「シリーズ内では最下位」ボーン・アルティメイタム te2yamaさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ内では最下位
なんでいちいち挑発をしないといけないのかなと思う。
結果、わざと自身を危険の中に放り込んでアクションシーン
を開始させる演出はボーン自身の真剣度を問われても仕方ないんじゃないかと。
確かに挑発してピンチになって、それを跳ね返していく楽しみはあるけど、
それはボーンがすごいんじゃなくて、CIAがバカなだけでしょう?
もっとCIA側に頭の切れる奴がいる設定でボーンが挑発しないでも
自然にピンチになってハラハラするくらいの脚本がよかった。
しかし一方でシリーズ化した以上、キャラを生かした過剰な展開にしないと、期待のハードルを超えられず続編はつまらないと言われてしまうし、初ボーンの興奮は再びは無いのだから、2以降は受けた部分のクローズアップ、スケールアップ、派手さを増して行くのはやむを得ない。その意味では、十分期待に応えたかなり出来の良い続編である。
ただ、ジャックライアンシリーズの3作目今そこにある危機やハリーポッターシリーズのように、原作のある充実した話の展開により、続編が退屈どころか変わらず面白さを保つという路線もボーンには可能だった。しかし、その場合は地味に終わったかも。
マットデイモンのボーンのキャラからは、ダイハードや24のように、シリーズ追うごとに、派手に派手に昇華して3作で燃え尽きて正解だったようにも思われる。
いずれにせよ、我々のハードルは高過ぎて、万人受けする派手な続編より、初物興奮の初代元祖一作目にどうしても評価が行く。
かつてのダイハード、リーサルウェポンも然り。しかし、一方で映像やアクションやキャラが進化したダイハード3やリーサルウェポン4も面白かった。もっともこちらは初代と監督が同じで同じ雰囲気を保った上での進化だからその点異なるが。
ただ、マトリックスがSF映画やアクションに革命を起こしたほどではないにせよ、このボーンシリーズがアクション映画の近年の傑作シリーズであるのは間違いない。
(尚、文中の他作品の評価は、あくまでその公開当時に観た順での当時の評価、ボーン一作目も24も含め、既に新しさは無い。ましてダイハード一作目などは今見るとアクションも展開もトロいし。リーサルウェポンのような刑事コンビ物もかなりクラシックだが、これは仕方ない)
確かに、メリハリなく全編のべつまくなし、ボーンスゴいんですを派手に強調した脚本演出、入り込めない。
シリーズ物で後の作品は、最初の作品の受けた部分をより分かりやすく派手に強調してくるのだが、一作目のようなリアリティを感じられる小説のような良く出来た脚本と、初ボーンならではの興奮あってこその面白さ。
分かりやすく単純に派手な方がより多数の支持が得られるのは常なので仕方ないが、常に一作目の直後に評価し見出す目の肥えたファンがいるからシリーズがあるわけで、その期待にも応えて欲しいところ。
まあまあ及第点ではあるが。
一作目は、公開当時の年度とその頃とそれ以前の他作品を比較して当時の興奮を想像して欲しい。
その頃、一作目を公開当時に既に完全に理解して見れる年齢だった大人は、その時の興奮と周囲の他作品の進化をも前提に数年後の続編に期待する。
ストーリー脚本の説得力あってなんぼ。
アクションも記憶を無くした主人公の身体が記憶しているプロ中のプロの動き、という演出が興奮を呼んだ訳で、続編のはそれをやたらに画面揺らして派手に見せただけで短絡的。