神童のレビュー・感想・評価
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いい雰囲気なのに、あまりにも説明不足
天才ピアニストが成瀬うた(成海璃子)というのは解る。 だが、それ以外の説明というか、描写があまりにも乏しい。 ワオ(松山ケンイチ)が音大生を目指していたのは解るが、 そう優秀でもないと思っていたのが、実は主席になるほどだったり、 それでも、教師には認められていなかったり、 原作を読んでいない「こちとら」にしたらサッパリわからない。 映像も美しい。 ピアノ演奏のシーンも練習の成果だろう、実際に演奏しているように見え、全体の雰囲気を損なっていない。 何よりも成海璃子の自然で、透明感のある演技がすばらしい。 ナレーターなどの言葉に頼らずに情景のみで表現しようとしている事は、評価したい。 ノダメのように何でも「心の声」で表現しているのと異なり、音楽のすばらしさを自然と集まる観客などで表現している。 しかしバックボーンなどを含め、全てをそうやって表現できるはずはない。 説明的ストーリーを軽視するあまり 残念な事に、観客がついていけない作品となった。 雰囲気がいいだけに、少々残念に思う。
素人には演奏の良し悪しは。。。
タイトルの神童を音楽の素人に伝えるためには、確かに演者によって演奏が違った気がするけど、演奏の美しさよりも単純に誰が演じるか⁈が重要なんだと思った。その点で成海璃子の透明感のある存在が際立っていたかなぁ
オーディションでNO.1になりイギリス留学したのは相原こずえ。同じNO.1でも“竜巻落とし”を決めるのは鮎原こずえだ!
まず、コミックが原作らしいのでネーミングそのものが漫画的。主人公は中学生の成瀬うた(成海璃子)と音大受験を控えた菊名和音(松山ケンイチ)である。そして恋人になる予定(?)の声楽科の女子大生はカノンなのだ。“鳴らせ歌”、“聴くな和音”と音楽がらみで固めているのですが、八百屋の2階から聞こえるピアノの音がうるさいと怒鳴り込んでくるオバさんが“キク子”だったりする。ピアノの音が原因で殺人事件も起こったりするご時世なので心配になったりもするものの、弾いていた曲がベートーヴェンの「熱情」だったりしたので、本気で聴いていたために悪人にならなかったのかもしれません。 公開当時、音楽映画が続いていたので個人的には嬉しいかぎりでした。天才的ピアノ少女の主人公が思春期という年代でもあり、ピアノを弾くのが嫌いになっている心理描写や、父親と同じ難聴になってゆく様子を繊細なタッチで描いていて、落ちこぼれ音大生と出会ったことにより、再びピアノを弾く喜びを見つける物語です。神童ならではの気難しい雰囲気や、うたの父が作曲した音楽に和むシーン、そして松山ケンイチの演技の上手さやピアノレッスンの成果など、見所はいっぱいあった。相原こずえ役の三浦友理枝もリヒテンシュタインも指揮者も本物の音楽家を起用しているのでリアル感も増します。さすがに貫地谷しほりの声楽だけは残念だった・・・ネズミのマスコットをつけたトランペットにすればよかったのに・・・ ピアノ連弾の雰囲気や“ピアノの墓場”のセットなども完璧。墓場などというと不気味なはずなのに、父親(西島秀俊)の面影を追い求めるため主人公うたが音を鳴らすだけで楽器が生き生きと甦るような、爽やかなイメージさえありました。墓場といえば、明日公開される作品なんて運動会までやっちゃうんですから、暗いイメージだけじゃないですよね・・・ もう一つ素晴らしかったのは効果音。水の音、鳥の音、虫の音・・・細かな音まで再現され、観客は次第に耳を凝らしていく。難聴になっていく効果音はもっと大胆に演出してもよかったのかもしれないけど、セミの音がヒグラシだったのが発見でした。全体的には無駄な部分が多かったし、疑問がいっぱい出てくる映画かと思います。手を握り、ぬいぐるみを置いただけで演奏が上手くなってしまうとか・・・780万の借金とピアノを売り払う関係とか・・・ 【2007年4月映画館にて】
【”大丈夫、私は音楽だから・・” ”音楽の精”と音楽に魅了された人々の姿を描いた作品。成海璃子さんの意思の強い大きな眼と胆の据わった姿に魅了された作品でもある。】
ー 成海璃子さんは、「武士道シックスティーン」の裂帛の気合を込めた声と、女性剣士としての美しき佇まいに魅了され、デビュー作の今作を観た。 そして、矢張りデビュー当時から凄かったのだと、再認識した。ー ■印象的なシーン<Caution! 内容に触れています。> ・成瀬うた(成海璃子)と、和音(松山ケンイチ)の出会いのシーンから、うたは和音にツッケンドンな態度ながら、懐いて行く幾つかのシーン。 ー うたは、明らかに自らにピアノの素晴らしさと、うたの絶対音感を信じ、ピアノを与えた父(西島秀俊)の面影を見ていたのである。 そして、成美璃子さんは、うたのような、口のきき方は男のようだが、魅力的な女性を演じさせたら、(当時)ピカイチだなあ、彼女こそ今後の邦画を担っていく神童ではないかなあ、と思っていた。 ー ・和音の瀬戸際の音楽大学入学試験のシーン。うたの強い想いが伝わり、ピアノ科主席入学を果たす和音。 ・うたの幼き頃、とても好きだった亡き父と”ピアノのお墓”から、うたが幾つかのピアノの鍵盤を鳴らし、お気に入りのピアノを選ぶシーン。 ー ラストと連動している、印象深いシーンである、ー ・ドイツの名ピアニスト、リヒテンシュタインの弾くピアノを同じように決める、うたの姿。それを見てうたの音感の高さを確信するリヒテンシュタイン。 そして、彼が病のためリサイタルをキャンセルし、うたを代演者に指名するシーン。弾いたことがない曲を、いきなりオーケストラと共演させることに、激しく抵抗する母(手塚理美)と心配して駆け付けた和音に対し、落ち着いた笑顔でうたが言った言葉。 ”大丈夫、私は音楽だから・・” そして、大舞台で緊張する事もなく、席の高さが合わないと言い、楽譜を席に乗せ(短い間に暗譜している。リヒテンシュタインの練習を聴いていて、音が頭に刻まれているのである。)ピアノを弾くうた。 終了後、割れんばかりの拍手の中、ぎこちなく頭を下げ舞台袖に下がる時に、倒れ込むうた。 ー ”音楽の精”がうたから、離れたのか、緊張の糸が解けたようだと、解釈する。ー ・うたの耳鳴りの幾つかのシーン。 - 父と同じ運命なのか・・、と危惧する。ー ・うたはふらふらと、どこかに歩いて行く。魂が抜けたように・・。 同級生の池山君(彼は、うたにしょっちゅうちょっかいを出している事から、好きなのだろう・・、と思う。)は、心配して一緒にどこまでも歩いて行く。 そして、二人が到着した場所は、あの”ピアノのお墓”だった・・。 <ラストの、うたと和音の思い出のピアノでの連弾のシーンは、色々な解釈があると思うが、私はうたが、亡き父と連弾している事を暗喩しているシーンとして鑑賞した。 今作の魅力は、松山ケンイチさんを始めとした実力派俳優さんの中で、屹立した存在感を醸し出していた映画初出演!の成美璃子さんの魅力に尽きると思った作品である。>
大袈裟すぎるしピアノ奏者への冒涜と捉えられる。正直不愉快な場面が多...
大袈裟すぎるしピアノ奏者への冒涜と捉えられる。正直不愉快な場面が多かった。ピアノの主張が強すぎる。まぁピアノの映画だからしょうがないか。
ラスト20分は不満だけど...
この作品を一言で説明するならば、抽象的だが「耳で見る映画」と言っていいかもしれない。それくらい、この作品では音が重要な位置を占めている。 この作品は、ピアノの天賦の才をもつ、神童と呼ばれる少女と、音大に合格するために四苦八苦する凡才の浪人生が織りなす物語だ。だから神童と言っても、モーツァルトのように一般に知られている音楽家の神童時代ではなく、どこにでもいるような少女をいかに神童に見せるかが、この作品の肝であり、見る前から最も注目していたところだった。 ところがこの映画を撮った萩生田監督は、そんな作品の肝を、神童と凡人それぞれのピアノから奏でられる旋律を耳から感じられる、音そのものの強弱、音色が美しいか否かなど、さまざまな聴きどころから違いを明白にさせるという演出をして見せている。そのことにより観客は、映画から奏でられるピアノの音に常に引き込まれていけた。そんな映画の中でも一番難しい、音による登場人物の個性の表現が成功している、という点だけで、すでにこの作品はクオリティーの高いものになっている、と言っても過言ではない。 神童と凡人の差が音によって次第に明確になるにつれて、神童は神童なりの、凡人には凡人なりの悩みがあるところにも、見ている者は次第に共感させられる。特に、神童の少女役の成海璃子の独特の透明感のある演技によって、神童ならではの孤高の人ぶりや孤独感が表現されているのも大きな見どころだ。やや強引な物語の進行が見られるのは難点なのだが、浪人生が音大を受験するまでの過程や、音大受験会場の様子をリアリティーあふれる演出によって描いていたり、音を軸にして登場人物の個性や物語に深みをもたせている意味でも、この作品は人間味あふれる、見ごたえ充分のクラシック映画である。
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