「【”人の行為を神は赦すのか!”愚かしきアフリカ生まれの白人男性が、内戦により家族を引き裂かれた男と決意を持った女性ジャーナリストに感化され、人間性を取り戻す過程を苛烈な内戦を背景に描き出した作品。】」ブラッド・ダイヤモンド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人の行為を神は赦すのか!”愚かしきアフリカ生まれの白人男性が、内戦により家族を引き裂かれた男と決意を持った女性ジャーナリストに感化され、人間性を取り戻す過程を苛烈な内戦を背景に描き出した作品。】
■1999年の内乱により市井の民が、安寧なる生活を送れないアフリカのシエラレオネ共和国が舞台である。
元傭兵のダイヤ密売人ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)、反政府軍RUFの襲撃により家族と引き裂かれたソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)、紛争ダイヤの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)は運命的に出会い、それぞれの思惑を胸に、危険な道へ足を踏み入れる。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・実際に在った、シエラレオネの内戦を背景に描かれた作品であるが、そこにダイヤ横流しを生業とする、アフリカ生まれの白人男性ダニー・アーチャーが、最初はソロモン・バンディーが、反政府武装勢力の革命統一戦線(RUF)に家族を離散され、自身が強制労働の中、”ピンク・ダイアモンド”を見つけ、それを必死に隠した事を知り、それを得ようと画策するところから物語は始まる。
・恐ろしくも哀しいのは、ソロモン・バンディーの家がRUF襲われ、医者を目指していた息子ディアが、RUFに洗脳されて行く過程である。
ー 今作後、20年経ってもこの負の連鎖が世界各地で行われている事実・・。-
・そんな中、ダニー・アーチャーは気骨あるアメリカの戦場ジャーナリストであるマディーと出会い、最初は彼女の容色に惹かれつつも、その気概あるジャーナリズムに惹かれていくる姿。
ー ダニー・アーチャーが彼女に漏らした、アフリカ生まれの自身の両親の哀しき最期・・。彼が、汚れた仕事に就いた理由が分かるシーンである。-
■ソロモン・バンディーは、マディーの情報により、隣国の収容所を訪れる。妻、ジャシーには出会えるが、息子のディアは居ない。悲嘆に暮れるソロモン・バンディー。
そして、その姿を見つめるダニー・アーチャー。
・そして、ダニー・アーチャーは、ソロモン・バンディーが隠したピンク・ダイアモンドと彼の息子を危険を冒してでも探しに行くのである。
ー この時点では、ダニー・アーチャーの狙いは明らかにはされていない。-
■今作の白眉シーン。
ソロモン・バンディーが、ピンク・ダイアモンドを探す際に、RUFにより洗脳された息子ディアと出会い、銃口を向けられつつも息子に語り掛け、呪縛を解き抱き合うシーン。
可なり沁みる。そして、その姿を見るダニー・アーチャー。
<ラスト、激しい銃撃の中、ダニー・アーチャーが銃弾を浴びつつ、それまでの利己的態度を改め、ソロモン・バンディー親子を助けるために、政府軍に助力を依頼する姿。
そして、移動の際に常に寝ていたダニーが永遠の眠りにつく姿。
当時の世界のダイアモンドをかなりの比率で出荷していたシエラネオネ。
だが、劇中でも言われているようにシエラネオネ産のダイアモンドは世界的には出荷0であった事実。
今作は、史実をベースにしながらも、現状でも起こっている世界の悲劇を社会的な観点から描いた秀作である。>