「女子高生版ブルース・ブラザース・・・じゃなかった。」ヘアスプレー kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
女子高生版ブルース・ブラザース・・・じゃなかった。
トレーシー役のニッキー・ブロンスキーは黒メガネをかければジョン・ベルーシになるんじゃないかと、ストリートダンスを見たときに思った。衝撃的・・・いや、笑撃的女装のジョン・トラボルタや、最近は怪しい脇役ぶりを発揮しているクリストファー・ウォーケンが期待通り笑わせてくれるし、意外にもクイーン・ラティファで泣かされてしまう。と、もう一人、ペニーの母親役のアリソン・ジャネイという女優がなぜだかツボ。
観る前には、てっきり太った少女がダンスの才能を見出されスターダムにのし上がるというシンデレラ・ストーリーを想像してたのですが、全く違うじゃありませんか!冒頭に出てくる黒人差別の見出しがある新聞は単なる時代背景を表したものだと思ってたからです。主人公のトレーシーも歌とダンス番組に夢中になるノーテンキな女子高生に映ってたし、途中まではリンク(ザック・エフロン)に恋焦がれるという普通の青春ミュージカルの雰囲気。内容がガラリと変わるのがピンクの居残り票をもらった辺りから・・・
黒人のダンスセンスに興味を持ったトレーシーはメイベル(ラティファ)の家で“コーニー・コリンズ・ショー”の黒人枠打ち切りショックを受け、デモ行進することを提案したのだ。人種的偏見・差別の多かった60年代、テレビ局では黒人と一緒に踊ることまでも禁じられる状況で彼女は天真爛漫ぶり・・・というかハチャメチャぶりを発揮してくれる。オマケに親友のペニーまでもが禁断の恋を見せつけてくれるのです。
社会派的ミュージカルの側面を見せるものの、そんなことは置いといて、ただただハッピーになれるダンス映画だと思ったほうがいい。60年代ファッションも楽しめるし、どこからそんなパワーが出てくるのかと驚嘆するほど二の腕が揺れるダンスもいい。観ている者までついついステップを踏ませてしまう、まさしく血湧き肉踊る映画なのかもしれません。