劇場公開日 2007年4月14日

「もう、10年経ったんですね。」クィーン 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5もう、10年経ったんですね。

2007年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ヘレン・ミレンが、2007年度アカデミー賞主演女優賞を受賞した作品。1997年8月31日のイギリス王室ダイアナ元皇太子妃の死後一週間のイギリス王室(と言うより、エリザベス女王と就任まもない首相のトニー・ブレア)の動きを追った作品。ちょっとネタバレありです。全国公開は、先週4/14なのですが、何故かTOHOシネマズでは、今日4/21からの公開です。

あの1997年8月31日のことは忘れません。実は地方にちょうど出張に出ていたんですよね。朝起きて、ホテルでテレビを見ていたら「ダイアナが死んだ」と放送が。衝撃的でしたね。しかし、イギリス国民の受ける衝撃は、それ以上だったのでしょうね。

さて、実在の国家元首を演じたヘレン・ミレンですが、王室の伝統を守ろうとする孤独な女王を見事に演じきっています。女王の貫禄もたっぷりだし。彼女はイギリス人ですので、王室の伝統や意義を理解していたからなのでしょうね。ただ、女王の英語は、正に”クイーンズ・イングリッシュ”で、もう少し鼻にかかっていたような気がしますが、ヘレン・ミレンは少しそれが足りなかったかな。でも、バッキンガム宮殿に女王が戻ってきたシーンでは、何か威厳を感じ、ちょっと感動してしまいました。

他方、国民を代表するトニー・ブレアを演じるのは、マイケル・シーン。これまた実在の現役首相を演じるに当たり、苦労があったのではないかと思いますが、見事に国民と王室を仲介する首相の役を演じています。風貌が似ているような、似ていないような。実在のトニー・ブレアは、労働党の首相ですが王室擁護論者のようですね。かと思うと、婦人のシェリー・ブレア(ヘレン・マックロリー)は王室廃止論者だと言うことを、この映画で知りました。ちなみに、ヘレン・マックロリーは、本人かと思うほど激似です。

激似と言えば、フィリップ殿下のジェイムズ・クロムウェルが、激似だとおもいます。もっとも彼はアメリカ人なので、下手をするとイギリス英語ではなくアメリカ英語が出てきそうですが。でも、チャールズ皇太子演じるアレックス・ジェニングスは、ちょっと微妙でした。

見ていて判ったのが、高貴な人々に対しての英語が独特なこと。例えば、ブレアが女王に可能な限り早くロンドンに戻ってきてほしいと言うときに「as earliest opportunity」と言っていました。これって、凄い丁寧と言うか、お願いするというか、許しを請うような表現に感じました。相手が平民なら「as early as possible」のような、多分、もう少し違う言い方になったのではないかと思います。すべてを英語で見ることは難しいとは思いますが、ところどころ英語を聞いていると結構勉強になるかと思います。

勝手な評論家