劇場公開日 2007年4月14日

「国民的人気者の敵役の苦悩を理解する」クィーン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5国民的人気者の敵役の苦悩を理解する

2013年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 65

 明治維新後の不安定な国体維持のために、日本を統治する神として祭り上げられた天皇。日本の象徴となった今でも皇室は尊敬を集め、それを侮辱するのは人格を疑われる行為としてみなされることが多い。
 しかし欧州では昔から王室はゴシップの対象として面白おかしく市民の関心を集め、時には皮肉や批判の対象として比較的自由に扱われてきた。尊敬の対象というよりも、もしかすると芸能人やセレブに近い対象かもしれない。

 そのような中で英国王室以上に人気があったダイアナとその反対勢力と見られていた王室と女王。ダイアナの死は女王に苦悩をもたらすことになる。女王は国家と国民と王室に責任を負っているので、自分の感情よりもそれらを守るためにどう動くかが優先される。日本にいるとあまり情報の入ってこないというか関心を持たれない部分ではあるが、そのような女王やそれを取り巻く人々の立場を描いているのが新鮮な見方でよい。立場とそれに伴う義務の重さを感じられる。
 正直どこまでがフィクションか真実かなどわかりはしない。しかしある程度ここに描かれたことはあり得そうだなと思う。たとえ真実でなくても、このような立場でこのような市民の反応が起きれば大変だろうし、自分ならばどうするかなという想像をしながら見ても面白い。

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Cape God