劇場公開日 2007年9月1日

「最上級のB級映画」デス・プルーフ in グラインドハウス といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最上級のB級映画

2019年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ざっくりとしたあらすじを知っている状態で鑑賞しました。
タランティーノ監督の作品は今まで一つも観たことが無く、この作品を「タランティーノが好きなことが全部詰まった映画」とレビューしている方がいらっしゃったので、最初に観るタランティーノ映画に相応しいかなと思い、数ある作品群から「デス・プルーフ」を選択。

いやー、凄かった。映像演出やカースタント。そして唐突な「THE END」。最高です。爆笑しました。

この映画を一言で評するならば、「最上級のB級映画」ですね。
面白い映画を作ろうとしてチープになってしまったB級映画ではなく、B級映画を完璧に作り上げたという印象。
序盤の展開はとにかく冗長。三人組のセクシーな女たちが本編と関係ない下世話なガールズトークを展開し、酒をガブガブ飲んでハッパをプカプカ吹かしてテンションを上げて盛り上がる。
30分以上内容スカスカのガールズトークを聞かされてうんざりしているところに現れる、猟奇殺人犯スタントマン・マイク。自宅まで送るという口実でバーで出会った女性を助手席に乗せて無残に殺害し、女三人組の乗る車には正面から全速力で突っ込み大クラッシュさせ殺害します。
スタントマン・マイクに対して「女性を無残に殺して酷い奴だ!!」という感情と「これでようやくストーリーが進む。ありがとうスタントマン・マイク。」という感情を同時に抱く、なんとも不思議な気持ち。序盤はとにかく展開が遅いし無駄な雑談が多いし虐殺シーンが結構グロい。個人の感想ですが正直そこまで面白くはありません。

しかし後半からは一転、多少雑談は多いですが、カーチェイスあり・スタントありのド迫力の内容になっています。
そしてラストにでかでかと現れる「THE END」。前半に溜まったフラストレーションが全て発散されるが如く、非常に爽快なラストです。爆笑しました。

綺麗でエロいお姉ちゃん・やりすぎてチープに感じるくらいの暴力描写・中身の無い会話劇・酒とドラッグ。B級映画にはありがちな要素をたっぷりと盛り込み、好きな人にはたまらない内容となっています。ただ、人は選ぶかもしれません。
安い素材を濃い味付けでごまかした体に悪いジャンクフードのような映画です。でもそのジャンクフードを時たま無性に食べたくなるような時ありますよね。そんな感じの映画でした。

といぼ:レビューが長い人