「三木監督作品で一番好きです」転々 live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)
三木監督作品で一番好きです
良かったです。これは期待以上。
今の自分の心にこの上なくハマる感じ。なんでしょうかコレ。
一人暮らしの長い男性ならきっと心をワシ掴みにされます。
僕も独りでいることにはもう慣れっこだと思ってましたが、
観終わった後、じんわりあったかいものと同時にこみ上げてくるのは
しんみりとした寂しさと、忘れていた孤独感でした。
つい半年ほど前「亀は意外と早く泳ぐ」を初めて観てだいぶツボだったので
すっかりハマったと思っていた三木監督ワールド。
でもその後にも何本か観てきましたが、今ひとつしっくり来ず…。
詰め込み過ぎの固定客狙いな感じが若干鼻についてしまってたんですね。
もちろん嫌いじゃないんですが…。
でもこの作品は一気に「亀は~」を超えて一番好きな作品になりました。
毎度お馴染みのメンバーやストーリーと別進行の小ネタ集は
相変わらずコミカルな空気を出してきていますが、
男二人のこじんまりした徒歩の旅。
これもやっぱりロードムービーなんでしょうか。
小さなエピソードや会話の中に流れる空気が良いんです。
中でも特に良かったのがストーリー後半のファミリーを構成する面々。
夫婦を演じるお二人(三浦友和と小泉今日子)は言うに及ばずだとも思いますが、
姪っ子ふふみ役の若い女優さん。いい味出してました。
天然なのか演技なのかは定かではないですが、
あの面々を相手に一人で持っていく勢いは凄い。感心しちゃいます。
孤独な学生。借金取り。スナックのママ。その姪っ子。
昭和の一軒家。晩ご飯のカレーライス…。
やっぱり誰かと一緒にいるっていいなぁ…。
誰もがそんな感覚を思い出すはずです。
たまたま真夏の夜に一人で観ることになりましたが
物語の中の東京の秋空の下、ちょっと人肌恋しくさせられました。
個人的な話ですが、
仕事柄、一人で各地を転々とする生活を続けているここ数年。
年のせいか最近ふと寂しさを感じることも少々…
まさにタイムリーな作品だった訳です。
この時期にこれは参った。
おすすめ作品です。
※他サイトより転載(投稿日時:2008/08/06)