「EXTREME WAYS」ボーン・アルティメイタム マロピさんの映画レビュー(感想・評価)
EXTREME WAYS
今さらながらのレビューですが、DVDも発売されたことだし、劇場で観られなかった人も、ようやく観れたと思うので、レビューします。
シリーズを通して、総じて好評を博したジェイソン・ボーンの物語。
2002年の「ボーン・アイデンティティ」から始まった自分探しの旅もこれにて終了。
「自分探し&贖罪の旅」とでも言いましょうか。
「アイデンティティ」から始まった3部作、全てにおいてハイレベルなサスペンスとアクション、近年稀に見るデティールの細かさ(映画の中でのフィクションですが、電車で逃亡する際には時刻表を手に入れてからだとか、ガラスを飛び越えるときには手に布を巻きつけているだとか、妙にリアル。もちろん、これは戦闘シーンにもふんだんに取り込まれてる。)色々な意味で3部作全てが全力疾走。
カット割りが短く、畳み掛けるような構成なので、目まぐるしい感じを覚える向きもありますが、僕はこの点は肯定派。
アクションシークエンスにしても工夫が随所にみられ、高度な計算に基づいた優秀なエンタテイメントなんだなと思います。
ストーリーも一つ一つが複合的な要素で構成され、さらに中途でまた別の要素を複合させたりなど、単調な部分は皆無に等しい。
票を落とす原因の一つにリアルを謳っておきながらCIAの内部が双眼鏡で見えるとかありますが、良い点とこういった突っ込みどころを天秤にかけた場合、遥かに良い点が上回るのがボーンシリーズとして捉えています。
「アルティメイタム」の見せ場は、市街地の追いかけっこと、ラストのカーチェイスシークエンスですが、今作におけるカーチェイスは、ラストへ向かう重要な位置づけでもあり、チェイスがさながら「俺の旅も、これで終わりなんだ!!」というボーンの「覚悟」が見て取れました。
鑑賞中も「ああ、ついに終わっちゃうんだな、ボーン。」という、大好きな食事も進むにつれ、「ああ、食べ終わっちゃうよ・・・」みたいな感傷的な想いを抱かせる稀有な作品です。
ラストも見事なフィニッシュで、これ以上ない終わり方を披露してくれました(モービーの主題歌が本当に良い。アレンジされたのは残念。)
昨年は大作の「3」公開が相次ぎましたが、どれもダメダメ。
「スパイダーマン3」は完全に人民のヒーロと言うことを忘れ、内輪ウケのヒーローとなり、「パイレーツオブカリビアン」にいたっては、まったく持ってエンターテインメントの枠から外れ、駄作となり、ボーンも大丈夫か?と危ぶんでおりましたが、まったくの心配御無用でした。
続編希望の声も多いようですが、ジェイソン・ボーンはこれで終わった方がカッコいい。