「素晴らしき幕引き」ボーン・アルティメイタム かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしき幕引き
ボーン・シリーズ第三作。
CIAの暗殺者養成計画「トレッドストーン」により、記憶を失ったジェイソン・ボーン。
その際用いられた薬物と肉体的苦痛に起因した、慢性頭痛と過去の記憶のフラッシュバックに苦しみながら、ボーンはパメラと共闘して黒幕に迫る。
【ストーリー】
ボーンの潔白を証明したパメラだが、CIA上層部は相変わらずボーンを脅威と考えて殺害命令を撤回しない。
そんな中、独立系新聞「ガーディアン」(イギリスに実在する新聞)の記者サイモンがトレッドストーン作戦をスクープ発信し、さらに発展版である「ブラックブライアー作戦」の存在を匂わせた。
CIAは直ちにサイモン殺害を指示するも、ボーンがサイモンに危機が迫っていると知らせて妨害する。
会いたいというサイモンに指定した場所は、ラッシュ時間帯のウォータールー駅。
尾行や盗聴なとあらゆる手を使ってサイモンを追う局員たちだが、ボーンに裏をかかれて追跡に失敗する。
やっと接触したボーンだが、恐怖に駆られたサイモンが逃げ出した瞬間、暗殺者によって狙撃されてしまった。
サイモンの持ち物からダニエルズの存在を知ったボーンは、スペインのマドリードにある彼の自宅に侵入するも、もぬけの殻。
そこに姿を現したのは、かつてのバックアップ要員だったニッキー・パーソンズだった。
ボーンを執拗に追うヴォーゼンに嘘の報告をし、ニッキーはポーンの逃走と調査に協力する。
舞台はアメリカへと移り、ついに明かされるボーンの正体と過去。
ついに巨悪と対面したボーン。
彼の銃は誰を撃つのか。
冒頭、前作の逃走シーンから始まる今作。
二作目「ボーン・スプレマシー」と一部の場面で前後し、複雑に絡まり合っていますが、ストーリー自体は両方とも理解しやすい作りとなっているのでご安心を。
敵味方とも能力の高いプロばかりが出てくるボーン・シリーズ三部作。
その中でも格闘最強の暗殺者が、ニッキーを追うデッシュ。
アディダスのようなジャージを着てベスパに乗る、オシャレでスタイルのいいアフリカ系の工作員です。
ボーンの裏をかいてダニエルズを爆殺し、道の狭い旧市街、逃げるニッキーを執拗に追う姿は恐怖しかありません。
緊張感バキバキのテーマソングも相まって、ボーンとの追跡劇はかなりの見応えです。
最強の優しき暗殺者ジェイソン・ボーンを生み出し、アクション映画の演出を根底から変えたこの歴史的三部作、存分にお楽しみください。