オフサイド・ガールズのレビュー・感想・評価
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試合映像がないのに臨場感たっぷり!
イランでは女性がスタジアムで男性のスポーツを観戦することが禁じられている。だけど、女の子だってテレビの前じゃ満足できない。少女たちが考えたのは男装してスタジアムに潜り込むことだった。
ドラマなのかドキュメンタリーなのか判定することさえ迷ってしまうような映像。実際に行われた2005年の試合イラン-バーレーン戦。しかも2006FIFAワールドカップをかけた大事な予選であるだけに、これだけストーリー性があるとノンフィクションであることは間違いないのですが、素人を使いハプニングをそのまま利用しているため、実際のスタジアム(の外)の様子がリアルに響いてくるのです。
ダフ屋のつけた高値であっても平気でチケットを買い、ボディチェックをすり抜けようとするも警備している兵に捕まってしまう少女。彼女たちは塀の外の一画に集められ、スタジアムで歓声が湧きおこる度に監視兵に状況を訊ねる。トイレに行きたいと言って隙あらば逃げようとする者、軍服を着て男装に徹する者、涙ぐましい努力ではあっても彼女たちの天性の明るさのおかげで悲壮感はない。兵士たちもただ命令に従ってるだけであって、彼女たちに同情的になる者もいるし、とても心温まる内容になっているのです。
試合映像をそのまま映画にすることは簡単らしいのですが、一緒に少女たちを映すということは禁じられている。と、公式サイトの監督談話でもその困難な様子が語られていて、フィルムの一部を軍に没収されているにもかかわらず、試合経過とオンタイムで撮られている臨場感には圧倒される。
イラン女性蔑視をとりあげた社会派映画というわけでもなく、天真爛漫なサッカー好き少女たちを描いた映画。もちろん、ワールドカップに行けるという国全体の喜びに後押しされているから、盛り上がれるのだけど、スポーツ観戦によって一喜一憂するのは全世界どこであっても同じであり、そこには男女の壁はないはずだ。とにかく楽しいし、元気に前向きになれる映画として、手元に置いておきたくなるほどの映画でした。
【2008年1月映画館にて】
誰もが幸せになれる(バーレーンの人以外)
イラン映画としても、サッカー映画としても、女の子映画として、大傑作。元サッカー選手の追っかけの私としては、まさに「こんな映画を待っていた!」
元のタイトル「オフサイド」の方が、「<反則>しているのは本当は<ガールズ>ではなく、スタジアム女人禁制を強いている側なのでは?」という皮肉が感じられていいのではないかと思える。
一言だけ文句を言えば、アリ・キャリミのポスターの扱われ方がちょっとかわいそうである!
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