劇場公開日 2007年3月24日

「映画バカ一代・バーホーベン監督、健在!」ブラックブック mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画バカ一代・バーホーベン監督、健在!

2008年11月12日

単純

興奮

知的

「ロボコップ」、「トータル・リコール」、「氷の微笑」、「ショーガール」、「スターシップ・トゥルーパーズ」、「インビジブル」…。これまでの彼の作品ラインアップを見れば、如何に彼が“愛すべきバカ映画監督”であるかが、おわかりいただけると思います。そう、彼の名は…ポール・バーホーベン。そんな彼がハリウッドを飛び出し、23年ぶりに故国オランダで作ったのが本作。これまた、どんなとんでもない映画なのかと興味半分、期待半分で観に行ってまいりました。

 ゴメンナサイ…m(_ _)m。冒頭で散々『バカ、バカ』と言っちゃいましたが、非常に真面目に作られた映画です。見応え充分の2時間24分でございます。この映画、オランダ映画史上過去に類を見ない制作費(日本円で約25億円!)が掛かったそうで、オランダだけでは賄いきれない…ってことで、ドイツ、イギリス、ベルギーにも声を掛けて、4カ国合作という国際的なプロジェクトとして完成したんだそうです。それだけにストーリーも重厚で、戦争映画でありながら人間ドラマとしても、愛憎・裏切り・といった辺りが丹念に…まるで昼のメロドラマのように…描かれ、非常に濃厚で素晴しい内容になっています。
 とは言っても、そこはバーホーベン監督の映画。彼のこれまでの映画に通じる“エロ・グロ・バイオレンス”といった不変のテーマ(笑)も映画の随所に出てきます。バーホーベン節は、故郷に帰っても健在ってとこですね。

 今回バーホーベン監督は、“脚本”としてもクレジットされています。ハリウッドで撮った映画では、彼は脚本としてクレジットされたことはなかったそうです。これはやはり英語で書くことに自信がなかったからだそうで、今回は母国語ってことで、自信を持って書けた(正確には“共同脚本”)そうです。だからでしょうか、映画全体からもバーホーベンのやる気が、バンバン伝わってきます。

mori2