劇場公開日 2007年4月14日

「ホモだからといってエルトン・ジョンを馬鹿にするな!あんただってスカート穿いてるゾ!」クィーン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ホモだからといってエルトン・ジョンを馬鹿にするな!あんただってスカート穿いてるゾ!

2020年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 映画はトニー・ブレア(マイケル・シーン)が英国首相に就任し、2か月後にダイアナ元皇太子妃が交通事故により急逝した頃から始まる。当時のニュース映像もふんだんに用いて、そっくり俳優大集合のような映像をかぶらせてリアリティを追求した映画になっていました。ダイアナのショッキングな訃報を聞いた当時を思い出してしまい、すでに涙腺決壊状態。“ピープルズ・プリンセス”の言葉通り、全世界の一般人が憧れていた王室の女性。「イギリス国民の4分の1が王制廃止を望んでいる」といった世論にも、映画の中であるにも拘らず同調してしまいそうにもなりました。

 しかし、イギリスの象徴でもあるエリザベス女王。映画俳優やミュージシャンが「サーの称号を与えた」などとニュースを聞くたびにエリザベス女王を思い出すのですが、「神と国民に仕える」などと言われると、王制は残しておくべきなどとも思ってしまいます。労働党党首でもあり、革新的なトニー・ブレアなどとも訳されてましたけど、ブッシュと一緒にイラク戦争に加担している人物なので、映画では最初から胡散臭かった。要するに女王を擁護して、何かと利用しようとしている狡賢い奴にしか見えないので、ストーリー的にものめり込めませんでした・・・

 そんな中でヘレン・ミレンとジェームズ・クロムウェルの演技はさすがに良かったです。特にヘレン・ミレンの歩く姿は完全に本人になりきっていた(とは言っても実物の女王はよく知らない)。森で牡鹿と邂逅するシーンも素晴らしい演技でした。「逃げなさい」と伝えようとする優しい心を感ずるものの、あれだけ立派な角を持った鹿なんだから、ダイダラボッチかもしれないぞ!と安心して観てしまいました。鹿の首が・・・

 Her Majestyとかdignityという言葉が耳に残ります。そういえば、ポール・マッカートニーもサーの称号を受けたんだっけ・・・などと思い出しながら、エルトン・ジョンの姿を発見したり、スピルバーグやトム・ハンクスを発見できたのも楽しかった。残念なのはエルトンがダイアナ元皇太子妃への追悼として歌った「Candle In The Wind」が聴けなかったことだ・・・

〈2007年4月映画館にて〉

kossy