てみてください。音楽好きじゃなくても楽しめると思います。
神童も子供のうち。
名画座にて。
よく天才○○ニストなんていう子供が出てくると、
この子は神童だ!と言われますけどホントにいるんですね。
だって~この主人公ヴィトスを演じた天才ピアニスト、
テオ・ゲオルギュー君の演奏シーンはまさに神業でした!
僕の~という題名からして、その神童ぶりを描くだけの
作品かと思いきや(まぁそれもあるんだけど)、
もっとこの子の毎日の生活や趣味・思考など、
子供(一応は^^;)時代の成長に沿った、物語でした。
こんな天才児を持った両親は、さぞかし大変だろうな~
とは思いましたけど、やっぱり大変でした…。
小さい頃はただもて囃されるくらいで、親も鼻高々、でも
天才児もどんどん成長していくわけで…心と身体の成長と
頭脳の発達とが、すんなり一致しないところが難しい。。
大学に飛び級はいいけれど、なんてクソ生意気な!?と
言われてしまうのもムリはないですよねぇ…^^;
そんなヴィトスをささやかに勇気づけてくれていたのが、
おじいちゃん!!ブルーノ・ガンツが見事に好演しています。
いつも同じメニュー(爆)と思われるスパゲティーを食べ、
彼のところでピアノを弾いたり、チェスに興じる主人公。。
自分を特別扱いせず、ありのままの姿で受け止めてくれる。
本当なら、そういう存在が両親であるべきなんですが、、^^;
なにせ神童。親が期待をしてしまう気持ちも少しは分かる。
ベビーシッターの女の子に恋をしても、当然上手くいかない。
もし自分がごく普通の子供だったなら…と悩みを打ち明ける
ヴィトスに、「いちばん大切なものを手放してみるんだ。」
とアドバイスをするおじいちゃん…。
それからヴィトスは、とある事故に遭ってしまうのですが。。
彼のそれからの行動に、ある種の疑問があるにはあれど^^;
自分に正直に生きた結果がそうであるなら、褒めてやりたい。
べつに誰かを悲しませたかったわけではないし、一度くらい
自分らしく生きたいと願うのは、当然のことでしょう。
あの機械(爆)を買うくらいなら、屋根を直せば良かったのに!
と私達にそう思わせた、彼のおじいちゃんのようにね…^m^
(ガンツがA・ホプキンスに同化して見えた私。いい祖父味♪)
ただの天才ピアニスト少年のお話というだけではない
予想以上にいろいろな話が詰まっていてよかったです。
天才でいることに苦悩し、普通でありたいと願うヴィトスは、おじいちゃんの「一番大切なものを手放してみろ」という助言のもと、ある行動に出る。
凡人からすると、天才はうらやましいし憧れる。でも天才だからいいとは限らないんですよね。天才がゆえに生きにくかったり、苦労したり、悩んだりすることが沢山ある。ヴィトスが自分を守る為に起こした行動は、天才だからこそ出来たことですが、それもヴィトスを特別扱いおじいちゃんがいてくれたからこそ。またその唯一秘密を知るおじいちゃんの家でピアノを弾くヴィトスの姿がとてもいいです。
神童と呼ばれる子どもが天才になるには、それなりの環境が必要だったりすると思います。いくら才能があってもそれを伸ばせる環境がなければ埋もれてしまうことだってある。ヴィトスが才能を損なうことなく、自分の意志で開花させることができたのは、おじいちゃんのおかげなんじゃないかな、と思いました。ともかくおじいちゃんとヴィトスとの関係が温かくてすごく良かったです。そしてヴィトスが自分で自分の道を見つけるところが本当にいいですね。先生に会いに行ったシーンはちょっと感動でした。
ヴィトスを演じたテオ・ゲオルギューは、役者さんではなくて、名門音楽学校に在学中のピアニスト。彼こそヴィトスのような神童なのですが、その演技力には驚かされました。初めての演技とは思えないです。
ラストのコンサートシーンは、実は資金不足で「テオのコンサート」としてチケットを発売て撮影したそうです。お客さんには「気にくわなかったらブーイングを」と伝えて始まった演奏だったそうですが、結果16000人の客席はスタンディングオペレーションだったとか。このシーンは神童テオ少年の演奏が聴けます。本当子どもが弾いてるとは思えないぐらいうまくてびっくりでした。
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