「アフリカの悲惨な現状を知らせる」ブラッド・ダイヤモンド Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
アフリカの悲惨な現状を知らせる
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 75
アフリカの混乱は今に始まったことではなくずっと以前からの伝統であるが、外国人がやってきて地下資源などを巡って利権争いをすることでそれに拍車がかかっている。他の地域が安定していく中で、「ホテル・ルワンダ」や「ティアーズ・オブ・ザ・サン」と並び、今なお世界の中でも特に悲惨な状況が昔からそのまま続いていることを知らしめるいい映画である。
利権を求めて激しく残酷に争うアフリカ人たち。しかしその背後にはダイヤをはじめとする天然資源などの利益を求めて暗躍するアフリカ外部の勢力、あるいはアフリカ内部にいるアフリカ人以外の者たちの利権争いも暗躍している。
利益のためならば人はどのようにも残酷に醜くなれる。そして多くの一般の犠牲者が誕生する。利権争いする外国勢力だけが悪いのではない。1つの悪者がいるのではなく、アフリカ人・アフリカの政府・アフリカをはじめとする世界の情勢に興味を持たない外国人たち、全てが複合となって混乱を招いている。そのことをこの映画は描いている。
この映画の取り上げた主題の1つは少年兵である。幼いときから洗脳され人殺しとしての活躍を強要され、いつのまにか人の心を失った安価な殺人機械となってしまう。彼らがまた新たな被害者を大量に作ってしまうが、元はといえば彼らも被害者である。今回はたまたま救われたが、実際には被害者が被害者を生むひどい負の連鎖となっている。この問題を知らない人がとても多いので、それを描いたのも意義がある。
必ずしも善良とは言い難い主人公をディカプリオが演じるが、彼も利権を求めて行動する男である。そのようなアフリカを食い物にしようとしながらもこの混乱を必ずしも歓迎をしていない複雑な役をよくこなしたと思う。英語の発音もアフリカ訛りに変えるなど、真面目に役作りに取り組んでいる様子がうかがえる。