「マットの『007』ゴッコ」ボーン・アルティメイタム trekkerさんの映画レビュー(感想・評価)
マットの『007』ゴッコ
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ポール・グリーングラスは好きな監督だ。
前作では、暗めのブルートーンにアクションはカーチェイスばかりで、ハードボイルド調の地味な作品だった。それに比べると、今作ではマットの格闘シーンが増え、海外でのロケ撮影もカラフルで楽しく、前作での欠点をうまく修正してきたという部分は評価出来る。さすが、グリーングラスだ。アクション描写だけなら文句無くAランクだろう。
だが、あまりといえばあまりの脚本。CIAはバカばっかり。最新の機器を駆使していとも簡単にマットの居場所を探るが、その後の人間の行動の間抜けぶりには呆れてしまう。ジュリア・スタイルズが何で出てくるのか、いきなり何で人生を捨ててマットを助けるのか。なぜ、目立つ金髪をなびかせて逃げまくるのか、帽子でもかぶればいいだろうに…。さらに、CIAの部屋の中身が窓から筒抜けで機密書類のありかが丸見え!
オリエンタルなロケ地で白人が暴れ回るという設定は『007』で散々、観てきたし、ヤマカシ風のアクションはモロに『カジノ・ロワイアル』だ。マットがやりたかったんだろうし、格闘でがんばってはいるけれど、ラストの海の中でのシーンはちょっとしつこかった。気を失って息してないのに、そのまま潜水で泳いでいくなよ!
今作をアクション映画として評価している方が多いのは理解出来るが、私は脚本のひどさに、どうしても入っていけなかった。グリーングラスには、ぜひ、いい脚本でアクションを撮って欲しいものだ。
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