「【整×滑×影の見ごたえある映像美。】」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)
【整×滑×影の見ごたえある映像美。】
・2007年公開の日本のアニメ映画。
・エヴァンゲリオン新劇場版の4部作の第1作目です。
・大災害(セカンドインパクト)が発生した後の世界という設定。そこに襲来する謎の敵「使途」に対して人類は人型兵器「エヴァンゲリオン」で戦う。そのパイロットとして選ばれた少年「碇シンジ」。エヴァンゲリオンに搭乗して「使途」と、そして「父親との軋轢などからくる葛藤」と、その両方と戦う、という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・映像が気持ちよい
・過去のコミックやアニメを2時間弱でおさらい可能
・過去作より葛藤の台詞が五月蠅くない
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[物語]
・過去にアニメもコミックも観ており、ぼんやりと流れを覚えているので、どうしても物語の「すっとばし感」を感じてしまいます。なので、妥当な評価ができない状態です。笑 初見で観た場合に、トウジ(主人公の友人)の言葉で勇気を奮い立たせるシンジがどう映るのか、ミサトに「エヴァに乗るか乗らないかはあなた自身で選びなさい」と言われて葛藤の末乗り続けることを決めたシンジがどう映るのか…物語の主人公が一歩成長するときは共感することに楽しみがありますが、その「共感」をさせるためには一つずつの出来事を積み上げてもらわないと中々…なところがあると思っていますが、今回はその積み上げが少なく、一歩成長という結論がいきなり出てくる印象でした。ただ、これは原作内容を知っており、そこでの積み上げ物語を引き算していることを知っているから思うことなのか、初見でもそう思うのか…うーん、わかりませんね。笑
・とはいえ、一本の映画としてはわかりやすくするっと流れていく2時間なのでエンタメ映画として楽しめるのではないでしょうか。
[演出]
・とにかく映像にこだわっている!と感じました。「整い感」と「滑らかさ」、加えて「影」。影を印象的に使ってくるシーンとかは、ここで何を言いたいんだろう、と深読みしてしまいますね。戦闘シーンなどは「滑らかさ」中心で気持ちよく観れて、ドラマシーンは「整い感」と「影」によって哲学的に観れて。画で愉しむ映画だと思いました。
・ちょっとしたことですが、レイが持っているネルフのIDカードの番号が「100…」とかなりの桁数で、これって「かなり沢山のエヴァチルドレン」が想定されていること?と面白く思いました。
[映像]
・「整った構図」と「滑らかな動き」がとにかくカッコよさを際立たせてくれます。映像は大体1秒間に約30フレーム(30枚の写真)が必要と聞いたことがありますが(厳密にはものによって枚数違うようですが…)、アニメの場合約2時間=120分間の映像を作るためには、概算約3600枚以上の画が必要ということですね。故によくアニメで、口元だけ動いて背景などは動かない、なんてことがありますよね。コスパ重視だとこうなるのかなぁと思っていますが、本作は全然違います。1枚1枚が入魂なそれになっている気がします。それがびっくりするほどの「滑らかさ」に繋がっているのかと思います。これがとにかく気持ちよいんです。また、主人公シンジとその父親ゲンドウとの会話を煽り(下から撮影)で綺麗に対比させて撮っていたり。シンメトリーの気持ちよさも要所要所感じます。構図や動きがしっかりしているので、そこにBGMと台詞と物語を乗せると、それはかっこよくも見えますね。気持ちよい映像を約2時間楽しませてもらった感じです。
[音楽]
・いうことなしですね。踊る大捜査線でも利用させれているBGMがリニューアルした本作でもしっかり使われていたり。戦闘配備のシーンや街が機械的に動くシーンなど痺れるBGMが沢山です。
[演技・配役]
・過去作と比べて、全体的に「落ち着き」みたいなものを感じました。シンジ君の葛藤台詞のワーワーもまあまあ落ち着いてましたし、何よりミサトさんが落ち着いたときの台詞は、普段の台詞と全く異なる雰囲気で大人のカッコよさを感じました。綾波レイもさらに綺麗な大人らしい声になった気が。声優さんの力によって映画としての厚みがさらに増した気がしました。
[全体]
・エヴァといえば「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ」という「シンジ君の葛藤」が印象的ですよね。久しぶりに、改めて観ると、「五月蠅い」です。笑 「どんだけ悲観的なんだよ。w」と思っちゃいます。ただ、幼いあの頃に観た時よりも、少し冷静になって受け止めることができました。中学生の彼が悩み葛藤することは、表現方法は五月蠅いとはいえ、内容そのものは、実は私たち大人でも同じように考え苦しんでいることが多いのではないか、と思えたからですね。「すぐ人のせいにしてみたり」「自分のいる意味を探してみたり」「人に興味を持ってもらいが故に駄々こねてみたり」…。そういう意味では、子供がワーワー言うことの本質には世の大人の持つネガティブな部分を投影させている、のかもしれませんね。
・さて、そんなシンジ君がこの先どうなっていくのか。続編の映画を引き続き楽しみに観たいと思います。連続作が貯まった後に一気見する楽しみを味わいます!ありがとうございました。
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